静岡空港
  5・31「チェンジ!静岡県政」集会、住民運動大合流で
    転用めざして廃港に

 五月三十一日、静岡市の労政会館に150名が参加して、「チェンジ!静岡県政 石川県政十六年の隠蔽・腐敗体質を斬る」と題する集会が行なわれた。主催は、太田川ダム研究会、空港はいらない静岡県民の会、フレッシュ沼津(沼津鉄道高架事業反対の市民グループ)、浜岡原発を考える静岡ネットワークの四団体。
 石川県政は十六年の間、無駄な公共事業の一方的な強行で多大な不安と負担を県民に押しつけてきた。集会は、六月四日の静岡空港暫定開港と七月県知事選を機に、県の四大問題を検証し、県民意思を明らかにする場として設定された。
 県民の会の芳賀さんの司会で始まり、まず前国立市長の上原公子さんが、「住民本位の自治体経営 いま地方自治体に問われている課題は何か!」との基調講演を行なった。
 上原さんは、「沖縄でのかっての大田知事による軍用地強制収用代理署名拒否は、基本的人権が侵害され、地方自治が侵害されているこの二点で判断する、首長たるものの覚悟からのものであった。私も市民自治を守る、生命・財産を守るの二点で覚悟した。地方の時代といわれるが、地方ががんばって国を変えていく時代。憲法前文に『政府の行為によって戦争が再び起きることのないよう』と明記されているように、政府が間違えることもあるが前提で、悪法は悪法、その法や国の基準は変えることができる。官僚出身者は国の補助金頼りとなり国会議員に弱い体質を持つが、首長は悪法は正す、市民の先頭に立つことが必要。住民の意思に従って地方自治の決定を行なうこと、その際情報公開が要となる。さらに住民自身が、どのような街をつくるのか意思を明確にもつことが必要。これからは縮小経済であり、高齢社会のコンパクトな街づくりを市民が行なっていこう」と語った。
 続いてパネル討論が行なわれ、まず「太田川ダム研究会」の岡本尚さんが、県西部の森町に建設された太田川ダムの不必要性と危険性について報告。「役人は平然と嘘をつく。何も起こっていないと述べた時、岩盤の崩壊が起こっており、結果437本ものアンカーの打ち込みを余儀なくされ、4億6千万円の余分な出費となった。使われたセメント骨材の不良もいわれ、ダム本体に上流側130ヶ所・下流側164ヶ所の亀裂が発生し、漏水も起きている。途中で治水用から多目的ダムとされたが、水需要は横這いでダムは不必要。現在、試験湛水中だが、本格運用された時、激甚災害発生の恐れもある」と不安を訴えた。
 「浜岡ネット」の白鳥良香さんは、「浜岡原発で1、2号機廃炉は当然だが、90%以上が一般廃棄物として廃棄されるといわれる。4号機は事故で停止中だが、6号機建設を計画しているその地盤はさらに悪いことが判明した。五月十八日にはプルサーマル用のMOX燃料が搬入された。あくまで原発を止めよう」と訴えた。
 「フレッシュ沼津」の殿岡修さんは、「南北分断を鉄道高架化で解消するとして二千億円もの事業計画が立てられ、市民の負担は六百億にもなる。更に貨物駅を原西部地区に建設するために、反対地権者に土地収用をちらつかせ測量を強行した。強制収用までせんとする背景には、JRとゼネコンの利権がある。しかし沼津駅の橋上化で、事業費も工期も5分の1に抑えられるのである」と訴えた。
 「空港はいらない県民の会」の桜井建男さんは、五月十九日辞表を提出した石川知事のこれまでの政官財癒着構造と静岡空港の開港直前の問題点を指摘し、積極的に廃港をめざす運動を訴えた。事業認定、収用問題の二つの裁判につづき、新たに追加工事費返還と損害賠償を求める住民訴訟を六月五日の第一回弁論から開始することを報告し、また空港用地の転用については、県民と地域の福祉向上に結びつく事業に活かすために、その世論を作り上げようと訴えた。空港地権者の大井寿生さんからも、知事辞任と立ち木伐採に至る報告があった。
 「チェンジ!静岡県政」集会は、県知事選への対応も検討しながら、四大課題をさらに結合し、闘いの陣形を強化する集会となった。
 六月四日、静岡空港の暫定開港が強行された。開港日は定期8便、チャーター3便の運行となったが、年30億円の返済を含め支出35億円以上に対し、収入は大きく見積っても5億止まりの大赤字が必至。六月二日、県民の会は、「静岡空港に未来はない。廃港と県民の真のニーズに応える施設への転用をめざして前進する」との声明を発表した。


