排外主義を許さない5・30関西集会
  暴力を制圧し社会的包囲へ

 五月三十日の午後、久しぶりの暑さの中、大阪市・扇町公園において「排外主義を許さない5・30関西集会 『在特会』、『主権回復を目指す会』らの暴力を許さない街頭行動」が、広範な参加の実行委員会主催で取り組まれた。集会には、労働組合(全日建、全港湾、釜日労など)や市民団体など約1100名が結集した。
 最初に主催者あいさつを高英男さん(全日建連帯生コン支部副委員長)が行ない、「在特会」らの暴力に対して断固戦っていくことを決意表明した。
 続いて、排外主義者の暴力の被害を受けてきた団体などがアピールした。始めに、朴栄致さん(朝鮮総連大阪府本部国際統一部長)が、「在特会」による朝鮮学校への襲撃に対する糾弾をはじめ、政府による高校無償化からの朝鮮高校の排除、大阪府橋下知事による朝鮮学校に対する差別と民族教育への介入、そして大阪府による朝鮮学校への補助金の予算執行保留措置などを強く批判し、民族教育を守り抜く決意であること、そして民族排外主義と闘っていくことを表明した。
 つぎに、「在特会」から組合事務所に乱入された徳島県教職員組合が発言した。四月十四日の午後一時過ぎ、男女十数名が書記局内に乱入、ハンドマイクで叫び、事務所を荒らしまくった。組合は四月二十一日、襲撃した八名を刑事告発した。朝鮮学校への支援カンパは、組合が組織決定したものである。これへの暴力による妨害を許さず民主主義を守っていくと報告した。
 日本軍の強制「軍隊慰安婦」問題の解決を求める各地の運動に対しても、「在特会」の暴力・妨害が繰り返されているが、集会では、「性奴隷」問題全国同時企画をすすめる京都の市民団体、また「水曜デモ」からのアピールがあった。
 6・18集会実行委員会からは、「人としての尊厳を踏みにじる橋下知事発言は許せない」として、朝鮮学校の高校教育無償化を求めるこの緊急集会への参加が呼びかけられた。
 宝塚市議の大島淡紅子さんはじめ多くのアピールの後、まとめの挨拶を大野進さん(全港湾大阪支部委員長)が行ない、集会決議を採択した。
 西梅田公園までのデモに出発。警備に名を借りた機動隊のデモ規制に抗議しつつ、「排外主義を許すな」「在特会の暴力を許さないぞ」「朝鮮学校への襲撃を糾弾するぞ」などを叫んで行進した。
 この集会・街頭行動は、このかんの関西での排外主義者との闘いを集約し、かれらに「直接対峙」するとともに「社会的包囲」を広げ、排外主義者とその社会的政治的背景への闘いを強めようとするものであった。排外主義の政治的背景としては、韓国強制併合100年の時に日本の政権が変わっても、朝鮮民主主義人民共和国への経済制裁の続行、船舶臨検法の強行など朝鮮半島政策に変化がなく、また高校無償化から朝鮮高校を当面排除するという新たな民族差別を政府が作り出しているという現況がある。
 「在特会」らを追い詰めるとともに、こうした政治での排外主義を許さず、朝鮮高校の授業料無償化などを実現させていこう。(関西N通信員)


