国鉄闘争
  JR採用差別問題の解決要求実現をめざす
             10・24中央大集会に一万余名

  今こそ政治決断を!

 十月二四日、東京・日比谷野外音楽堂の内外にて「今こそ政治決断を!JR採用差別問題の解決要求実現をめざす10・24中央大集会」が行なわれ、一万千二百名(主催者発表)の労働者・市民が結集した。主催は、4者4団体(4者とは国労闘争団全国連絡会議、鉄建公団訴訟原告団、鉄運機構訴訟原告団、全動労争議団原告団の被解雇当事者。4団体とは国労、建交労の二組合、および国鉄闘争中央共闘、国鉄闘争共闘会議の二つの支援)。
 この日は昼間の大雨が上がりきれない天候であったが、政治解決へ向けた今年七月の転機、また解散・総選挙による政権交代という政治環境の大きな変化が近くありうるという情勢、これらを踏まえた国鉄闘争の正念場であることから、昨年の11・30全国集会を上回る規模となった。野音内には系列をこえて全国各地からの労働組合・市民が結集し、場外には国労東京などが陣取っていた。
 集会は最初に、高橋伸二・国労委員長が、「七月十四日、鉄建公団訴訟控訴審の東京高裁・南裁判長が被告・原告へ『ソフトランディングできないか』の提案を行ない、翌日それを受けて冬柴国交相(当時)が解決へ向けて誠心誠意努力すると発言した。このかんの4者4団体の総団結の力によって情勢は動いてきた。解決テーブルが何時設けられてもおかしくないところまで来ている。本集会で今こそ政治決断を!と求めよう。また本集会は、すべての労働者国民とともに格差・貧困の政治を変え、平和と民主主義のために解散総選挙に勝利していくための行動でもある」と主催者あいさつを行なった。
 国会議員からは、民主党の郡司彰参院議員が「私を含め四名が担当窓口となっているが、いよいよ政治の出番となっている。人権の問題として解決に全力をあげる」と述べ、また共産党の仁比聡平参院議員、社民党の保坂展人衆院議員のあいさつと続いた。
 つづいて、二瓶久勝・国鉄闘争共闘会議議長が次のように情勢報告を行なった。「七月の転換という局面は、私たちの闘いの成果である。被告側(旧国鉄=鉄運機構)は今のところ和解拒否で、また七月以降は解散総選挙近しとなって政治解決への動きは一時的に止まっているわけだが、当面総選挙があり、鉄建公団訴訟の高裁判決が来年三月とみられる。三月までは、政治解決に努力する。公明党は与党であるが、自党の冬柴発言を受けて党内に対策委員会を設けた。総選挙で反自民が前進すれば、納得のいく解決に有利となることは明らかだ。しかし総選挙があろうがなかろうが、大衆闘争と裁判闘争の両輪で闘っていくことに変わりはない。『雇用・年金・解決金』の要求を勝ち取っていこう」。
 連帯発言を平和フォーラム、全労連、全労協が行ない、呼びかけ人を代表して鎌田慧さん(ルポライター)があいさつ、「22年前の不採用から、雇用と権利の破壊が広がり、非正規が三分の一を超えるまでになった。国鉄闘争の解決を1047名問題の解決のみならず、これまでの社会を変えていく転換点にしていこう」とアピールした。
 最後に、酒井直昭・鉄建公団訴訟原告団団長が当事者決意表明を行ない、家族会アピール、集会アピール提案と続いた。採択された集会アピールは要旨、「国土交通省・鉄道局と政府に対し、紛争を発生させた当事者としての『解決責任』を求める」、「来る解散総選挙では、麻生政権にノーを突きつけ、格差・貧困社会を変えていく大きな転換点にしていく」とアピールした。集会後、参加者は銀座方面までデモ行進を行なった。
 また、10・24中央大集会に続いて十月二六日の日曜日には、第22回「団結まつり」が都内亀戸中央公園で行なわれた(主催は団結まつり実行委員会)。国鉄労働者1047名の解雇撤回!戦争と貧困のない社会を!のスローガンの下、延べ一万八千人が参加し、例年以上の賑わいであった。
 なお、10・24集会では、「政治解決」に反対する一部の人々が抗議行動を行ない主催者から排除される事態が生じていた。これをどう考えるか。
この集会は「今こそ政治決断を!」と掲げているように、4者の統一要求(06・9・14)への支持を前提にした主旨である。統一要求は、〇五年鉄建公団訴訟判決などをふまえ政府の決断により解決を図れとし、「鉄運機構、JR各社及び関連会社もしくはJR各社に準ずる条件の雇用を確保すること」・年金・解決金を要求するものである。たしかにこれは、不当労働行為是正すなわち原状回復という百%要求ではない。しかし採用差別があったことを遺憾なこととして政府に認めさせ、かつ雇用・年金・解決金を勝ち取ることができるならば充分勝利的な和解と言えるのではないか。解決テーブルが勝利的和解につながるかどうか、これは闘いにかかっていると言う他はない。
また、かつての「四党合意」は、当事者の意思を除外したところで国会与野党が合意し、それを国労大会に呑ませようとして破産した「解決案」であった。現在の統一要求は当事者多数が合意して推進しているものであって、それを全面否定するならば争議支援の常識に反する。統一要求に組するか、組しないかは各団体・個人の自由である。組しない人は自身の道を行けばよいのではないか。(東京W通信員)