イラク侵略戦争6周年 各地で反戦行動
  自衛艦ソマリア出動に抗議


 六年前の米ブッシュ政権によるイラク開戦の日「3・20」に前後して、日本各地でもイラク占領軍の完全撤退をはじめ現在の国際反戦の課題をかかげて、集会・デモが行なわれた。

3・19ワールドピースナウin大阪
  オバマ新政権を糾弾

 三月十九日、大阪市では扇町公園にて、「イラク開戦6周年抗議!ワールドピースナウin大阪」の集会がもたれた。あいにくの雨空であったが、「アメリカはイラク・アフガン戦争をやめろ!」「在日米軍再編・自衛隊海外派兵反対!」をメインスローガンに、大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネットワークの共催として、約3000名(主催者発表)の労働者・市民が結集した。
 集会では主催者から田淵直さん(平和人権センター)、中北龍太郎さん(しないさせない関西ネット)が挨拶し、役重善洋さん(パレスチナの平和を考える会)がガザ封鎖解除などを求めるパレスチナ問題でのアピールを行ない、自治労大阪の青年部、全港湾大阪など労組・市民団体が発言した。
 発言は総じて、オバマ新政権に移行しても、アメリカは依然としてイラクに居すわり、かつアフガニスタンへの飽くなき侵攻を拡大していること、またイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻を黙認、事実上の支持を堅持していることを強く非難するものであった。全港湾の代表は、「戦争の策源地としてのアメリカの本性は変わっていない、オバマ政権の戦争に反対運動を強めていこう!」とアピールした。
 また、「大阪港自衛艦入港反対」アピールが南大阪平和人権連帯会議から行なわれ、「三月二十〜二十一日にかけて、またも自衛艦が大阪港へ強行入港しようとしている。これまでも抗議行動を積み重ねてきたが、今回も地域から連帯して反対行動を取り組む」と檄をとばした。
 集会後は中崎町・中之島の二コースに分かれてデモ行進に出発し、日米の「グアム移転協定」糾弾! 護衛艦「さみだれ」「さざなみ」はソマリアから引き返せ!(これら海自艦は三月十四日に呉基地から出港を強行)などのシュプレヒコールをあげ、道往く市民に果敢な宣伝を展開した。また、集会には釜ヶ崎反失業連絡会・釜講座も十数名で参加、デモを貫徹した。
 なお京都では三月二十一日、「なくせ!戦争と貧困3・21ピースアクション」が実行委員会主催で行なわれ、約200名が鴨川三条河川敷で集会、円山公園までデモ行進を行なった。(関西I通信員)

東京3・20ワールドピースナウ
  原子力空母追い出そう

 東京では三月二十日、「イラク・アフガン・パレスチナに平和を ワールドピースナウ3・20」が中央区坂本町公園で開かれ、ワールドピースナウ実行委に参加する市民団体や平和フォーラムの各労組など約600名が参加した。
 集会は、イラク関係では大嶋愛さん(日本イラク医療支援ネットワーク)、パレスチナ関係では藤屋リカさん(ガザに光を!実行委員会)、アフガニスタン関係では長谷部貴俊さん(日本国際ボランティアセンター)が発言した。JVCアフガン現地代表の長谷部さんは、オバマ新政権のアフガン増派と、その軍事行動の一環である「地域復興支援チーム」に日本政府が文民を派遣しようとしていることを批判し、日本がやるべきことはタリバンとの和解の仲介役だと主張した。また、二月までガザを取材していた志葉玲さん(フリージャーナリスト)の報告もなされた。
横須賀原子力空母反対運動からは、小原慎一さん(三浦半島地区労・神奈川平和運動センター)が発言し、米原子力空母ジョージ・ワシントンが昨年九月強行配備されたが、その後の闘いを報告した。
集会後、参加者は「武力で平和はつくれない」「ソマリア派兵反対」「派兵恒久法反対」などのプラカードを掲げて、日比谷公園までピースパレードを行なった。
なお原子力空母問題では、このかん地元横須賀市の反対運動の顔であった呉東正彦弁護士が三月十九日、来る横須賀市長選(六月二八日投票)に出馬することを表明した。原子力空母配備を受け入れたことを始めとする現市政の「見直し」を掲げており、注目される。(東京W通信員)


   【反空港闘争 各地の現況】

  辞任に追い込められた静岡県知事

 無駄な公共事業の典型、また農業・環境・民主主義の破壊であり、結局、軍事利用につながる各地の空港建設に反対する闘い、この反空港の闘いの〇九年に入って以降の現況と、当面の課題について報告する。