改憲国民投票法は廃止せよ
    施行(5・18)されても執行できない欠陥法

 〇七年の安倍自公政権時に成立した改憲国民投票法が五月十八日に施行されたが、この三年間で憲法情勢は大きく変わった。
この改憲手続き法は、もともと憲法改正を求める国民の機運などが存在しない中で、「戦後レジームの脱却」など極右政治を掲げた安倍政権が、小泉「郵政解散」時の自民党議席数を利用して強行採決で国民に押し付けたものにすぎない。しかし、現在の民主党連立政権では憲法問題はどう扱われているのか。その連立合意では「改憲」の一字もなく、「憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」、つまり憲法を変えるではなく憲法を活かすとしているのである。政権交代以降での、改憲国民投票法の施行はナンセンスである。
憲法をめぐる国民世論も、自公政権打倒をへて好転してきた。〇五年の朝日新聞世論調査では「9条改憲」について「反対51%」「賛成36%」であるが、今年一〇年では「反対67%」「賛成24%」となっている。その賛否の差は小泉・安倍の右派攻勢の時期に詰められたが、再び9条擁護の優勢が強まっている。9条改憲を狙いとする改憲手続き法などは、国民世論に逆行するものでしかない。
この法律は、政治的に無意味・有害であるだけでなく、欠陥法である。改憲派はこの三年間で、改憲国民投票権「十八歳以上」の規定に合わせての公職選挙法や民法の改定、衆参両院の憲法審査会の始動などをやるつもりであったが、これら前提作りに失敗しているのである。欠陥法は執行させてはならず、廃止させねばならない。
民主党は、三年前の強行採決時に改憲国民投票法案に反対した。また、今は政権を取っているにも関わらず、これの廃止案、施行の凍結案などを提起することなく、総務省が施行令を強行することを放置した。時期を見ての明文改憲、という民主党の本音がここにバクロされている。それまでは自衛隊派兵と集団的自衛権行使のための解釈改憲を強めるつもりだ。警戒心を高め、改憲手続き法を廃止させ、憲法改悪策動の復活を粉砕しよう。

  4500人が共同し、10回目の5・3日比谷

こうした憲法情勢下、日本国憲法施行63周年の五月三日、各地で憲法闘争の行動が取り組まれた。以下、首都圏での二つの集会を紹介する。なお同日、京都では沖縄からの報告を含めての憲法集会が二千人、大阪では「九条の会・おおさか」主催の集会に一千人のほか、有志呼びかけによる「沖縄米軍基地撤去!9条改憲阻止!5・3共同行動」も取り組まれた。(W)
五月三日の東京では、「いかそう憲法!輝け9条!歩みつづけて10年、2010年5・3憲法集会」が日比谷公会堂を中心に開かれ、約4500名が大結集した。主催は、許すな!憲法改悪・市民連絡会や憲法改悪阻止各界連絡会議など憲法闘争関係八団体を事務局団体とする実行委員会。
 一時間も前から会場周辺は参加者であふれ、公会堂に入場できない参加者は、場外大スクリーンを観ながら、各団体創意をこらした独自集会を開いて合流していた。
 集会は最初に、主催者を代表して高田健さん(市民連絡会)が、「五月十八日の改憲国民投票法の施行を許すな!沖縄の反基地闘争と連帯して闘おう!」等を要旨とする基調報告を行なった。
 つづいて第一部のスピーチでは、田中優子さん(法政大教員)が、「沖縄をはじめとする米軍基地撤去、日本の再軍備阻止、東アジアの共同体をめざす平和構築」等を訴え、さらに「天皇制があるかぎり近代民主主義はない」、「憲法を現実に合わせるのではなく、憲法に従って世界を変えることが課題である」と提起した。弁護士の伊藤真さん(伊藤塾塾長)は、在日米軍の事件・事故で戦後一千人以上の国民が亡くなり、その多くが沖縄であるが、安保条約が基本的人権を破壊していることを指摘した。俳優の市原悦子さんは、子どもを犠牲にする戦争を切々と告発する朗読を演じた。
 第二部では、社民党の福島党首が、「反貧困、核廃棄、辺野古基地建設阻止」、「連立政権の中でがんばる」と発言。日本共産党の市田書記局長は、解釈改憲阻止!を強調した。連帯アピールが全労連、全労協などから行なわれ、最後に「5・3憲法集会アピール」が採択された。
 今年のアピールは、〇一年の5・3から十回目の集会となるこの共同の取り組みを振り返って、小泉、安倍の明文改憲策動を自公政権の打倒として押し返してきた成果を確認しつつ、しかし現在は、改憲国民投票法の強引な施行、憲法審査会の始動をめざす動き、集団的自衛権行使の容認や派兵恒久法など解釈改憲の動き、これらが進められていることを指摘し、気をゆるめずに闘いと共同行動を発展させようと訴えるものであった。
 集会後のパレードでは、ジュゴンのバルーンを先頭に、参加者は安保粉砕、沖縄連帯などを高唱して銀座通りを行進した。
 民主党政権下、改憲手続き法の施行を許さない、労働者・市民の広範な闘う姿勢が示されたのであった。(東京Y通信員)

