総選挙―麻生政権を自公最後の超短命政権に

  対米追随・格差拡大を断て


 総選挙を意識し芝居じみた自民党総裁選に麻生太郎が圧勝し、自民・公明与党による三回目のお手盛り政権、麻生連立政権が九月二四日に成立した。総選挙の洗礼をうけていない政権が、安倍(参院選の審判は受けたが、大敗して逃亡)、福田、麻生とたらい回しにされ、対米追随と格差拡大の政治が続いている。
まずもっての労働者人民の課題は、この麻生政権を「一ヵ月」超短命政権で終わらせることである。直面する総選挙で自公打倒・政権交代を実現し、対米追随と格差拡大からの政治転換を新政権に強制すること、それらの闘いを通じて「第三極」政治勢力を前進させることである。
麻生内閣の顔ぶれは、麻生自身が安倍政権時の外相として親米右派の筆頭であり、NHK番組政治介入の中川昭一をはじめ、教育基本法改悪を進めた中曽根弘文、「日教組をぶっつぶせ」の中山成彬ら極右人脈が入閣し、官房副長官にはこのかんの朝鮮総連不当弾圧を指揮してきた漆間前警察庁長官をすえるという反動的なものとなった。
自民・公明は当初、新内閣発足時の「ご祝儀相場」を当てにした臨時国会冒頭解散を検討していたが、二五日の世論調査では、福田内閣発足時の57%すら大きく下回る48%の内閣支持率にすぎなかった。そして中山国交相の違憲発言(政府の公職にある者が、団結権、結社の自由を侵害した)による二八日の辞任があり、解散引き伸ばしの戦術となっている。十月六日から国会審議が開始された現在、補正予算案の審議を経るなかで与党に有利な時点で解散権を行使すればよいという党利党略によって、いまだに総選挙日程が定まらないでいる。こうした動きは、主権者国民と有権者を徹底的に愚弄するものである。
一方、麻生内閣発足翌日の九月二五日午前、米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが、地元と全国の抗議の声を無視して、横須賀に入港・配備された。横須賀市では数日前から配備反対の座り込みなどが各所で行なわれ、二五日早朝にはジョージ・ワシントンを迎え撃つ二つの集会と地元平和船団の行動が展開された。その日午後にはヴェルニー公園で配備阻止全国集会が平和フォーラムの労働組合などによる4800名の結集でひらかれ、米海軍基地へ抗議のデモ行進が闘われた。
このジョージ・ワシントンの強行配備に対して、麻生は九月二九日の首相所信表明演説で、「日米同盟の強化、これが常に、第一であります」と述べて露骨に呼応したのである。また麻生は二五日の国連総会演説では「不変の基軸、日米同盟」と述べ、その訪米で「集団的自衛権の憲法解釈を変えるべきだ」とも述べている。
このように麻生は、福田政権のいわゆるアジア重視外交から小泉・安倍政権の対米一辺倒政治へと逆転する傾向となっている。彼は所信表明演説の中で、「日米同盟と、国連と、両者をどう優先劣後させようとしているか」などと民主党へ挑発的に質問した。この質問は、アメリカがすでに整理しようとしている単独行動主義に対し、首相麻生はいつでも日米同盟優先でついて行きますと自己バクロしているに等しい。
その外交路線はまったく陳腐かつ反動的である。内政・経済路線においても、その補正予算案は一時しのぎのバラマキにすぎず、その成立まで総選挙を待つような値打ちのあるものではない。アメリカ発の国際金融危機ではドルをばらまいたが、現在の日米軍事一体化は日米大不況一体化へ行き着く。
来る総選挙で、麻生自公政権を打倒しよう。憲法9条改悪に反対し、新テロ特措法の延長に反対すること。格差拡大の「改革」に反対し、非正規労働者などの待遇改善を進めること。最低この二つを政策基準として、その公認政党にかかわらず、候補者の是非を判断しよう。また、候補者の政策に問題がある場合でも、自公政権を打倒する大局からの対処が必要となる場合も多い。
東京では、大衆運動の現場に最も近い議員といえる保坂展人候補、近畿比例では、山内徳信議員と共に闘ってきた服部良一候補の当選をかちとろう。千葉では上田恵子、神奈川では阿部知子を支持する。沖縄二区・照屋寛徳の必勝を。辺野古を抱える沖縄三区では、新基地反対を基準とした候補者一本化を社民・民主に強く要求する。
全国各地から選挙戦をつうじて、労働者人民の闘いと連帯を強めよう。