10・16〜17
第22回コミュニティ・ユニオン全国交流集会in霧島
  さらに社会的連帯の輪ひろげ

 十月十六日〜十七日の両日、「第22回コミュニティ・ユニオン全国交流集会in霧島」が鹿児島県霧島市の霧島国際ホテルで開催された。全国からコミュニティ・ユニオン(地域ユニオン)の仲間300名以上が結集した。
 第一日目は、午後一時よりコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの定期総会が行なわれた。
 その活動報告では、非正規労働者のホットラインなど労働相談の活動や派遣法改正の取り組み、各地方ネットワークや課題別ネットワークなどコミュニティ・ユニオンの横のつながりの拡がりが進んだこと、などが報告された。
 2011年度方針では、こうした活動をさらにすすめて「社会的連帯の輪」を拡げていくことが提案され、新たな役員の提案とともに全体で確認された。
 なお総会では、東京での参加団体の組織問題の影響で、コミュニティ・ユニオンの昔からの仲間の一部が今回は参加しないという事態が起こり、問題を引きずる形ともなった。
 総会終了後、休憩をはさんで、琉球新報社政治部長の松元剛さんの記念講演が行われた。松元さんは、沖縄の問題は日本の政治全体の問題として扱われるべきで、普天間基地問題にみられるように、少数の弱い立場の者に負担を押しつける今の政治構造を断ち切らなければならないことを熱く語った。
講演の後には、ユニオンみえからは、トヨタ下請けの光精工での大量雇い止め解雇の撤回を求める外国人労働者の闘いがDVD上映で紹介され、また武庫川ユニオンからは尼崎市の労働福祉会館廃止反対について、また連合福岡ユニオンからは有期雇用労働者アンケートの調査結果について報告が行なわれた。
 夜は美味しいごちそうを充分に食べながら、各地域ごとに参加団体が紹介された。
 二日目は朝から、十二の分科会に分かれて、より密な討議と交流を行なった。最後に全体集会で、今回の交流集会の意義を互いに確認し合い、「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」という運動の原則に立ち帰って、現在の未曾有の大恐慌に打ち勝っていこう、という集会宣言を全員で採択し、交流集会を打ち上げとした。
 来年の全国交流集会は、山形県の米沢市で開催することが決まった。(地域ユニオン組合員S)


三菱自動車岡崎工場で労災隠し
   違法派遣下での外国人労働者被災の責任を取らせよう

 派遣、請負など間接雇用の労働現場では、労働災害が隠蔽され、労災保険が申請・適用されないまま、自費治療を強いられ休職補償が行なわれない事態が、水面下で頻発している。派遣先企業が雇用責任を負うことなく、労働者をモノとして働かせることのできる間接雇用は、労災隠しの違法行為や労働安全配慮義務違反が起きる温床でもある。
派遣など間接雇用の法的規制が製造業においてすら、なかなか進まない現状下、雇用安定を求めるとともに、労災の責任を取らせることも、非正規労働者の権利確立にとって欠かすことのできない闘いの一環である。
以下は、三菱自動車工業岡崎工場での労災隠しについての、名古屋ふれあいユニオンの告発である。
三菱自動車工業の岡崎工場構内に違法派遣されていた日系ブラジル人労働者が、今年六月二八日に岡崎工場内で労災事故にあい、右肩脱臼で全治4ヶ月以上の重症を負ったにもかかわらず、3ヶ月以上にわたって労働基準監督署に労災の届出がなされていない労災隠しの状態におかれている。
被災労働者・大木=デ=アルメイダ=アンデルソンさん(31歳)は当労組に加入し、当労組は三菱自動車工業や構内請負会社「東山」(名古屋市緑区)、派遣会社「G−Staff」(愛知県安城市)の三社に交渉の申し入れを行なったが、三菱自動車は交渉を拒絶。東山も回答期限までに交渉申し入れに回答していない。G−Staffは労組との交渉に応じ、労災手続きを進める意向を示している。
被災した大木さんは今年二月二八日から、G−Staffを通じて岡崎工場内で構内作業を請負っている東山の作業所に派遣された。就業にあたっては、派遣先である東山の従業員が労働者派遣法などで禁止されている事前面接や採用テストを実施しており、社会保険にも未加入のまま働かされるなど、違法派遣の状態にあった。
六月二八日、大木さんは岡崎工場内の北西のエリアで、自動車の車輪だけがまだつかない車体を台車にのせて、東山の日本人従業員・山崎リーダーとともに運んでいた。午前8時30分ごろ、スロープにさしかかった時、スピードを上げた台車を後ろから押していた山崎リーダーが制動しきれなくなり、前にいた大木さんを押して転がし、転んだ彼の肩の部分に車体ごと乗り上げてしまったという。
大木さんは右肩鎖間接脱臼で全治1ヶ月以上の診断を受けたが、G−Staffの西藤社長に「国民保険でやれ」、「外でケガしたと言ってくれ」と言われていたため、仕方なく「坂で転んだ」と病院では告げ、自費での治療を強いられるなど、労災隠しが行なわれていた。
なお十月末時点で、名古屋ふれあいユニオンの追及によって、派遣会社は労災申請手続きを開始したが、労災隠しであることを認めず、手続きの遅れを本人のせいにするなど反省がみられない。労災を含め雇用責任を果たすべき請負会社と三菱自動車は、いぜん交渉にすら応じていない。三菱自動車工業は、自社工場でおきた労災の責任を自身で取れ!(W)