8・30総選挙 ― 自公連立政権を終わらせ
 新政権の包囲・圧倒へ進め

 麻生首相は、都議会選挙での自民党大敗によって万策尽き、自民党総裁=首相の座を追われる屈辱をただ避けたいという意図のみをもって、与党のボスどもと八月三十日総選挙の日程を合意し、七月二十一日に国会を解散した。
 日本の労働者人民は、八月三十日をもって自民・公明連立政権を終わらせ、それに代わって成立するであろう新たなブルジョア政権との闘いの火ぶたを切るであろう。
 都議選に示された民主党の一人勝ち的な優勢、自民劣勢の傾向は、解散以降の各種調査でも続いており、総選挙で「政権交代」、民主党を中心とする連立政権が成立することはほぼ確実視されている。これは、国民の民主党への支持というよりも、とにかく「政権交代」で現状を変えてくれという要求、労働者人民の現状への不満が、ひろく強いものであることを示している。
 政権与党の評価などよりも「政権交代」じたいがテーマとなり、最大野党への政権移行がなされることは、戦後の議会政治では初めてである。一九九三年七月総選挙での細川非自民連立政権の成立は、直前に小沢一郎が率いて自民党から分裂した新生党、および日本新党という保守系の再編によって可能となったものであった。この時の非自民政権の成立は、世界での東西冷戦の終結、日本での「55年体制」の終焉を背景としていた。
 今回の民主党も、自民党と並ぶもう一つのブルジョア大政党であるにすぎない。今回の政権交代も、保守系の再編にすぎないのか。しかし今回背景を成しているのは、08〜09年国際金融危機・世界恐慌という歴史的転換、アメリカ主導の新自由主義と小泉改革路線の破綻である。
 こうして総選挙後の新政権は、アメリカ一辺倒政治と市場原理主義の「第一極」政治に対し、それを階級支配維持のために手直しする「第二極」政治としての性格を特徴とせざるをえない。このかんの福田・麻生政権も、そうした「第二極」政治の要素を多少とも持たざるを得なかった。これに比べ新政権の「第二極」政治は、総選挙での国民の支持によって政権が成立するため、改良と政治転換を求める労働者人民の広範な圧力に直面せざるをえない。民主党はこのかん、「国民生活が第一」を掲げ、聞こえのよい公約を乱発してきた。総選挙後、「国民生活が第一」を実行できなかったら、かれらの政権の正当性はたちまち崩れていく。
民主党は今、対米・対財界との調整をすすめ、公約の「現実」路線化を図っている。米国民主党オバマ政権によるアフガン主戦場政策に迎合し、自衛隊給油活動を期限切れまで継続することを表明した。沖縄基地問題では、これまで掲げてきた「普天間基地の県外移設」を総選挙マニフェストから消し去り、在日米軍再編について「見直しの方向で臨む」などと抽象文句でごまかしている。
沖縄では、宮里政玄氏らの6・26アピールに続き、沖縄平和市民連絡会が七月二十一日付けで、民主党・鳩山代表に対し、「民主党の衆院選政権公約(マニフェスト)に関する要請」を突きつけた。「県内移設反対」を明記することを強く求めるものである。
これら沖縄からの追及は、今後、全国で、あらゆる課題で新政権を追及し圧倒すべき闘いの先駆けである。8・30総選挙に勝利し、ブルジョア新政権の包囲・圧倒へ闘いを進めよう。

第四期第二回中央委員会総会を開催
  昨年来の実践ふまえ闘いは次へ
                      労働者共産党中央常任委員会

 労働者共産党は去る七月、第四期第二回中央委員会総会を成功裏に開催した。この二中総は、世界恐慌の勃発と差し迫る日本での政権交代など、ここ一年の激動する新しい情勢をふまえ、当面の方針を決定したのである。
 総会の第一日目は、まず議長団が拍手で選出され、中央委員会常任委員会から決議案「世界恐慌に立ち向かう労働運動・社会運動の前進へ」が提出されて、審議が開始された。
 決議案の骨子は、第一節で、三つの政治路線の分岐として情勢を捉えた〇八年・第四回党大会決議を再確認しつつ、今総会の任務基調を、「問われているのは、政権交代を実現するとともに、社会の土台のところから労働者民衆の側の陣形を大規模に建設すること、それを基礎に『第三極』の形成へと踏み出していくことである」と提起するものであった。
 また第二節では、国際金融危機・世界恐慌の歴史的根拠を解明しつつ、社会運動の基本的な観点・方向を提起し、第三節では、このかんの「派遣切り」との闘いをふまえつつ、労働運動の当面の諸方針を提起し、第四節では、政権交代を「意識的に有効に活用」する闘いの過程から、「第三極」政治勢力を形成しようと提起するものであった。
 この決議案に対して、その基調は支持しつつも、建設的な批判意見や問題提起が多く出され、夕食後も熱心に討論が続いた。
 第二日目は、一日目の討議を踏まえて、四人の中央委員から計十本の修正案が提出された。その修正点は決議案の多くの領域に及んでいたが、討論の主要なものは、労働者派遣法をめぐる闘いなど当面の労働運動の緊急課題をどう整理するか、それを党の中長期的な労働政策の発展にどうむすびつけるかという論点であった。
二日間の議案討議の結果、すべての修正案が賛成多数で可決された上で、決議案が賛成多数・反対ゼロで採択された。
総会は最後に、地方組織の指導に関わる各中央委員から、各地方の情勢と闘いについて報告を受け、党のあらたな闘いの決意をもって終了した。
 今総会は、昨秋以降の非正規労働者などの首切り反対闘争、生活・就労支援闘争の実践的成果を持ち寄り、また、政権交代を間近に控えた政治的にも重要な情勢のもとで開催された。これにより、総会の討論は例年以上に実践的かつ真剣な姿勢で進められ、わが党の闘いの方向をよりよいものとすることができた。
 また総会後には、八月三十日に総選挙が行なわれ、新政権が成立しようとしている。二中総で採択された決議は、ここ一年の闘いをふまえた労働運動・社会運動の方針が重点となっているが、今後の予想される新政権への対処方針についても基本方向は打ち出されている。さらに、わが党は総選挙・新政権成立の後には、その情勢の展開をふまえつつ、遠くない時期に再び中央委員会総会(三中総)を開いて、政治勢力形成の方針を重点とした新たな決議をかちとるであろう。
 情勢に立ち向かう労働運動・社会運動を前進させよう。それを基礎として、自民・公明政権を打倒し、ブルジョア的新政権を包囲・圧倒しよう。(了)