編集部だより

★還暦を越えて二年余りとなる。いつの間にか、寿命の終わりを基点に自己のいまを位置づけるようになっている。これまでの人生を振り返ることも少なくなった。思い起こせば少し前までは、個人史的には、誕生日や、活動を始めた時を基点に、いまを位置づけていたものである。★もちろん、これまでの人生の上にこれからもある訳だが、頭の中は、それに囚われない、ある意味自由な状態に移行している。同年齢の訃報が多くなっていることもあるが、自分の体が終わりの過程に入ったことで、自然と思考様式も変わったのだろう。おもしろいことだ。★われわれは、「マルクス主義の現代的発展」を目指しているわけだが、それは過去の理論体系の部分的手直しとかではありえないだろう。今日的な「大きな物語」の構築となるに違いない。われわれの世代には、ある程度のレベルでそれを成し遂げ、つぎの世代に継承する責任がある。★先日、坊さんの話を聞く機会があった。葬式仏教打破への意気込みに共感するとともに、社会の観念世界全体が、宗教を含めて歴史的な再編過程に入るであろうことを感じた。★現実世界の方は、転換過程が一段と進展している。たとえば若年層を襲う「就職氷河期」。二度目・三度目となると、応急措置や景気対策で誤魔化すことは難しい。既存の就労・生活保障システムの転換が求められることになる。こうしたことが各方面で持ち上がり、新しい社会構想へと結実してゆくのだろう。(深山)