編集部だより

★二〇一〇年の漢字は、「暑」に決まった。「暑」は、暑中、暑気見舞い、大暑、酷暑、炎暑などに使われる。★今年の暑さといったら、もうたまらなく、お年寄りがバタバタと倒れた。多分、こんな暑さは、今、存命のどなたもかつて経験したことのないものであろう。★暑さを口実に、今年の夏は散歩を避けてきた。仕事も一段落したので、晩秋になってようやく再開した。いつものように、隅田川べりをゆっくりと回った。★驚いたのは、風景が一変したことである。にょきにょきと伸びたスカイツリーが、どの角度から見ても他を圧しているのである。建設中のツリーが五百メートルを越したのは、報道を通じて知っていたが、見慣れた隅田川を前にして見ると風景全体が新鮮である。が、ツリーの伸長とともに、野宿者が追い立てられているのだから、それも興ざめだが。★他方では、よくもこの暑さにもかかわらず、休みなく仕事を続けてきたものだ、とツリー現場の労働者には感心もする。涼やかな川風に吹かれながら、改めて二〇一〇年の酷暑を思い起こした。★暑いといえば、政治の世界もまた、稀にみる激動であった。しかし、こちらはジェット・コースターに乗ったようなもので「天国から地獄へ」の感あり、と言ったところか。まさに炎暑から貧寒である。★待ち望まれるのは、暖春である。(竹中)