「非正規切り」反対闘争の半年余−その成果を踏まえ
  
  自公「首切り・貧困化」政権打倒へ



 昨秋以降、資本は身勝手な「非正規切り」を嵐のように強行した。半年余が経過してその山は去ったが、継続する各地の闘いの帰趨とともに、本当の闘いはこれからだと多くの労働者が覚悟している現況にある。日本では戦後最大のマイナス成長が向こう1〜2年確実視される中、正規雇用に波及した首切り攻撃の持続・拡大、そして首がつながっても賃金・労働条件は破壊という資本攻勢がつづけられようとしている。
 いま日本の労働運動と労働者階級政党は、第一に、ここ半年の「非正規切り」との闘いを中間総括しつつ、資本攻勢を押しかえす労働攻勢をどのように実現していくのか検討を深めることが必要だ。第二に、そうした大衆運動を基礎として、どのような国政上の政治的対決点を押しだし、当面の政治闘争に勝利していくのかが問われている。
 第一の課題では、我々労働者共産党は、首切り反対闘争と生活・就労支援闘争という両面でのたたかいを主張してきた。この方針はすなわち、地域ユニオンなど個人加入制の新しい労働組合運動の拡大によって首切り攻撃に対処するとともに、そうした労働組合と市民運動・NPOなどとの地域的連携をつくることによって、反失業闘争の大きな陣形をつくろうというものである。
首切り反対の領域では、全体からみればごく少数とはいえ、各地で非正規労働者の組織化と闘争が始められた。このかんの闘いは、多数派の企業内組合がその無力さを露呈するなかで、少数派ではあるが企業別の枠をこえた個人加入制の労働組合が情勢を動かし、政治的主導性を発揮しえた闘いであった。この成果を確認し、この新しい労働運動を日本労働運動の主流へ高めあげていくことが問われている。
生活・就労支援の領域では、日比谷をはじめとする「派遣村」が政治と世論に与えた成果は大きい。その緊急避難的に行政をして生存権を守らせる闘いも重要である。しかし、釜ヶ崎での「働いてメシを食わせろ」のスローガンが示すように、雇用を保障させ、雇用を作り出していく闘いがより重要な意味をもっている。それは成果が次につながる闘いであり、社会変革の力量を育てる闘いである。
第二の課題、政治的課題では、直面する総選挙をふくめ当面の政治的対決点の主要なものとして、「非正規」問題・貧困問題を改善できる政治なのか、それとも放置・悪化させる政治なのか、これを国民的争点として押しだしていく必要がある。このかんの「非正規切り」との闘いは、議会政治的には、自民・公明連立政権を打倒し、政権交代を実現できるかどうかによって集約されると言っても言い過ぎではないだろう。
市場原理主義の政治は表面上は後退し、麻生政権は一時しのぎの十五兆円バラマキ補正予算をごり押しした。しかし雇用・貧困問題を改善できなければ、真の不況対策にはならない。これに対し民主党は、「官僚批判」以外では政治的対決点を明確にできず、その早期解散総選挙の要求も腰砕けとなっている。
来るべき政権交代を、二大ブルジョア政治勢力の政権たらい回しとしてではなく、新しい政権に要求を突きつけ、労働者人民の闘いが進撃していく舞台として実現しよう。