実現しよう今国会で!
労働者派遣法の抜本改正を求める5・14日比谷集会

  野党共同案を押しあげよ


 政府・与党は昨年十一月に労働者派遣法「改正」案を提出したが、案外審議は進んでおらず、野党案もいまだ提出されていない。「非正規切り」と「派遣村」の衝撃が世間をおおったにもかかわらず、会期末が近づくなか派遣法問題をどうするつもりなのか、国会の中は明瞭ではない。
こうしたなかの五月十四日、「実現しよう今国会で!労働者派遣法の抜本改正を求める5・14日比谷集会」が東京・日比谷野外音楽堂で行なわれ、約一千名が参加した。主催は、全国ユニオンを窓口とする「労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動」。
 この集会の特徴は一つは、昨年12・4の抜本改正要求集会、「年越し派遣村」など、ここ半年の非正規労働者首切りとの闘い、生活・就労支援の闘いを踏まえつつ、当面の派遣法・労働法制をめぐる闘いの方向を確認したこと。第二に、このかんの運動と世論に押され、民主党が登録型派遣原則禁止の方向へ態度を転換したことによって、全野党の統一した改正案が現実的となったが、これを踏まえた集会となったことである。
 開会あいさつを鴨桃代さん(全国ユニオン)、経過報告を棗一郎さん(労働弁護団)が述べた後、湯浅誠さん、鎌田慧さんが呼びかけ人あいさつを行なった。日比谷「派遣村」の経験から湯浅さんは、「組合員であるなしを問わず労働者が助け合った派遣村は、本当の労働運動。しかし生活保護などを取って、それで終わりでは限界。派遣切りされた仲間が、それと闘っていくためには一旦休む場所が必要」と述べ、鎌田さんは、私は派遣法については改正というより廃止の立場だが、この闘いから労働運動の再生へ進もうとアピールした。
 各政党あいさつではメッセージを含めて、全野党がそろって参加した。民主党からは雇用対策本部事務局長の高山智司衆院議員、「昨日のシャドウ・キャビネットで、これまでの民主党案を止めて野党共同案に進むことを確認しました。これは新しい党代表が鳩山であれ岡田であれ、ぶれることはありません。みなさんが頼りです、ともにがんばろう」と述べて大きな拍手を受けた。日本共産党は志位委員長、社民党は福島党首がアピール、国民新党の亀井亜紀子参院議員、新党大地の鈴木宗男衆院議員のメッセージが紹介された。
(これまでの民主党案とは何だったか。与党案は「雇用契約30日以内の派遣禁止」を日雇派遣の禁止とするものであるが、民主党案はこれを「2ヶ月以内」とするだけのものであった。しかし、これら何日以内禁止と言うのは派遣会社との雇用契約期間のことであって、派遣先への一日単位の派遣労働は禁止されないのである。)
 つづいて派遣村の「村民」各氏から、生活・就労再建の現状報告と謝意が述べられた。
 派遣現場の闘いからは、大分キャノン(日研総業ユニオン)、三菱ふそう(首都圏青年ユニオン)、阪急トラベルサポートサービス(東京東部労組)、四月三十日に提訴した防府市のマツダ原告団、最後にトルコ航空ユニオンがアピールした。
とくに、大分キャノンの画期的な勝利的解決(組合員だけでなく派遣労働者全体に対して中途解約の賃金補償等として総額2億円を支払うこと、その半額を派遣先の大分キャノンが出すことを確約させた)の報告は重要であった。派遣先企業の責任を明確にさせた先例となった。
集会宣言採択の後、国会請願デモを行なった。集会宣言では、「今国会において、抜本改正の第一弾として」、
1、 登録型派遣は政令指定業務を除き原則として禁止すること。
2、 常用型派遣は原則として期間の定めのない雇用とすること。
3、 職安法・派遣法に違反する働かせ方をした場合に派遣先との直接雇用が成立する「みなし雇用規定」を創設すること。
以上三点を要求し、また「この国会から衆議院の解散総選挙、それに続く臨時国会の場において、労働者派遣法の抜本的改正を成し遂げ」ようと訴えた。
 野党共同案がそれなりの内容でまとまれば、総選挙などにおいて政治的対決点は明瞭になる。この対決点は直接の派遣法問題を超えたものとなる。労働者使い捨ての自公政権に終止符を打て、である。(東京W通信員)