千葉県松戸市
  民主、社民が加担して「住民投票」条例案を否決
   直接民主主義に敵対

 千葉県松戸市での市立病院移転を問う住民投票条例請求(本紙三月一日号参照)は、四月臨時議会に条例案が提案されたが、四月十二日の本会議で賛成11、反対31、欠席3で否決されてしまった。
 その内訳は賛成が、住民投票請求署名運動を推進した新社会党を含む四名、後から参加した日本共産党の五名、および市長選立候補予定の保守系と独立会派の各一名であった。反対は、市長派を含む保守系、公明党、民主党そして社民党の各議員であった。欠席には住民投票推進に加わった民主党議員も含まれており、条例制定反対の党議拘束が掛けられた筋がうかがわれた。
 採決前の討論では、反対意見を述べた議員として、民主党のHは元々川井市長と一体であったから論外とはいえ、社民党のNにいたっては地方自治・住民自治のイロハも理解できない体たらく振りで、「行政と議会で協議するから、住民投票は必要ない」との市長見解を鵜呑みにしただけの意見であった。
 「地方主権」を強調する鳩山政権の与党である民主党、社民党が、住民自治の最も根幹的な直接請求の行動たる、住民投票に反対する暴挙に出たという事実を検証してみなければならない。公明党などは自らの意見も述べず、ただ市長派であるというだけで反対に回っている。一部保守派は新年度予算で新病院建設予算を削除したことで精一杯と吐露している。民主、社民がこれらと代わり映えがないとしたら、両者は市民にとってどんな存在意義があるのか。
 民主、社民を含む反対派議員は、市長の言う行政と議会で全ての市運営は行なうから市民参加は排除すべきとの見解に同化し、議員風を吹かしているだけで、なかには住民投票の根拠たる地方自治法をまるで読んでいない輩さえいる。
これらの議員たちは、憲法第43条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」との代表制を盾にとり、一般市民と別格の存在として振る舞いたいらしいが、この代表制は地方自治体の長ならびに議員には該当しないことを知らない。
地方自治法には、国会議員には適用されない国民のリコール権が明記されている。第76条・議会の解散請求、第80条・議員の解職請求、第81条・長の解職請求である。まさしく地方自治体においてはリコール権が明確に存在し、長および議員と住民との関係は、代理制というのがふさわしい。地方自治においては国政と異なり、直接民主主義の要素が多分に含まれているのである。もちろん住民の自覚的参加がなければ、この要素は活きてはこないが。
今回の松戸市での住民投票を求める署名運動の大成功(選管が受理した署名数31997)、これを無視した市長と議会の対応は、自治の根幹にかかわる大反動である。六月には市長選、十一月には市議選が実施される。そのときには必ずや反動分子、中間派に市民・住民からの鉄槌が下されるであろう。(千葉Ku通信員)