菅・小沢対決の民主党代表選をどうみるか
  政治の行方決めるのは我々だ


 現在、民主党の党代表選が、首相の菅直人と前幹事長の小沢一郎の一騎討ちで行なわれている。
民主党代表選が、幹部談合による菅続投ではなく、マスコミ動員の派手な選挙戦となったことは、全体としては民主党の人気挽回策とはなるだろう。しかしそれは、党内亀裂をさらけ出し、自民党などとの政界再編の始まりとなる可能性をも示すこととなった。
代表選の公約では、菅は、現政権政策の「強い経済・強い財政・強い社会保障」の基調のもとに、とくに「雇用創造」を強調している。菅自身が参院選敗北の要因と認める「消費税10%」については、「熟議の民主主義」で「消費税を含む税制改革」も議論する、とトーンダウンさせている。
 小沢の公約は、「政権交代の原点に立ち返り、総選挙マニフェストを誠実に実行」を基調とし、とくに「政治主導」を強調している。これは、一律削減の予算編成方法を「官僚主導」への逆行と批判するためである。経済面では旧来政治的で、財政出動による景気回復、高速道路建設での雇用安定を掲げる。小沢の「政治とカネ」の問題は、今現在は収賄など重大容疑ではなく、むしろ政治的な意図がからんでいるが、この問題が、田中角栄ゆずりの彼の利益誘導政治体質を物語っていることは確かである。
注目される普天間返還問題では、菅が「日米合意を踏まえて」とするのに対して、小沢は「沖縄県、米政府と改めて話し合いを行なう」とし、明らかに小沢に軍配が上がる。しかし彼は、5・28日米合意・閣議決定の撤回とは言わず、「日米合意は尊重するが、沖縄が反対するかぎりムリ」と言うのみである。その公約は利用はできるが、抽象的だ。菅続投であっても、沖縄県民が十一月知事選に勝利すれば、どのみち「改めて話し合い」しかない。それ抜きに新基地建設を強行すれば、政権打倒の事態は不可避となる。
こうした現況に対して労働者共産党・三中総決議は、「与党内の『国民の生活が第一』の堅持を求める傾向と、菅政権との軋轢も強まりつつある。民主党は、自己の執権に正当性を与える自民党旧体制の否定と、政権党としてのブルジョア現実主義との間で不断に動揺していく」と分析し、「この与党民主党の両面性をふまえて、労働者人民の政治的・社会的進出と改良的成果を最大限にかちと」ろうと呼びかけている。
情勢の争点が民主党内にも激しく反映する。しかし、その行方を決めるのは菅や小沢ではなく、結局、我われ労働者人民の闘いである。



第四期第三回中央委員会総会を開催

動揺する民主党政権と闘い、「第三極」政治勢力の形成へ!

                        労働者共産党中央常任委員会

 労働者共産党は去る八月、第四期第三回中央委員会総会を開催し、成功裏に終了した。
 総会の第一日目は、その成立を確認し、議長団を選出して始められた。最初に中央委員会常任委員会から、今後一年のわが党の方針に関する決議案が提出され、審議が開始された。
 その決議案は第一章で、一年前の二中総決議が「政治の変化を活用して、労働者民衆自身による社会の再建と資本との闘争の大規模な発展、『第三極』政治勢力形成へ大きく道を開かねばならない」と述べたことを再確認し、この闘いについて、「参院選での一定の逆流を経てもなお、依然現在進行形である」として、民主党政権下での労働者階級の闘争方針の基調を提起した。
 第二章「内外情勢の特徴」では、財界とアメリカ帝国主義にすり寄る菅民主党政権の姿を浮き彫りにするとともに、民主党主導政権の「第二極」的政治の貫徹が困難になっていること、政界再編の傾向も強まったこと等を指摘した。
 第三章では、普天間基地撤去・新基地阻止の闘いに勝利することの重要性を指摘した。そして、沖縄民衆の「県外・国外移設」要求を支持し、「5・28日米合意」撤回と日米安保見直しの諸政策を民主党主導政権に要求すること、沖縄では県知事選の勝利を闘い取ること等、沖縄・安保闘争の方向を提起した。
 第四章では、民主党政権と与野党への対処方針を提起した。参院選の結果によって民主党主導政権の「第二極」的政権としての性格がさらに後退しているため、その利用可能性はさらに小さくなっているが、民主党の公約にいぜん利用できる側面があることを否定しないとし、その上で、労働者人民の政治的・社会的進出と改良的成果を最大限勝ち取るべく闘争することを明確にした。そして、自民党等の反動的野党勢力の復権を阻止し、進歩的野党勢力と共同する基本態度を確認した。
 第五章では、沖縄基地撤去闘争以外の当面の各法案・施策をめぐる課題に関する方針を提起した。
第六章では、当面の労働運動・社会運動の発展のための方針として、特に非正規労働者の組織化に焦点を当てた。
最後に第七章で、党建設、左翼結集、「第三極」形成について確認して締めくくりとした。
討論は、この間の「政権交代」以降の情勢での基本的闘争方向、その方針の前提条件である民主党政権の動揺、沖縄基地問題や当面の労働運動・社会運動に関わる方針の実践的な深化、党の「世代交代」を党勢拡大で実現する必要性、その党発展のために重要なマルクス主義の現代的発展、などについて活発に行なわれた。
対案提出はなかったが、修正案は第一日目から積極的に出され、討論内容を豊富化させた。
第二日目に、修正案が出そろい、計四名の中央委員から出された計十四箇所の修正案が全て可決され、「『政権交代』から一年、動揺する民主党政権と闘い、労働者人民の政治勢力の前進へ!」と題する議案は、全員の賛成で採択された。
 次に、中央会計報告がなされ、つづいて各地の中央委員やオブザーバーから各自の活動報告を受けた。それぞれが、相互によい刺激と希望を与える豊かな内容であった。
 最後に、常任中央委員の同志から、「今中総では、『第三極』形成に向け、それぞれの闘いをそれぞれの同志が先頭に立って闘うことが求められている。一つ一つ実践して総括し、次の党大会で報告できるよう頑張ろう」と締めくくりの発言が行なわれ、二日間の日程を完了させた。