2010年
  年頭アピール

 闘いを基礎に「第三極」政治勢力の形成へ
                           労働者共産党中央常任委員会

 年頭にあたり、全ての皆様に労働者共産党から新年の挨拶を送るとともに、現下の我われ労働者人民の闘いにおける主要な方向性を提起する。
昨年2009年は、国際的にも国内的にも大きな節目となる激動の一年であった。アメリカ・オバマ大統領の就任により、新自由主義・グローバリズムのほころびを背景に、労働者人民の要求に対し協調と包摂を一定目指す政権の登場となった。オバマ政権は世界恐慌からの脱出を図りながら、後退を余儀なくされたアメリカ帝国主義の政治的軍事的経済的覇権の維持を画策している。しかしイラク・アフガニスタンでの侵略戦争の泥沼化から「名誉ある撤退」もできず、アフガニスタンへの三万の増派も決定している。
米国内においては、破綻した金融機関や自動車産業に対し巨額の融資を行ったため国家財政も逼迫し、雇用の創出と公的健康保険制度の開始という政権公約に関しても、市場原理主義勢力や議会内保守派の抵抗で難航している。このためオバマの支持率も、政権発足当時の驚異的な高さから急激な低落を招いている。
欧米日の経済危機に対して、中国を始めとするBRICs諸国は、ロシア除き相対的に安定成長を実現している。それでも中国、ロシアでは民族問題が常にくすぶり、各国民衆から人権問題を指摘されている。
一方、日本国内に目を転じれば、自公政権のでたらめな政権運営、新自由主義政策により格差の拡大が頂点に達し、民衆の怨嗟の声によって昨年の衆議院選挙で政権交代を実現し、民主・社民・国民新の鳩山内閣を誕生させた。「国民の生活が第一」とする民主党を中核とし、「対等な日米関係」と「東アジア共同体構想」、官僚内閣制からの脱却を旗印として登場してきた。八ツ場ダムの建設中止や郵政株式の売却停止、麻生自公政権下で執行された補正予算の全面見直し、各省庁の概算要求に対し「事業仕分け」に基づく予算編成、など政権三党合意を基礎に三ヶ月あまりの内閣運営を行なってきた。これらは自公政権時代とハッキリと変わる手法として、おおむね国民に受け入れられた。
しかしながら鳩山内閣の、新自由主義を手直しし労働者人民の要求を一定包摂する「第二極」政権としての性格は、安全保障政策では、米軍普天間基地の移設問題での閣内での諸説が噴出する問題を露呈させ、日米軍事同盟を最優先とする旧政権の悪習から未だ転換しきれていない事態を鮮明にした。
このかん日米両政府は96年、SACO合意に基づき、沖縄民衆の米軍への怒りを抑えるために普天間基地の返還に合意するも、普天間基地は沖縄県内移設とし、名護市辺野古に「海上ヘリポート」を作るとした。この「海上案」も諸勢力の思惑の産物であったが、海上基地阻止の闘いによって05年にこれが破綻し、05・06年の米軍再編日米合意となった。日米合意の沖縄部分では、「海上案」に代わり、「沿岸案」と海兵隊グアム移転とが打ち出された。
ところが06年の米側の「グアム統合軍事開発計画」、また昨年公表のその環境アセス案によると、沖縄海兵隊のグアム移転は司令部要員等だけでなく航空部隊全体であり、そのヘリポートも作ることになっている。辺野古「移設」が、新基地そのものであることが判明したのである。いまや辺野古新基地建設が、「安全保障」とは全く無縁の、米軍へのサービスであることは明らかである。このことは外務省・防衛省では周知の事実であるにかかわらず、岡田外相、北沢防衛相は米帝向けのリップサービスに終始している。今後も「第二極」政権である鳩山内閣は、同様なブレを繰り返すだろう。
沖縄民衆の熱望する米軍基地の撤去、普天間基地の閉鎖と「県外」「国外」移設、全国の辺野古新基地建設に反対する闘いは、必ずや鳩山内閣の「県外・国外」公約の破棄を阻止し続け、政権をして日米合意見直しへ突き動かすだろう。
そして、これからも労働者派遣法の抜本改正、東アジアの平和構築にとっての要といえる日朝国交正常化問題、地球環境保全のための原発に依存しない温暖化防止策の推進、など労働者民衆の直面する平和と人権、生存権問題で大規模な闘いがおこるだろう。いや準備しなければならない。そのためにもわれわれは、民主・自民に対峙して闘う「第三極」を形成しなければならない。
「『第三極』政治勢力の土台となるのは、非正規層への立脚と階級的団結の形成であり、地域を基盤とする相互扶助社会の創出」(労働者共産党第四期第二回中央委員会総会決議)であり、新自由主義と民衆の要求との間で動揺を繰り返す「第二極」政治の鳩山政権に対し、内外から攻勢を強めねばならない。そのために我われ労働者人民にとっては、本年は絶好の年となるだろう。