    松戸憲法集会に1200余

 千葉県松戸市で第八回目となる「憲法記念日の集い」が同実行委員会主催で、五月三日に行われた。会場の市民会館ホールには、午後一時開会にもかかわらず九時前から並ぶ人もおり、講演のノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さんへの期待の大きさが伺え知れた。
当日ほぼ同時刻に、松戸から三十分ほどで着ける東京・日比谷の大集会があるにもかかわらず、会場定数の千二百名を超す人々で通路もロビーも一杯となる盛況であった。同実行委員会は、二十年以上にわたり憲法集会を開催してきた「松戸市に夜間中学をつくる市民の会」を中心として、本年は七十二の団体が参加し、党派を越えてつくられている。
 益川さんは、2時間余の講演で少年期の空襲体験から語り、当時の科学者が戦争に協力し、日本の木造家屋に合った焼夷弾を作り、残虐な殺戮行為に手を貸したことを批判した。また「日本が戦後、戦争をしないのは、憲法九条によって交戦権が認められていないから」と述べ、平和の尊さとともに自衛隊の海外派兵と改憲の動きを厳しく批判した。
 集会終了後は、「活かせ9条松戸ネット」主催によって松戸市内のピースパレードを行ない、改憲阻止、自衛隊の海外派兵反対、沖縄米軍基地撤去をシュプレヒコールで訴えた。(千葉Ku通信員)


5・18東峰裁判闘争で空港側圧倒
  守れ一坪共有地・団結小屋

 五月十八日、千葉地方裁判所の民事621号法廷において、三里塚?東峰の一坪共有地を強奪し、共有地に立つ東峰団結小屋を撤去せんとするための裁判(三回目)が開かれ、この攻撃を許さず、東峰を守るための裁判闘争、審問と傍聴の闘いが行なわれた。
 この東峰裁判をはじめ一連の訴訟=追い出し裁判は、成田空港株式会社(旧空港公団)が二〇〇八〜〇九年に渡って全国の共有者約一千名に対し、「一坪共有地」の売り渡しを強迫する手紙を発送し、〇九年十月には空港用地内六ヵ所の共有地の明け渡しを求める訴訟を千葉地裁に提訴したものである。一坪共有地強奪裁判は、この東峰裁判(菅野弁護士)の他、小川ルミ子さんが共有者の裁判、また四ヵ所が併合審となっているもの(清井弁護士)、計三つの裁判である。このほかにも、団結小屋撤去訴訟として横堀団結小屋裁判闘争が闘われている。
 このかん空港会社は、民主党政権下での羽田ハブ空港化・空港行政見直しのなかで危機感を強め、成田・芝山周辺の利権集団にあおられつつ、滑走路の再延長、発着30万回化を画策し、東峰部落をはじめ用地内への攻撃を強めてきたが、これと連動して訴訟攻撃を仕掛けてきたものである。
 法廷では前回に続いて、弁護側が共有地強奪の不当性を明らかにする「書面後半部」を提出し、弁護団・共有者・傍聴人の団結で、空港側二人の弁護士らを圧倒して裁判闘争を取り組んだ。次回は六月二九日、空港側が書面を提出する予定。
 共有地強奪裁判では東峰裁判の審理が先行する形となっている。東峰裁判闘争で、約束反故の土地強奪・空港拡張の不法・不当を満天下に明らかにしよう。(東京Y通信員)