労働者派遣法抜本改正まったなし!10・29日比谷大集会集会
  労政審の逆流許さず早期改正を

 政権交代によって派遣法改正の行方が注目される中の十月二九日、東京・日比谷野外音楽堂にて「労働者派遣法抜本改正まったなし!10・29」日比谷大集会」が開催され、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」の主催の下、全国から約2500名が参加した。
 この集会・デモは、新政権下の厚生労働省・労働政策審議会での逆流を断固許さず、派遣法抜本改正の一日でも早い実現を求めるものであった。
 最初に鴨桃代さん(全国ユニオン)があいさつし、「今月十五日から労政審の審議が始まったが心配だ。使用者側委員だけでなく公益委員まで、『製造業派遣禁止では職業選択の自由が侵害される』等々と言い出している。このかん野党三党案をまとめさせ、それが新政権の合意になり抜本改正へ近づいたが、この許されない逆流をはねのけよう」と訴えた。
 主催の共同行動から棗一郎さん(労働弁護団)が報告し、「与党合意があるのに、公益委員が後ろ向きなのは許せない。年内に答申とみられるが、労政審を包囲しよう」と訴えた。
 政党挨拶では、民主党・吉川沙織参院議員、共産・小池晃参院議員、社民・福島みずほ党首、国民新党・亀井亜紀子参院議員が発言した。福島さんは、「政権合意の改正案を来年通常国会で必ず成立させる。しかし内閣・国会内だけでは財界の巻き返しに勝てない。大きな大衆運動を!」と述べた。
 各界挨拶では、宮里邦雄(日本労働弁護団)、鎌田慧(ルポライター)、湯浅誠(NPO「もやい」事務局長)、神田香織(講談師)の各氏が発言した。宮里弁護士は、「抜本改正が必要だが、派遣法改正だけでは非正規問題は解決しない。私たちは昨日、有期労働規制の立法提言を行なった」と報告。湯浅さんは、「政権交代に意味があるとすれば、優先順位が変わること」とし、貧困削減の着実な実践を訴えた。
 現場からは、阪急トラベルサービス(東京東部労組)、神奈川アンフィニ(全労連全国一般、鎌倉の資生堂工場)、グッドウィル・ユニオンから闘争報告が行なわれた。
 集会は、壇上に「派遣法抜本改正 早くやろうよ新政権」の大看板を掲げて、アピール採択・シュプレヒコールで締めくくられた。
 派遣法の闘いは、製造業禁止・登録型原則禁止など当面改正では、政権交代ですぐにでも可能と思われたが、長妻厚労相が諮問した労政審では、与党合意を前提とせず旧政府案を審議のベースにするという驚くべき事態が起きている。公益委員の清家篤(慶応大学)や征矢紀臣(シルバー人材センター事業協会)など、委員が自公政権時の選任のままであること、非正規使い捨て業界が必死で巻き返しを図っていることの証左である。
 逆流を粉砕し、派遣法抜本改正をかちとり、さらに撤廃して雇用形態に関わらずすべて直接雇用・均等待遇の実現へ前進しよう。(東京W通信員)


