米韓の黄海軍事演習糾弾!
  菅民主党政権は戦争挑発に加担するな

 十一月二八日から、横須賀を事実上の母港とする米原子力空母ジョージ・ワシントンとその機動部隊が黄海に進入し、韓国軍とともに米韓合同軍事演習を強行的に開始した。
この黄海軍事演習は、十一月二十三日に発生した黄海沿岸・延坪島での朝鮮民主主義人民共和国軍と韓国軍との砲撃戦を口実として、共和国を軍事的に威嚇することをあからさまに目的とするものである。こうした演習が、南北軍事境界線付近の武力衝突後の緊張を緩和することに逆行し、ろこつに緊張を激化させ、より大規模な交戦の危険を招くものであることは言うまでもない。空母の参加とは、艦載機による大規模な爆撃を想定するものであり、朝鮮侵略戦争のための演習である。
我々は第一に、米韓の黄海合同演習に断固反対し、在日米軍基地がこうした軍事挑発の出撃基地として使われることに強く抗議する。また菅政権が、ただ米韓に歩調を合わせて、黄海演習をもろ手をあげて支援していることを糾弾する。
米空母機動部隊が冷戦終結後初めて、朝鮮半島と大陸華北に囲まれた黄海に進出したことは、当面の砲撃戦問題をこえて、大きな意味をもつ。七月の米韓合同演習でも当初は米空母が黄海に投入されようとしたが、中国が強く反発し、日本海側の演習での空母参加となっていた。今回は砲撃戦事態を利用して強行突破してきた。今回の演習海域は中国の専管水域の外とみられているが、米空母の黄海進出は、北東アジアでのアメリカ帝国主義の巻き返しという意味をもつだろう。
第二に、砲撃戦問題自体については、南北当局が1991年の南北不可侵合意や2000年の南北共同声明などに基づき、双方が自制し、これ以上の緊張激化策を取らないことを求める。韓国・李明博政権が米空母だのみで事態を乗り切ろうとし、同じ民族同士で事態を解決しようとしていないことはきわめて危険である。
軍事境界線での問題については、公正で客観的な見方が必要だ。延坪島など半島西海岸では、軍事境界線の合意が存在しない。「北方限界線」は停戦協定成立の直後に、国連軍側が一方的に設けたものであり、その後、領海12カイリの時代になって共和国が無効を宣言しているものである。今回、北にすれば、南に事前に演習中止を求めていたにも関わらず、領海侵犯の軍事演習と実射が強行されたため自衛権行使を余儀なくされたということになる。南が演習を一方的に強行したことが、今回の砲撃戦の直接の原因である。北の砲撃によって民間人に死傷者が出たことはきわめて遺憾であるが(二七日に北も遺憾の意を表明)、これをもって北のみに責を負わせる見方は公正ではない。軍事境界線での緊張激化を南北双方が自制しなければ、双方に民間の被害は再発してしまう。
第三に、日本の反戦平和運動にとっては、当面の戦争と危険に反対するだけでなく、日本外交は本来、北東アジアの平和構築のために何ができるのかという積極的思考も問われている。
中国は二八日、この砲撃戦問題での6者協議を提案したが、米韓は拒否し、菅政権もこれに追随、「北の蛮行とは断固対決する」などと息巻いて拒否した。朝鮮半島問題での米中のヘゲモニー争いにおいて、ただ米国に付くだけというのでは無能政治である。「北東アジア地域の平和」構築を合意した日朝ピョンヤン宣言は、いぜん生きている。独自の平和外交を検討すらしない菅首相・前原外相はクビにするしかない。(A)