2009年・年頭アピール

 「変化」をとらえ社会変革へ
      動揺する資本主義世界、大闘争の幕は開きつつある

                      労働者共産党 中央常任委員会

 旧年2008年は、「変化」の年と称された。アメリカ発の国際金融恐慌・世界同時不況が、市場原理主義に深刻な打撃を与え、またアメリカ一極支配の終わりを告げ知らせたからである。また、この中でオバマ次期大統領が、アメリカの「変化」の象徴として登場したからである。
日本では今、この「変化」は、非正規労働者などへの大量首切り攻撃として当面現出している。「変化」はさまざまな面で現われてくるだろう。この「変化」を捉え、労働者人民に有利な「変革」に転じていくこと、新年2009年をその「変革」の潮流を固め、飛躍させる年としてかちとれるのかどうか、これが我々に問われている。それは「イエス・ウィ―・キャン」である。
変化の第一は、ここ数十年とくに冷戦終結以降、アメリカ・スタンダードの市場原理主義を世界に強要してきた新自由主義グローバリズムが、世界中の政府・人民からひどく信用を失ったことである。しかし資本主義世界の延命を願うブルジョア支配者たちは、それに替わる経済的社会的な代案をもっているわけではない。インチキ証券を世界中で売りさばくというような極端なマネーゲームは規制されるだろう。しかし世界的過剰資本は、おのれの不労所得のために蠢きつづける。
この過剰資本は、いわゆるグリーン・ニューディールによって生産的に処理されるだろうか。ブルジョア諸政府は、いま必死になって金融機関と民間経済にカネをつぎ込み、公共投資を乱発して、実体経済での大恐慌を回避せんとしているにすぎない。投機利益よりも生きた労働を使って儲けよ、しかし労働者はどんどん工場を追い出されている。外需頼みでなく内需を振興せよ、しかし民衆はますます貧乏になる。資本主義体制はこの矛盾を根本的には解決できない。グリーンかつ根本的な社会改革は、資本主義の下では不可能だ。それは、生産財の社会的所有を基礎とした全世界労働者人民の協同社会、社会主義の実現によってこそ初めて可能となる。
変化の第二は、1991年のソ連邦崩壊でまず東側ブロックが解体したことに続き、若干の時間差をおいて、西側ブロックの主柱・アメリカ帝国主義が歴史的凋落を開始したことである。世界は米ソ二極支配から、一時的な米一極支配、そして多極化へ転じつつある。
我々労働者共産党は、米帝のイラク開戦・占領直後の中総決議で、イラク侵略戦争を「アメリカ帝国主義の『終わりの始まり』」と予見し、また昨年八月の党大会決議では、「今日の世界は、アメリカを主柱とする国際反革命同盟体制を基本的枠組みとしている」が、その「一極支配体制は(中略)大方の予想以上に急速に支配の陰りが増大している。これが、今日の世界情勢の最大の特徴である」と論断して、超大国アメリカの地位低下とその進行程度について冷静な分析を行なった。
米帝は、いぜん軍事超大国の地位を維持するが、台頭する中国とインド、再建されたロシア、左派優勢の南米・中南米、これらとの政治的な競争にしだいに劣勢となっていくだろう。また他の帝国主義諸国との同盟体制は維持されるが、政治的経済的なリーダーシップはしだいに弱くなっていくだろう。こうして、世界の中での日本の地位の取り方が問われてくる。それは、右にも左にも行きうるものである。
国内的には、変化の第一は雇用をめぐる現在の闘争である。労働者への一方的犠牲転嫁を許さず、企業別の枠を超えた個人加入制の新しい労働組合運動を、おおきく発展させる好機としていくことが問われている。
そして新年早々、次の大きな変化、自民・公明政権の打倒と政権交代が不可避的に近づきつつある。一昨年来の主要な政治争点であったアフガニスタン侵略戦争から海上自衛隊を撤退させる問題は、新テロ特措法延長案が十二月十二日に衆院「再議決」によって成立させられた。民主党は延長案に形式上は反対し、実際上はその成立に協力した。このことは日本の民主党が、米国の民主党が次期政権となるアメリカ帝国主義に全力で協調する連中であることをバクロした。
自民・民主の二大ブルジョア政治勢力に対決できる「第三極」政治勢力を、すべての左翼的・民主主義的勢力の広範な共同によって登場させなければならない。「第三極」の主役は、国会諸野党なのではない。「第三極」政治勢力に現実的力を与える要素は、新しい労働運動の前進、地域の労働者民衆の共同、左翼諸勢力の結集、この三つであり、結局労働者人民の闘いがその推進力である。
麻生首相と自公連立はすでに死に体となった。総選挙後の新政権が民主党中心のものであれ、政界再編成による雑炊的政権であれ、いずれにせよ労働者人民の力と要求に新政権を直面させなければならない。政権交代は、次の大闘争の幕開けである。激動の2009年を戦取せよ!