許すな「県内移設」強行策
        支配層の一切の巻き返しを粉砕しよう

 鳩山民主・社民・国民新連立政権は三月二日、自民党の審議拒否を乗り切って一〇年度予算案を衆院通過させ、今後の政局は、政府が「五月期限」とする普天間基地「移設」先の決定をめぐる攻防、七月参議院選挙へ向けた議会与野党の攻防となっていく。
 現情勢の特徴の一つは、民主党が昨年総選挙での衆院単独過半数に続き、議員の鞍替えによって参院でも単独過半数を占め、社民党の政権離脱を恐れることなく、自党の政策をごり押しすることが可能となったことである。
これによって民主党本来の日米安保体制堅持、財界や労働貴族との協調というブルジョア政治が前面に出てきている。鳩山首相は日米安保50周年談話で「在日米軍は公共財」と強調し、民主党閣僚からは米海兵隊の日本駐留は「抑止力」として必要、沖縄からの撤退はないとする発言が相次いだ。普天間問題では、「キャンプ・シュワーブ陸上案」という「県内移設」強行案へ傾斜している。また中央即応連隊をハイチに派兵した。労働者派遣法改正問題では、連立政権合意の内容から後退し、労政審答申に迎合したエセ改正案を提出しようとしている。
情勢の特徴の二は、民主党連立政権を支える勢力と旧政権勢力との抗争が、政界再編と参院選挙をにらんで激化しつつあることだ。この抗争は、小沢幹事長ら民主党と、自民党および検察との抗争という形をとっている。しかし、その底流にある本質は、「国民の生活が第一」を大義名分とする政権交代を実現させ、政治的に一歩進出した労働者人民の闘いに対して、体制側が巻き返し押さえ込もうとしている動きである。
小沢・鳩山の「政治とカネ」問題は、民主党が大ブルジョア政党であることを露呈したが、権力抗争のネタであり、そこに当面の焦点があるのではない。抗争の本質は、政治資金規正法違反を名目とした三月一日の北教組弾圧によって明らかとなった。
政権交代を利用した労働者人民の闘いの前進、これを恐れる点では自民党も民主党も同じだ。普天間問題では、政権の一部(北沢防衛相、長島防衛政務官、沖縄選出の国民新党・下地幹男)が独走して画策しつつある「県内移設」に対し、二月二四日全会一致の県議会決議(以下掲載)として、すべての沖縄県民が断固許さないことを宣言した。沖縄民衆とともに、体制側の一切の巻き返しを粉砕しよう。

  米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、
  国外・県外移設を求める意見書


 米軍普天間飛行場は、沖縄本島中部の市街地に位置し、その周辺には住宅や学校等が密集しており、万一事故等が発生した場合は、その被害は多くの周辺住民や各種施設に及ぶことが懸念され、極めて危険性が高い場所だ。
 2004年8月13日に発生した沖縄国際大学構内への米軍海兵隊所属CH53D大型輸送機ヘリコプターの墜落事故は、一歩間違えば大惨事を引き起こしかねないもので、「世界一危険な飛行場」の存在を改めて内外に証明した。
 このため、県民は同飛行場の返還を強く要求し、これを受け日米両政府は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意、06年の在日米軍再編協議で同飛行場の全面返還を合意したが、13年経過した今なお実現を見ることはなく、その危険性は放置されたままだ。
 県民は、去る大戦の悲惨な教訓から基地のない平和で安全な沖縄を希求しており、SACO合意の「普天間飛行場移設条件付き返還」は新たな基地の県内移設にほかならない。県民の意思はこれまで行なわれた住民投票や県民大会、各種世論調査などで明確に示されており、移設先とされた名護市辺野古沿岸域は国の天然記念物で、国際保護獣のジュゴンをはじめとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、新たなサンゴ群落が見つかるなど世界にも類を見ない美しい海域であることが確認されている。
 宜野湾市民や県民は、最も危険な普天間飛行場を早期に全面返還し、政府の責任において跡地利用等課題解決を求めている。
 地元名護市長は、辺野古の海上及び陸上への基地建設に反対している。
 県議会は、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念され、国外・県外に移設されるよう強く要請する。


2010年2月24日 沖縄県議会
首相、外相、防衛相、沖縄担当相、官房長官あて