編集部だより

★待ち焦がれた桜も散り、風薫る五月、新緑のとき――鯉のぼりも大空にひるがえる。★春は、花が最も多く咲く時期だが、北国の春こそは、それが実感できる。一斉に開花するからである。今年の関東の春も、それに近い状況だった。桜とともに早咲きの桃が花をつけ、桜の散り際には、クルメツツジ、オオムラサキも陽当りのよい所は満開に近かった。★新緑の季節は、庭園の緑がいっそう引き立つ。日本庭園では、主木は松や羅漢真木などに限定される。その羅漢真木などの幹をコケが一面におおい尽くす。まるで寄生するかのように。その風情が日本庭園の一つの美として、長年、もてはやされてきた。★だが近年は、どうも風向きが変わりつつあるようだ。そのコケが、木々を衰弱させるので、全面的にはぎ落とすのである。兼六公園などでも、そんな作業が行なわれている。美観の変化である。★寄生といえば、社会に寄生するものの最たるものとしての官僚機構は、なかなか改革されない。高級官僚を厚遇する「天下り」や「わたり」などは、日本特有なもので、欧米諸国にはない。社会に寄生する特権層が、「派遣切り」に苦しむ労働者の生活を改善するための法案作りができるなどとても信用できない。★先ほど国会に提出された国家公務員改革関連法案は、まったくの骨抜きである。陰でほくそ笑んでいるのは「霞ヶ関」である。★ところで、北上する桜前線は、もう宗谷海峡を越えたのであろうか。(竹中)