編集部だより

★裁判員制度五月開始に向け、法務省・最高裁のマスコミを利用した攻勢が強まっているが、市民の支持は一向に高まらず、裁判員候補拒否の傾向がはっきり現われている。しかし見直し・廃止を訴える側も、司法改革を掲げる権力側に対する対抗理論が希薄なため、既成政党のみならず左翼諸派もはっきりした物言いとなっていない。★さて、共産主義が三権分立を否定することは、独裁政治となるのではとの危惧が一般にはある。私たちもプロレタリアート独裁を綱領とするが、それゆえ見せかけのブルジョア的三権分立を否定する。たしかに歴史上の諸革命での「人民裁判」は、政敵を社会的に抹殺するという様相を呈したともいえる。諸列強の干渉戦争などの背景があったといえ、革命戦争、祖国防衛戦争を経て国家の役割が一層強固となっていったこと、ここから歴史的教訓を引き出すことが必要だ。★民主政の発展過程は、懐柔と形式の部分も多く含まれるとはいえ、発達した資本主義国での経験は大きな教訓となっている。日本国憲法は戦前の反省から、三権分立以上に、司法の場に立たされる人民の擁護を前提としている。歴史の教訓を踏まえ、憲法の民主的側面を活用し、プロ独期における「司法」を創造することが必要だろう。今の裁判員制度は、改革とは名ばかりで現憲法から逸脱した反動的代物だ。(日下部)