  静岡空港
     県政立て直しへ

静岡空港問題では三月二五日、石川嘉延県知事が記者会見をして、任期途中で辞職する意向を表明した。七月末に任期を満了、五期目を狙うのかとされていたところである。静岡空港では、地権者・大井寿生さんの立ち木と土地が完全開港を阻み、六月四日に2200mに短縮しての暫定開港が強行されようとしていた。
 二月十一日、大井さんと石川県知事との「協議」が行なわれたが、大井さんの「協議の前提は知事の辞任」という突きつけに対し、知事は、わずかな減給やボーナスカットで開港延期の責任を取ったとする居直りを続け、協議は決裂した。知事は立ち木除去で、民事訴訟を提訴して強制排除をめざすなどとの恫喝を行なってきた。
 二月十五日には、「空港はいらない静岡県民の会第十四回総会」が、静岡労政会館に七十五名の参加で開かれた。東京、大阪からも参加がある中、桜井事務局長より昨年度の闘いの報告と、〇九年度の闘いの方向について提案が行なわれた。
その方針では、「暫定開港・大赤字たれ流しを止め、廃港へ」と闘いの柱を定め、延命を画策する石川県政を追いつめ、県知事選挙(今年七月)をも考慮に入れた世論作りを進め、住民監査請求と住民訴訟も準備するというもので、またさらに開港前の五月三十一日には、四つのテーマ(太田川ダム、静岡空港、沼津鉄道高架事業、浜岡原発)でシンポジウムを開催し、住民運動の大合流を図っていく方針が提起された。
県知事の辞任表明は、民事訴訟を起こしても数年を要すること、県議会与党の自民党などからも反発が高まる中で、さらに五期目をめざすことの困難性が明確になる状況で追い込まれたものである。「静岡県民の会」は、「悪政・失政の責任追及の手をいささかもゆるめることはできない。根本から県政を立ち直すたたかいが必要とされている」との声明を発表した。
大井さんとの協議がどう進展するかは、現時点では不明だが、5・31のシンポジウムを成功させ、赤字が前提の静岡空港の六月暫定開港に反対する闘いをさらに作り上げていこう。

  三理塚
     共有地堅持しよう

三里塚では一月十一日、三里塚芝山連合空港反対同盟が横堀農業研修センターで、09年「旗びらき」を行ない約三十名が参加した。
 反対同盟世話人の柳川秀夫さんが、「空港会社は3500m級滑走路の建設を、地元の要望を足がかりにして拡大しようとしている。91年事業認定は取り下げられた。これを破るものだ。」「また昨年会社は、共有地売却の手紙を全国の共有者に送りつけた。皆さんに空港問題の意味を再度考えてほしい。この問題は高度成長以来の経済のあり方の転換を問うているし、新しい考え方を世に提起していくことが求められている」とあいさつした。
 共有地提供者の加瀬勉さん、東峰地区らっきよう工場の平野靖識さんがあいさつ。関西三里塚闘争に連帯する会として渡邉が、昨年の反空港全国集会(静岡)の報告と、故・上坂喜美遺稿集の発刊について報告した。
 参加者はその後、横堀大鉄塔を調査した後、木の根ペンションに移動し、「三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会」の呼びかけによる「一坪共有地堅持・農民追い出しを許さない」をテーマとする学習会を行なった。加瀬勉さんから共有運動の歴史と意義について提起を受け、反対同盟の遺産であり、日本の階級闘争の拠点としての共有地の堅持を確認していった。
 二月一日、関西三里塚闘争に連帯する会等の「旗びらき」が尼崎市立労働福祉会館にて、約四十名が参加して行なわれた。
 その一部は、「三里塚を再び緑の大地へ」を書名とする上坂喜美遺稿追悼集の出版記念会である。編集委員会より丹羽通晴さんが出版経過を報告、反対同盟の柳川秀夫さんが、「上坂さんは一貫して反対同盟とともに歩んでくれた。一貫して世の中の変革のために闘ってこられた上坂さんに恥じないように生きていきたい」とあいさつした。当日は遺族の滋子さんも体の不自由のなか出席され、モントリオールより息子さんの鉄さんからのお礼のメッセージも紹介され、参加者の感動を呼んだ。朋友の阪神連帯する会・菊地望さんや、金沢からの旧労農合宿所の仲間など多くの発言が続いた。
 二部は「旗びらき」で、一坪共有地の堅持のために討議し、また革共同再建協議会の機関紙に掲載された、三里塚問題での「八四年の軍事的せん滅戦にかんする自己批判」についての論議が活発に行なわれた。
 空港会社は二月、売却要請の第二弾の手紙を、共有者935人に送りつけてきた。大地共有委員会は新たなニュースレターを発行し、各地区ごとの共有者の結合を呼びかけている。来る四月十二日には、午後一時半より東峰共同出荷場で東峰現地行動が取り組まれる。
神戸空港では、二月十六日に神戸市役所前で、「神戸空港開港三年抗議集会」が百五十名の参加で開催された。関西新空港では、「泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会」が一月二四日に総会と「旗びらき」を開いており、伊丹をふくめ関西三空港の矛盾に対しての闘いが続いている。四月十九日には関西新空港の現地、泉南市岡田浦浜で現地反対集会が予定されている。

  白保
    東京地裁が現場検証へ

石垣島・白保空港の建設強行に対しては、沖縄県から共有者へ、共有地の売却要請と強制測量の結果に対する立会い等についての要請が送りつけられている。さらに「損失補償協議書」が送りつけられ、決めるのはこれが最後だとして「恫喝」が共有者に掛けられている。
これらに対して抗議が行なわれるとともに、一方、設置許可取り消し訴訟が進んでおり、去る三月六日の公判では、コウモリ研究者の証言が行なわれた。この公判で、裁判官が現地進行協議を明らかにした。これは実質的な現場検証にあたり、東京の裁判官がはるばる石垣島まで検証に出かけることなどは、異例中の異例であり、東京地裁始まって以来のことではないかと言われている。
さらに、事業認定取消訴訟に向けた準備もすすめられている。
各地の反空港の闘いを、さらに発展させていこう。(関西東峰団結小屋維持会・渡邉)