10・17〜18北海道十勝

  第21回コミュニティ・ユニオン全国集会
   人らしく生きる力!もっとユニオンを

 十月十七日・十八日の両日にかけて、北海道十勝の音更町で、「第21回コミュニティ・ユニオン全国交流集会in北海道・とかち」が開催された。
 秋の北海道。紅葉はすでに始まっていたが、意外に寒くはなく、快適な気候だった。全国31都道府県から86団体340人を超える仲間が集結して、熱気ある議論を行なった。
 十七日午後二時から、現地実行委員会を代表しての、ユニオンとかちの山本雅啓委員長のあいさつに続き、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの第21回全国総会が開催された。来賓には、自治労本部の森信夫総合公共民間局長や、社民党党首で鳩山新政権の少子化・消費者担当相に就任した福島みずほさん、また連合の一條茂組織拡大局長らが出席し、あいさつした。福島さんはあいさつの中で、派遣法の抜本的改正をすすめることを強調した。
 全国総会では、黒崎事務局長から09年度の活動報告と10年度の活動方針が提起された。各コミュニティ・ユニオン(地域ユニオン)の一年間のたたかいの中で、地方ごとのネットワークが一層拡大してきていること、さらに相談活動を強めてユニオン運動を拡大していくことを確認した。七年にわたって事務局長をつとめた黒崎隆雄さんが退き、東京都の下町ユニオンの岡本哲文さんが新事務局長に就任した。
 休憩後に、全国ユニオンの鴨桃代会長から特別報告を受けた。鴨さんは、派遣切りで多くの労働者が仕事と住まいを奪われ、命まで脅かされている現状を述べ、いまこそ派遣法の抜本改正を実現すべきことを強調した。
 続いて、弁護士の中野麻美さんの記念講演が行なわれた。中野さんは全国交流集会の第一回からずっと参加している方だが、コミュニティ・ユニオンが一人ひとりの問題を普遍化して社会問題として提起し続けてきたことを高く評価した。そしていま、派遣切りで差別が拡大されたいっぽうで、正社員も人間らしく働くことを否定され、正社員に対するハラスメントが拡がっていることに対し、ともに手をむすびあって連携していく意義を熱く語った。
 集会はこの後、国労帯広闘争団から特別報告を受けた。帯広闘争団は二十年に及ぶ厳しいたたかいを、地域とのつながりを重視してたたかってきた。今回の全国交流集会の準備も積極的に担っていただいた。
 第一日目の議事はこれで終わり、午後六時半からは恒例のレセプションに入った。レセプションでは北海道十勝ならではの海の幸・山の幸がテーブルに並んだ。ここで、ユニオン全国ネットの仲間(札幌パートユニオン会長)で、今回、北海道比例区から民主党で当選した工藤仁美衆院議員がかけつけ、あいさつした。工藤さんは、非正規労働者の思いを国会に届けるために働く決意を表明した。レセプションでは参加各ユニオンが地方ブロック毎に紹介され、にぎやかに交流した。十勝では、その後も二次交流会が別室で用意され、二百人以上が熱心に語り合った。
 二日目は、13の分科会に分かれて、より実践的な経験交流を行なった。メンタルヘルスの侵害や偽装請負など企業の違法行為とのたたかい、組合の運営の仕方など多くの分野での討論が行なわれた。
 最後に全体集会が開かれ、派遣法の抜本改正を求める決議や集会宣言が採択された。来年は、鹿児島県の霧島で全国交流集会が行なわれる。(地域ユニオン組合員・U)


10・17「ちゃんとやるよね!?新政権」反貧困世直し大集会
  政府は貧困削減目標を作成せよ

 「国際反貧困デー」に当たる十月十七日の午後、東京・芝公園4号地にて「ちゃんとやるよね!?新政権 反貧困世直し大集会2009」が開催され、約750名が集会・テント展示・パフォーマンスなどを行なった。主催は、反貧困ネットワークおよび賛同の諸団体。
 労働組合・市民団体・弁護士等々が参加する「反貧困ネットワーク」はこのかん、昨年の明治公園での10・19反貧困イッキ集会や全国キャラバンなどで、政府に対し、貧困率を測定し貧困削減目標を掲げることを始め、社会保障や労働の各問題で反貧困政策を求めてきた。八月総選挙以降、貧困と格差の拡大への労働者人民の怒りによって、自公政権が倒れ民主党連立政権が成立し、反貧困の闘いに大きなチャンスが生まれている。
 「国民の生活が第一」を基調とする民主党政権は、「反貧困」を最大の政権公約としているはずである。しかし、当事者の要求、大衆運動なくして、反貧困政策の実現はおぼつかない。新政権に要求を突きつけるとともに、主権者としての我われの運動を強化しよう、それが10・17反貧困世直し集会の主旨だった。
 集会では最初に、反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児さんが、「年末に派遣村の再現はもう許されない。新政権は対策を打て」と開会あいさつ。西アフリカ・セネガル音楽の演奏グループ「タンガナジェル」のパフォーマンスの後、各当事者発言が行なわれた。
 「母子加算」については、生活保護受給者でシングルマザーの女性が、母子加算の一刻も早い復活を求めた。(新政権はようやく、十二月からの復活を発表した。)
 「障害者自立支援法」については、障害者施策の「制度の谷間」にある難病当事者の二人の女性、および「難病の会」の山本創さんが、「自立支援法」に代わる新制度ができるまでの間の緊急救済措置などを求めた。(新政権はいぜん「自立支援法」を廃止しておらず、応能負担に戻すという以外は新制度の概要も明らかにしていない。十月三十日には、「自立支援法」廃止と新制度作りへの当事者参加を求めて、日比谷公園で一万人規模の大集会が行なわれた。)
 「後期高齢者医療制度」については、大山正夫さん(患者の権利オンブズマン東京)が自分の闘病歴と重ねて、これまでの自民党政治による医療保険・老人医療の後退をふり返りつつ、後期高齢者医療制度の一日も早い撤廃を求めた。(新政権はその撤廃を重要公約としているが、いろいろ口実を言って先延ばししており、公的医療保険の新しい見通しを明らかにしていない。)
 「労働者派遣法」については、昨年末に栃木いすゞ自動車で中途解約の派遣切りをされた熊谷義則さん(フリーター全般労組)が、派遣法抜本改正を求めた。
 続いて、西アフリカのペナン共和国からの参加で、反貧困のNGO(ソーシャル・ウォッチ・ペナン)で活動しているギュスターブ・アッサーさんが発言した。彼は、「日本にも貧困があることに驚いたが、どの国でも貧困との闘いには共通性がある。政府の責任が問われているということだ」と述べ、日本の反貧困との連帯を表明した。
 政治家発言では、厚生労働省政務官に就任した山井(やまのい)和則さん(民主党衆院)、社民党副幹事長の保坂展人さん、共産党衆院の笠井亮さんが発言した。厚労省として発言した山井さんは、「新政権は十月五日に貧困率測定を指示し、十六日には雇用対策本部を設置した。真正面から貧困対策に取り組む」と決意表明した。
 続いて全国各地の反貧困ネットの仲間が登壇し、北海道、埼玉、岐阜、京都、大阪、広島、愛媛、山口などが各地の取り組みを報告した。
 日本の貧困削減目標作成を求める呼びかけの後、日本の反貧困のトレードマーク「ピンキー」を描く人文字、および国際的な反貧困のパフォーマンスSTAND・UPが行なわれ、最後に集会宣言が採択されて終了した。
 さて十月二十日、厚労省は「相対的貧困率」を初めて公表した。これまでもOECDが各加盟国の相対的貧困率を算出・公表してきたが、日本政府としては測定してこなかった。今回の初公表によると、最新値の06年で日本の貧困率は15・7%、OECD諸国の平均は10%程度なので、日本は最悪水準である。また97年が14・6%であり、貧困の拡大が明瞭である。(相対的貧困率とは、税金・保険料を除く所得において、その中央値の額の半分未満の人が占める率。06年では年収114万円未満が該当する)。
 しかし、こうした数字の公表だけなら意味はない。その数字を尺度とする貧困削減目標と、実効ある反貧困施策が実施されなければならない。
 新政権が当面試されているのは、年末対策である。宇都宮健児さんが十月十六日、反貧困ネット事務局長の湯浅誠さんが政府・国家戦略室の政策参与に起用されたことに関する「声明」を発表しているが、その中で「年越し派遣村村長などの活動が評価され、年末年始の緊急対策での政策提言が期待されているもの」としつつ、「新政権が、湯浅事務局長の経験と力量を十分に活かし、万全な年末対策を具体化すること」を求めている。
 年越し派遣村を再現させるな、新政権も面子にかけて何らかの対策を取るだろう。しかし、今回問われているのは日比谷公園ではなく、各地への「釜ヶ崎の全国化」への対処である。全国的な年末対策、および生活・就労再建の抜本対策を要求しよう。(東京A通信員)
 

