公約違反の「県内移設」強行策を粉砕し、
   沖縄県知事選挙に勝利しよう!


  沖縄民衆と共に 闘う「第三極」形成へ


 9万人の「島ぐるみ」の意思を示した4・25沖縄県民大会の大成功によって、鳩山連立政権による公約違反の普天間基地「県内移設」策動は重大な打撃を受けた。普天間問題での、県政与野党が参加する超党派の県民大会はこれが初めてである。「現行案」容認を降ろしていない仲井真知事も、直前になって「県外・国外移設」を求めるこの大会に参加せざるを得なくなった。
県民大会の成功は、地元合意を前提とすれば、鳩山政権が言う五月末期限の「移設案」決定が不可能となったことを示す。ところが鳩山首相は県民大会の突きつけにもかかわらず、「辺野古杭打ち桟橋案」なる修正「現行案」を唐突に持ち出し、これをもって五月四日訪沖し知事と会談した。また「徳之島案」にも固執して、七日には徳之島三町の町長を首相官邸に呼ぶとしている。しかしこれらは、現在の琉球弧における反基地・反ヤマトの高まりの中では、首相の徒労に終わるだろう。
こうして、普天間問題での政府の迷走を政治利用して、自民党など右からの鳩山政権打倒運動が激化し、左翼の一部もその尻馬に乗り、鳩山民主・社民・国民新連立政権の動揺が深まるなかで、七月参院選、十一月沖縄知事選が近づきつつある。昨年八月総選挙・政権交代に次ぐ政治激動が迫っている。闘う勢力には、普天間問題のみならず、政治闘争全局での明確な方針が問われている。

    4・25県民大会の評価

さて沖縄県民大会は、大会の黄色のシンボルカラーをそれぞれが身に付けた民衆が、それによって基地撤去の意思を示し、個々に大挙結集するというすばらしい大会であった。翁長那覇市長、高嶺県議会議長ら実行委員会の挨拶、宜野湾市の伊波洋一・名護市の稲嶺進・うるま市の島袋俊夫という三市長の決意表明、勝連漁協からの漁民代表挨拶、普天間高校生の登壇、二月県議会決議を基礎とした大会決議、これらのプログラムは超党派、県民ぐるみの様相を遺憾なく示すことに成功した。しかし考えるべき点はないのか。
この県民大会について沖縄の同志は、次のように指摘する。第一に、日本の政府やマスコミがあくまで県内移設に固執するため、この構造的沖縄差別を体感する若年層が増え、これら青年・子連れの女性の参加が目立った。年配者にはヤマト不信が従来からあるが、若い人々が沖縄差別に目覚めたことの意義は大きい。
第二に、大会の超党派の性格は、自民党県連や仲井真が当面を生き延びる方便として、また知事選をにらんで、参入してきた結果生まれたものである。徳之島の4・18大会のように一致点(農業振興など)で団結したものとは言えない。政党発言をとりやめ、論争が生じないようにしている。これは自民・公明や下地幹男派に有利である。
第三に、大会成功で県民内の争点は無くなったかのように見えるが、超党派は今大会を頂点として一気に下がっていく。県知事選と、知事権限をいかに行使するかが争点となるだろう。知事選を意識した対応が感じられないのは、むしろ県議会多数派の方である。
この指摘のように沖縄では、県内移設なき普天間基地撤去に勝利する可能性、ひいては、日本政府に対決する沖縄民衆の独自の統一戦線を前進させる新たな可能性が開かれるとともに、知事や下地派という日米防衛官僚派の足場がいぜん残されているという現況である。
そして日本全体の労働者階級人民の闘いとしては、どうなのか。一方では「第二極」的政権による普天間問題をはじめとする公約違反などときびしく闘うと同時に、他方では、自民党とその別働隊など反動勢力・官僚勢力・新自由主義勢力の復権策動、「第一極」的政治の巻き返し、これを粉砕する闘いが問われている現況である。
この連立政権を労働者人民の圧力によって利用できる余地は、諸課題でいぜん少なくはない。しかし、政権がいわば中道左派から中道右派へ転落しつつある中、反動勢力の復権を阻止しつつ、民主・自民のブルジョア勢力と対峙する労働者人民の「第三極」的政治勢力の形成を進めなければならないのである。