編集部だより


★「二〇〇八年の漢字」は、「変」であった。熟語には、変調、変化、変革、天変、豹変などがある。★〇八年は、まさに大荒れの年であった。国際金融危機で、「先進国」といわれる国々が軒並みマイナス成長となり、身近なところでは、石油・食料品などがべらぼうに高騰したかと思うと、数ヶ月後には価格は急降下した。金融危機のあおりで、派遣労働者や期間工などが、瞬く間もなく首切りされた。★アメリカでは、ようやくブッシュが退陣し、民主党のオバマが新大統領に決まった。日本では、有権者の信認もなく、安倍、福田につづいて、麻生政権が登場したが、これもまたすでに危険水域に陥っている。めまぐるしい変化である。★内外の「変」は、激しく急であるが、特筆すべきは、米の国家情報会議が11月20日に発表した二〇二五年の世界情勢を展望する報告書である。★それは、アメリカの「圧倒的優位が弱まる」として、唯一の超大国としての地位が消失することを自認している。そして、経済のグローバル化と新興国の台頭の下で、「ドルの国際的な役割は衰え、複数の基軸が並立」し、「第二次世界大戦後に生まれた国際体制が、ほぼ跡形もなくなる」としている。★アメリカの凋落は、めざましい。だが、「変」は、もともと、打って別の物に変化させる意、だという。他動詞である。(竹中)