名護、那覇、東京で日米合意糾弾

「怒りの5・28」、勝利の日まで


 「5・28」は、沖縄にとって極限的怒りをもっての、新たな「屈辱の日」となった。
この日夕刻の雨の中、名護市と那覇市で「日米合意」への糾弾集会が行なわれた。名護市役所中庭で開かれた「辺野古合意を認めない緊急市民集会」には市内外から約1200人が怒りの結集、辺野古新基地建設を絶対に認めない態度を確かめ合った。この緊急集会の実行委員会では、稲嶺進市長自身が先頭に立っている。登壇した稲嶺市長は、「日米共同発表の今日、私たちは屈辱の日を迎えた。沖縄はまたしても切り捨てられた。まったく許されない。地元への説明もなく頭越しであり、市民県民無視である。与党合意さえない。この国に民主主義はあるのか。この闘いに勝利し、地方自治、民主主義を取り戻そう。辺野古に基地は絶対認めない。」と宣言した。この市長の態度表明に呼応し、市内各区の住民の発言が前面に出た怒りの市民集会となった。
また那覇市の県民広場では、県内移設反対県民会議の主催で、「普天間問題の日米合意を糾弾し辺野古移設を決して許さない5・28県民集会」が行なわれていた。約1500人が結集して「県民頭越しの日米合意は無効だ」と宣言する決議を採択、国際通りをデモ行進した。「怒」と大書きされたプラカードは、4・25県民大会のシンボルカラー黄色から怒りの頂点のレッドに変わった。
これらの集会中に、「福島みずほ罷免」のニュースが入ってきた。首になるべきは鳩山だ。福島氏の署名拒否は圧倒的に支持された。沖縄で五月末実施の琉球新報・朝日新聞世論調査では、社民党支持率が首位の10・2%に急増し(昨年秋調査では4・9%)、日米安保維持がたったの7%になった。
東京でもこの日同時刻、御茶ノ水で「許すな!普天間問題の日米合意 とめるぞ!辺野古新基地建設5・28緊急集会」が開かれた。平和フォーラムと一坪反戦地主会関東ブロックの共催、ワールドピースナウなどの協賛によって、会場いっぱいの600人が参加した。
集会には民主党衆院議員の川内博史、近藤昭一、斎藤勁の各氏などが参加し、日米合意で訓練移転が明記された徳之島を抱える鹿児島選出の川内議員が国会報告を行なった。川内さんは、昨日、与野党181名の国会議員が「5・27普天間問題緊急声明」を出したことを報告した。この議員共同声明は、「県外・国外移設」の方針にもとづく対米交渉のやり直しを政府に求めるものである。また服部良一社民党衆院議員は、「政権離脱という小さな問題ではなく、沖縄対本土という大問題になりつつある。安保そのものを論議に乗せよう」と訴えた。

5・16普天間基地包囲行動
  宜野湾市、名護市が共同声明発す

以上に先立つ五月十六日、沖縄では五回目の「5・16普天間基地包囲行動」が行なわれ、激しい雨にもかかわらず約1万7000人が参加、人間の輪を完成させて普天間基地早期閉鎖・全面返還を訴えた。今回の普天間包囲は、実行委員会に中部の7市町村長が初めて参加したことが特長であり、現在の沖縄では基地撤去要求が県民ぐるみ、超党派であることを再び鮮明にした。
また同日、伊波洋一市長と稲嶺進市長により、「普天間飛行場の県内移設に反対する宜野湾市・名護市共同声明」が発表された。声明で両市長は、両市が手を結んで鳩山政権の県内移設策に反対することを確認し、グアム移転計画を政府として検証し対米交渉に強く臨むことなどを訴えた。
もし、今回の「5・28」辺野古現行案回帰の日米合意と閣議決定が固定化されるならば、それは、サンフランシスコ講和条約で沖縄を米軍支配下に切り捨てた52年の「4・28」、沖縄基地強化をすすめる日米安保体制への「日本復帰」を強行した72年の「5・15」、これらに匹敵する沖縄への歴史的裏切りとなるだろう。
しかし、その固定化・実行は不可能である。沖縄の一致結束した拒否があるかぎり、また、それに連帯する日本民衆の運動があるかぎり、「5・28」は必ず破産し再転換を余儀なくされるだろう。(A)