憲法9条を守り抜くために力を合わせよう!
2・21パネル討論集会


各界から「力合わせる」参加

 二月二十一日、東京・文京区民センターで、「憲法9条を守りぬくために力を合わせよう! 2・21パネルディスカッション」が、実行委員会の主催で開催された。パネラーは、伊藤誠(経済学者)、伊藤成彦(中央大学名誉教授)、北野弘久(日本大学名誉教授)、山内敏弘(龍谷大学教授)、奈良本英佑(法政大学教授)糸井玲子(キリスト者政治連盟)、山口素明(フリーター全般労組)、星野弥生(翻訳家)の各氏。百五十七名が参加した。
 伊藤誠さんは、ニューディールとその限界になどに言及した。伊藤成彦さんは、核兵器の廃絶、日米安保、自衛隊に言及して9条再生を訴えた。北野さんは、税金を平和と福祉のためだけに使うと約束したのが現憲法だと指摘した。山内さんは、憲法が再生へ行くのか、破壊へ行くのか岐路にあると指摘し、田母神問題を取り上げた。奈良本さんは、「テロとの戦い」なる呪文によって麻痺させられている現実からの脱却を訴えた。糸井さんは、平和を願うだけではだめ、行動することが大切と語った。山口さんは、街頭において表現の自由の抑圧が進行している現実を指摘した。星野さんは、子どもたちの世代が生きる社会つくるという視点から語った。
 討論する時間はほとんどなかったが、上原公子さん(前国立市長)、前田裕唔さん(全労協副議長)、平田豊さん(前北部労協事務局長)など多くの人が発言した。「憲法9条を守りぬくために力を合わせる」という趣旨から見て、意義ある試みであったと思う。(東京M通信員)


和歌山カレー事件2・1現地集会
  甲山事件・山田悦子さんが講演

  最高裁は公正審理を

 二月一日、「和歌山カレー事件を考える人びとのつどい第5弾 最高裁弁論を目前に控えて」の集会が、和歌山市民会館にて約七十名の参加でもたれた。主催は、和歌山カレー事件を考える人びとの会。五度目の現地開催となる。
 一九九八年七月に発生した「和歌山カレー事件」は、同年十月に殺人未遂・保険金詐欺の容疑で、さらに十二月にはカレーへの亜ヒ酸混入による殺人・殺人未遂の容疑で、林眞須美さんを逮捕・再逮捕して今日に至っている。林眞須美さんは捜査段階から一貫して無実を訴えながら、一審・二審では状況証拠のみ、動機すら未解明のままに有罪・死刑判決を言い渡された。上告審の最高裁口頭弁論が、弁護側の立証準備を配慮せず、拙速に二月二四日に開かれる段階となっている。
 事件発生後、マスコミは「毒婦・林眞須美」との予断にもとづいた報道をはんらんさせ、各紙・週刊誌は再三誤報を流し続けた。裁判では、林さんが保険金目的で夫や知人にヒ素や睡眠薬を飲ませたとされる23件の別件の疑惑が「類似事実」とされ(内19件は不起訴)、有罪の状況証拠とされた。類似事実による立証は原則許されないのに法廷に持ち出され、被告人はあやしいという予断が作られた。検察は上記「類似事実」について、まともに物証の裏付けを取らず、直接証拠のないまま、被告宅から「発見」されたヒ素とカレー混入ヒ素との「同一性」という鑑定をたよりに有罪を主張し、事件は今春にも安易な流れで結審しようとしている。
 集会には、弁護団(安田好弘、小田幸児各氏ら五人)と共に、被告の夫の林建治さんも出席して、事件の実相をめぐって語り、また闘う決意を述べた。
 またメインゲストとして、「甲山事件」えん罪事件で無罪をかちとってきた山田悦子さんが、「日本の刑事裁判に必要なもの――刑事被告人とされ続けて感じたこと」と題して講演を行なった。山田さんは自らの積年の闘いをふり返りながら、概略以下のように語った。
@日本では、憲法にあるような精神とはかけはなれた司法制度の現実があり、この点において一切の甘い考えをもってはいけない。現実を詳細に理解・直視し、闘っていかなければ解決の道は一歩たりとも開かれない。A日本の司法は欧米のそれとは違う特異性をもっており、本来、証拠がなければ推定無罪だが、日本人の法権利意識は希薄で、そうはならない現実にある。Bわたしの二十七年間の闘いには、裁判費用として巨費が費やされたが、被告への物的支援は言うまでもなく、長い争いの場ではできるだけ喜怒哀楽の感情は捨て去り、一貫してクールに対処していく心持ちが必要。C本事件の一審の感想として、眞須美さんが終始黙秘権を行使したことに疑問が残る。この事件の意味合い(えん罪主張が国民的に共感されていない等)においても、正々堂々と無罪を当初から主張すべきであった。Dマスコミを引き付け味方にすること、弁護団への支援体制を図ることが必要。
山田さんは講演の中で、何度も闘いという言葉に力を込め、長期で、手探りの裁判闘争では、闘争意欲の持続がすべての原点であると静かに力説していたように思う。
集会は、弁護団と夫・建治さんとの討論、出席者の質疑を受けて終了した。狭山事件など数多くのえん罪事件をかかえる日本において、人民の手によって、真の民主主義的権利を闘いとっていく活動は重要だ。今後の「和歌山カレー事件」の闘いの勝利的発展を念じつつ、報告とする。(関西I通信員)