編集部だより

★「社会崩壊の一側面」を、先月号までに5回にわたって掲載してきた(まだ続く)。それは、私なりの「マルクス主義の現代的発展」の試み一環であり、その要に位置するものである。★現代の革命理論の出発点は、資本主義がもたらした産業の成熟であり、地球環境限界への逢着であり、またそれらが引き起こす人々の欲求の高次化(物的豊かさから人間《関係性》の豊かさへの欲求移行)である。資本主義がこれらの新たな社会的土台に適合しないため、社会は世界の中心部から崩壊しだしているのである。★現代の革命は、社会の再建という大義を握り締めて前進する。新たな社会的土台に依拠した革命は、産業(労働手段)の時代、物質代謝能力増大の時代、物質的欲望拡大の時代の終焉を意味し、それらを牽引してきた私有財産制と階級システムの廃絶を不可欠とするのである。★「社会の崩壊」は、その克服をめぐる「百家争鳴」の時代を開かずにいない。最近話題のマイケル・サンデル(ハーバード大学教授)の本(早川書房)のタイトルは「これからの『正義』の話をしよう」、サブは「いまを生き延びるための哲学」とある。社会を救い出すための一つの哲学的苦闘である。共産主義者もまた、自己の理論的な混迷と分散に終止符を打ち、時代の要請に応えてゆかねばならない。(深山)