白保空港
  東京地裁が5・28〜29現場検証
   工事進行中止せよ

 石垣島・白保空港問題では、「設置許可取消訴訟」での東京地裁による現地検証が、五月二八〜二九日に行なわれた。これは、原告・被告の間で行なう裁判手続きの「進行協議期日」を白保現地で行なう形での実質的な東京地裁による現場検証であり、地裁始まって以来という異例の実施となり、原告・弁護側も二十名余の態勢で取り組んだ。
 二八日、裁判官と被告の国、設置者の沖縄県関係者も含め約四十名が集まり、まずカラ岳中腹から空港予定地の全域と工事進行状況を視察した。サンゴ礁特有のカルスト地形に建設される滑走路には追加された「空洞陥没防止工事」の巨大なドームが見え、かっての緑は無惨な状態となっていた。その後、絶滅危惧種のコウモリの洞窟、サンゴ礁での地下水湧出場所、赤土流出対策施設などを視察。更に「共有地」も訪れた。翌日には、海域のサンゴの状態などを視察した。
 六月二日には、視察した洞窟で一万四千年前の獣骨が発見され、遺跡の可能性が報告されていたにも関わらず県が本格調査をしていない事実が報道されるなど、国・県の姿勢が浮き彫りにされている。事業費で50%進行という白保空港だが、今回の現地検証や新たな発見で問い直され、さらに反対共有地の堅持などねばり強い闘いが続いている。         (関西東峰団結小屋維持会・渡邉)
 