10・25団結祭り
  来年は勝利集会へ

 十月二五日、今年も国鉄闘争を中心とした団結まつり、「勝ち取ろう国鉄労働者1047名の解雇撤回!つくりだそう戦争と貧困のない社会を!10・25団結まつり」が同実行委員会主催で東京で開催された。今回は会場が、いつもの亀戸公園から木場公園イベント広場に変わったが、あいにくの小雨にもかかわらず、集会と舞台、および七十余のテント展示・屋台に延べ二万人の参加で賑わった。
 午前中の第1部では、二瓶久勝さん(国鉄闘争共闘会議議長)が「年内に解決のめどをつけ、来年の団結まつりは勝利集会に」と開会挨拶。当事者の闘争報告が国労闘争団全国連絡会議からなされ、労組・支援共闘の「4団体」から連帯アピールが行なわれた。
 第2部では、戦争と貧困に反対する各運動から、多くのアピールが行なわれた。キャノン、いすゞ、ヤンマー、三菱重工などでの非正規労働者による裁判闘争の報告や、各争議団のアピールを始め、「日の丸・君が代」反処分の闘い、裁判員制度はいらない!大運動、東京大空襲訴訟原告団などからも発言があった。
 昼過ぎからの第3部では、国鉄闘争当事者の「4者」全員がステージに登壇し、決意表明を行なった。鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭さんは、「政権交代で政治解決に有利になったとは言えるが、我われ当事者が前に出て闘わなければ解決はない」と表明した。
 最後に「10・25団結まつりアピール」が採択された。アピールは最近の政治情勢について、「衆議院選挙に示された国民の意思は、鳩山連立政権が中曽根内閣以来推し進めてきた戦争と新自由主義政策を修正せざるを得ない力関係を生み出した。今、戦争と新自由主義政策を根本的に転換し、生きる権利を尊重する社会を創り出す展望が今、大きく切り拓かれている。」と捉え、国鉄闘争の勝利的解決、公共交通の安全性確立、労働者派遣法の撤廃などのために、いっそうの奮闘を呼びかけるものであった。(東京F通信員)