東京4・25

 「非正規労働者サポートセンター」が発足
自律的団結と連帯の促進へ

 四月二五日、東京・豊島勤労福祉会館において、「非正規労働者サポートセンター」の発足集会が、百三十名の参集によって開催された。
 まず中央大学教授・近藤昭雄さんと毎日新聞記者・東海林智さんが、記念講演をおこなった。近藤さんは、「派遣法の歴史とわれわれの課題」と題して、職安法44条によって排除された「間接雇用」が骨抜きにされ、派遣法によって合法化されてきた歴史を総括し、「現在の状況を生んだ労働組合の責任が強く問われるべき」と訴えた。東海林さんは、「命を削る貧困の現場から」と題して、運動が勝ち取ってきた賃金水準が派遣労働の一般化の中で急下落した釜ヶ崎、自殺が年三万人を超え続けている中で全国最多の届け出数を記録するトヨタ警察署、等々の現実を報告し、人をモノ・商品として扱う「人でなし」と対決する連帯を訴えた。
 休憩後、発足のための議事に入る。
 開会のあいさつを荒木昭彦弁護士がおこなったのち、全労協全国一般東京労組副委員長の品田豊樹さんが経過の報告と会則の提案を行った。
 「昨年七月、東京労組三役書記局合宿において、最近の労働相談が間接雇用をめぐるトラブルと、それに付随してメンタルヘルスや生活全般に関わるものが増えていることを踏まえ」、非正規労働者を対象とした相談窓口を開設することについて準備してきたこと。生活全般に関わる問題に対応していけるように、自立生活サポートセンターもやいの生活保護申請同行に研修として参加するなどしていきたこと。「法律家や医師、福祉関係者の助言を得ながら、さらに先行する労組・NPOなどの活動に学びながら、東京労組の枠を踏み出して、幅広い人々との協力関係というネットワークの中で運動をつくっていく」、しかも労働者の運動として、非正規労働者が一つの運動体となるような展望をもってやっていきたい、と報告した。
 つづいて名称、事務所、目的、活動、構成と会員、会費、機関、役員などを規定する会則の提案が行われた。目的(第3条)は、「雇用不安、劣悪なる同条件で働かされている非正規労働者の労働、生活、健康(メンタル面も含め)等の相談窓口をして機能し、相談事案の解決に向けて努力することを目的とする」(1項)、「非正規労働者の自律的団結と連帯の促進に向けて、取り組むことを目的とする」(3項)等とある。会則は、発足集会参加者全員の拍手で確認された。
 次に、役員名簿の提案がなされた。代表・近藤昭雄さん(中央大学教授)、事務局長・品田豊樹さん(全労協全国一般東京労組副委員長)、運営委員には木下武男さん(昭和女子大教授)、後藤道夫さん(都留文科大学教授)、吉田健さん(弁護士)、内藤隆さん(弁護士)、荒木昭彦さん(弁護士)、赤松智孝さん(すずしろ診療所所長)、塚原清一さん(精神保健福祉士)、武藤弘道さん(都労連委員長)などの名前がある。役員も、全員の拍手で確認された。
 代表に選出された近藤さんのあいさつがあった後、来賓あいさつが行われた。全労協議長の藤崎さん、全国一般全国協中央執行委員の中岡さん、東水労政治共闘部長の諸隈さん、東京東部労組書記次長の矢部さんが、それぞれ激励のあいさつをした。
 東伸社ユニオン、いちょうユニオン、フジビグループ分会、情報学園分会が、職場報告をおこなう。
 そして最後に、結成宣言が下地啓(学生・事務局次長)によって読み上げられ、団結頑張ろうで締めくくられた。
 東京労組のイニシアチブによる非正規労働者サポートセンターの結成は、資本主義によって社会(人間)が壊されていく時代にたいする労働組合運動の側からの対応であるだろう。資本との闘争と社会再建の活動の両輪が不可欠になっている。労働組合運動のこうした転換は、各地に広がりだしている。協同関係のネットワークを広げ、非正規労働者自身の一大運動の勃興へ、大いに貢献して欲しいと思う。(東京M通信員)


大阪3・28

NPO「労働と人権サポートセンター・大阪」
  労働運動再生の道筋が

 東京では「非正規労働者サポートセンター」の立ち上げが行なわれたが、大阪では三月二八日、日本労働運動再生の道を考える大阪でのこのかんの取り組みの経過を背景に、NPO「労働と人権サポートセンター・大阪」が結成された。
 この結成総会はエルおおさかに、全港湾、自治労、各地域ユニオン、野宿者や障がい者の支援関係など約110名が参加し、百をこえる個人・団体会員で出発した。事務局長は、ユニオンおおさかの馬場徳夫さん。
 NPO「労働と人権サポートセンター・大阪」は、「目的」として以下を掲げる。
1、地域に働く労働者の労働環境の改善、格差やあらゆる差別の解消と人権確立の活動を通じて労働者の福祉と権利の向上に寄与する。
2、失業に追い込まれた労働者や貧困に苦しむ市民に対し、再就職活動と生活維持へのサポート活動を通じて、社会福祉の向上に寄与する。
3、社会的マイノリティの労働と人権の確立、男女差別の解消と均等待遇、社会のあらゆる差別の撤廃と解放、障害者の自立支援及び在日コリアンや外国人労働者の諸権利の確立などのサポート活動によって、住みよい生き生きとした地域社会の建設に寄与する。
四月三十日には、活動の主体となる第一回運営委員会が行なわれ、活動計画の具体化が始まっている。
大阪や東京でのこうした取り組みは、労働運動の前進にとって今日、労働組合の結成とならんで重要なものとなっている。我々労働者共産党は、二〇〇五年七月の「労働運動政策決議」において、「企業別労働組合の克服の道筋」の一つとして「単に労働組合だけの改革ではなく、労働組合をサポートする諸組織と新しい労働運動の関係づくり」が必要であるあることを提起してきた。
昨秋以降の「非正規切り」と当面の大不況は、この提起の重要性をいっそう再確認するものとなっている。サポート諸組織と労働組合の連携、その地域的・全国的ネットワークの前進は、個人加入制の新しい労働運動を日本労働運動の主流に押しあげる道筋となるだろう。(A)


4・11「ホームレス支援全国ネットワーク」第3回総会
 雇用創出・社会再建へ向けNPO法人化

 四月十一日、大阪で、「ホームレス支援全国ネットワーク」が、第三回の定期総会を開いた。この総会は、野宿者支援団体のネットワークをNPO法人化へと発展させる方向の検討・決議の場となった。
 この間、全国ネットワークは、運動の中からの施策・事業の展開を全国的な連携を深めて発展させる一方、全国的な連携と受け皿作りによる支援施策の飛躍を図るため、「年間一千名の雇用計画―新たなセーフティネットの創出とそれを支える福祉関連産業作り」と「全国保証人バンク・地域生活支援付保証人事業」の構想を打ち出してきた。
全国五十団体から三十五名の参加者の中で、討議が行なわれ、全国ネットワークのNPO法人化への決議が、全員賛成で採択された。野宿労働者に対する支援は、非正規層の野宿に至らざるを得ない状態や、障がい者や刑余者等の野宿状態への突入という現実の中で、対象においても、規模においても、大きな飛躍をせまられてきており、全国ネットのNPO法人化は、それらの対応を可能にする道であった。
事業を行政から引き受けるだけでなく、新たな仕組みや事業を創り出す方向に出発したのである。(関西S通信員)