北朝鮮核実験
  すべての核実験反対!全世界の核兵器廃絶へ!
オバマ政権は政策転換せよ

 五月二五日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が第二回目の核実験を行ない、これに対し米日が先導して、国連安全保障理事会の新しい対北制裁決議が採択されようとしている。
朝鮮半島情勢は、昨年六月に北朝鮮による核計画申告書提出と米政権による「テロ支援国家」解除決定がなされて以降、おおきく好転していた。しかしその後、(北朝鮮にとって軍事機密の)サンプル提出問題でつまづき、つづいて四月の北朝鮮の人工衛星ロケット打ち上げに対して(それに軍事的意味が含まれることを考慮しても)、日本政府が迎撃命令発動という憲法違反の異常な反発行動に走ったこと、それを米政府が後援したことから情勢が逆転し、現在再び、朝鮮半島とその周辺地域で戦争の危険が高まる事態となっている。
 朝鮮半島危機は日本の国内情勢からいえば、総選挙情勢を一変させる危険性をもっている。自民・民主では対北政策に大差がなく、危機対処が主要テーマとなれば与党に断然有利である。このことからも当面、あらゆる緊張激化策に反対すること、とくに国連決議を盾にした米日韓による船舶臨検など戦争行為の開始に断固反対することが問われている。そして中期的には米朝・日朝の国交正常化、朝鮮半島核問題の平和的かつ公正な解決、これらを諸政府に実行させる闘いが問われている。
さて、今回の北朝鮮の核実験は、四月五日プラハでの「核兵器のない世界を米国はめざす」とするオバマ大統領演説が注目されるなかで行なわれたため、北朝鮮に対しては「時代に逆行している」などの非難が一般的となっている。「最近の核廃絶の機運の高まりに逆行するもの」(五月二六日・衆院による全会一致の北朝鮮核実験抗議決議)、「重大な逆流」(日共・志位委員長の抗議談話)というわけである。
 しかし、こうした見方は、朝鮮半島核問題の最大責任者をあべこべに描き、その公正かつ平和的な解決の道からそれて行く見方でしかない。
 我々労働者共産党は、今回の北朝鮮の核実験をふくめ、あらゆる国の核開発・核実験・核保有に対し、それがいかなる名目を掲げようとも強く反対し、すべての核保有国に例外なく核兵器をただちに廃棄することを要求するものである。無差別大量殺戮兵器である核兵器は、その使用はもちろん、保有しているだけでも強く非難されるべきものであり、本来、国際法によって非合法化されるべきものである。
しかし、核保有国といってもその保有量の大小はもちろん、核武装を指導する政治路線、核兵器政策、核保有に至る事情などは様々であり、一律同様に非難するならば政治的には大きな誤りとなる。今回の件で言えば、北朝鮮は「自衛的核抑止力」保持の選択を余儀なくされたということ(それは我々日本人民が支持しない選択肢ではあるが)、それを余儀なくされた朝米間の長期の敵対関係を解消することがまず問われているということである。この基本線を見失って北朝鮮を非難する者は、客観的には米日両帝国主義と同列に立つことになるだろう。
 米国は半世紀余にわたり、核超大国として対立する非核の中小諸国を威圧し続け、現に侵略戦争を何度も行ない、今日も「先制核戦争軍事ドクトリン」を放棄せず、第二次朝鮮戦争の「作戦計画」を保持し、それにもとづく「米韓合同軍事演習」を続けている。米国は、六者協議での不侵攻の口約束ではなく、これらの対北敵視政策を具体的に転換する必要がある。いぜん、そうしようとしないオバマ政権や、その米国の「核抑止力」をトラの威の皮とする日本の、被爆国として恥ずべき麻生政権などに、北朝鮮の核武装を非難する資格はまったくない。(米国の「核抑止力」政策は、通常兵器の攻撃に対する核兵器による反撃、つまり核先制使用をいぜん否定していない。これに比して北朝鮮の「自衛的核抑止力」では、中国と同様、核先制不使用を第一回核実験時の声明ですでに明言している)。
我々労働者共産党は、今回の国連制裁決議に断固反対する。確かに北朝鮮の二回目の核実験は、〇六年十月の制裁決議に違反するものである。しかし、その一回目の制裁決議がそもそも間違えている。核実験に対し国連憲章第七章に基づく制裁(このときはかろうじて「第41条・非軍事的措置」が入ったが)と明記して安保理決議を行なったことは異例であり、それは諸国の核実験への対処に比べて著しく公平性を欠き、戦争の危険を高める愚行であった。北朝鮮の核問題には朝米間の長期の交渉過程がある。本来、国連は、その二つの加盟国である朝米の調停役であるべきなのに、米国とその軍事同盟国の意図に利用されている。
米国が国連工作で北朝鮮を圧迫しても、「六者協議」再開へ課題を丸投げしても、事態の解決がないことは明白だ。米朝直接交渉で事態を解決する意思があるのかないのかが、オバマ政権に問われている。
北朝鮮は二回目の核実験の理由として直接には、四月の国連安保理非難声明・追加制裁に対する自衛措置であると主張している。当初は、一九九九年には国交正常化寸前までいった米国民主党政権の再登場に、北朝鮮としても期待感はあったはずである。しかし朝鮮政策ではオバマ政権に具体的動きが始まらず、返ってきたのは「人工衛星」で制裁されるという事態であった。こうしたことから、核開発再開と六者協議離脱を表明することによって米政権の具体的政策転換を迫る、北朝鮮の懸命の意図が推察されるのである。
このように朝米妥結が要であるのに、日本共産党も社民党も、日本政府と同様に、「六者協議への復帰」を北朝鮮に求め、六者協議にしか朝鮮半島核問題の解決がないかのように主張している。我々労働者共産党はかねてから、「六者協議は、朝米間での合意と関係正常化の達成に取って替われるものでない」と主張してきた。
朝鮮半島核問題六者協議は元来、米前政権が「悪の枢軸」北朝鮮とは交渉せずとしていたため、中国が議長国の労を取って(ある意味、朝米間に介入し)多国間協議として設けられたものである。その六者協議では〇五年九月に基本原則合意が達成されたが、その後の「国連制裁」と「自衛措置」の応酬によって、すでに破綻状態になっているとみるべきだ。この原則合意は、北の核放棄と米朝・日朝の正常化を段階的同時行動的にすすめるとするもので肯定的側面もあった。しかし朝鮮半島にだけ核兵器がなければよいのか、在韓米軍の核査察は必要でないのか、北東・東アジアの米軍の核戦力は不問なのか、など公正・公平な解決とは言いがたい合意であった。
また、〇六年の北の第一回目核実験の後も、六者協議の五カ国は北のNPT条約脱退を認めず、北を核保有国として扱わないことを前提とし続けた。北の核爆弾は現時点では、技術的に必要な実験回数をこなせば無くなってしまうほどの数でしかないが、核保有国となったことは事実である。事実に立脚した外交が必要だ。
北の核放棄なくして正常化なし、とする日本政府の態度では何もすすまない。核保有国であること自体が、国交正常化および交渉再開の障害なのではない。中国、ロシアの核ミサイルは在日米軍基地に照準を合わせて実戦配備されているはずであるが、それを脅威だとして騒ぐものは今は非常にすくない。国交が正常だからである。北の核はまだ実戦配備もされていないのに、日本で大騒ぎしているのは国交が不正常だからである。「敵基地攻撃」や「日本核武装」も合憲だとする暴論は、北を利用した悪乗りである。
米朝関係が進展すれば、北も核で核に対抗する持論にしがみつくわけにはいかなくなる。そして日朝正常化措置の進展のなかでは、北には朝鮮半島非核化の国際公約の実行が求められ、日本には、在日米軍基地を先制核攻撃の基地としては使わせないと宣言するなどの対応が求められる。
今後、米朝のやり取りの結果、六者協議が復活するにせよ、違う枠組になるにせよ、
北を核保有国として(一方的核放棄によるNPT体制への屈服を前提としないという意味で)認めた枠組であるべきで、それは北東・東アジアの核軍縮・核廃棄のための枠組みとなるべきだ。こうした枠組の中で、朝鮮半島の非核化が実行されるならば、全世界の核兵器の廃絶という目標実現への大きな第一歩となるだろう。(W)