迫る総選挙、自公打倒・政権交代かちとろう
 
さらに「第三極」勢力形成へ


 九月一日、福田首相が突然辞任を表明し、年内早期の解散・総選挙へ政局は一気に動き出した。自民・公明連立政権を打倒して政権交代を実現し、当面の日本政治の転換を闘いとる好機がやってきた。この好機を活かした闘いはさらに、自民・民主の二大ブルジョア政治勢力と対決する労働者人民の「第三極」政治勢力を登場させる闘いに続いていく。
 福田政権は一年前の発足当初から、安倍前首相の政権放棄という事態への応急措置であり、総選挙までのつなぎの政権とみられてきた。ところが最大野党・民主党の攻め方のまずさや労働者人民の闘いの弱さに助けられ、新テロ特措法などの「再議決」強行、洞爺湖サミットの主宰、八月当初には内閣改造と延命してきた。この改造内閣で当然臨時国会まで居直るものとみられたが、またもや唐突・無責任の政権放棄である。福田辞任の背景分析は別評にゆずるが、彼の言う「国民目線の改革」という路線が、与党の諸傾向の支離滅裂な寄せ集めに過ぎなかったことがバクロされたのである。
 二代続きの首相逃亡という前代未聞の事態からすれば、すでに与党に政権担当の資格はない。本来は、国会の野党を中心に選挙管理内閣を組織し、ただちに総選挙を行なうのが筋である。ところが自民党は、またもや党総裁選挙を演出し、与党内のお手盛りで新首相を決めてから、あるいは補正予算案を成立させてからの総選挙でよいなどとしている。かれらの「新政権」発足のご祝儀相場を狙った解散、臨時国会冒頭での解散という手もある。国民を徹底的に愚弄するものである。
 圧倒的国民と諸野党が早期の解散・総選挙を要求しているのは当然だ。来る総選挙では、自民党が前回で取り過ぎている衆院議席を大幅に減らすことは避けられない。その負け方が、政権交代をもたらす程度かどうかが焦点である。そして自民大敗北であれば、その結果予想されるのは、民主党を中心とした政権交代か、あるいは「政界再編成」政権の醜悪な成立、このどちらかである。前者の場合のほうが、労働者人民にとって闘いやすく有利であるが、我々はどちらにも備えがなければならない。労働者人民の圧力が弱ければ、消費税や改憲策動の再開、派兵恒久法を結集点とした政界再編がありうる。
 現情勢で、労働者人民の諸勢力・諸政党の態度でもっとも誤った態度は、政権交代が行なわれてもどうせブルジョア政権であるとして、したり顔の傍観者となってしまうことである。傍観するのではなく情勢を積極的に活用し、労働者人民の政治的力量を高め、地域の統一戦線を前進させなければならない。
総選挙での各党の態度では、すべての議会野党が遺憾ながら自己の延命を第一とした対応を取っており、全野党の共同あるいは「第三極」的な構図は例外となるだろう。たとえば日共は、「政権交代」を決して語らず、「政治の中身を変えよう」を現下のスローガンとしている。民主に票をとられまいとする事情は分かるが、そのスローガンで国民大衆の琴線に触れることができるだろうか。民衆はまずもって、デタラメ無責任な自民党を引きずりおろすことを求めているのではないか。
こうした中で我々左翼勢力は、政策的一致のある野党候補を当選させること、また与党から野党への政権交代を実現することに有利な選挙対処を、断固意識的に取らなければならない。
選挙闘争とともに、諸課題の闘争もおもいきった攻めどきになっている。福田逃亡の混乱によって臨時国会の開会も遅くなり、新テロ特措法の延長はいっそう困難になっている。来年一月にはインド洋・海上自衛隊の再撤退が避けられなくなるだろう。貧困・格差拡大の内政の転換とともに、アメリカの「対テロ戦」に追随してきた外交の転換もいよいよ不可避である。
八月二六日にアフガニスタンで引き起こされた、ペシャワール会・伊藤和也さんの殺害事件は、日本政府が多国籍軍への給油活動をいつまでも続けているがために、アフガン武装勢力の対日感情がしだいに悪化してきたことが背景にあるとみられている。町村官房長官は伊藤さん遺体発見の翌日、「尊い犠牲が出てしまったが、そうであればあるほどテロとの戦いに引き続き関与していくことの重要性を国民は感じた」などと語ったが、白黒を逆にした許しがたい発言である。伊藤さんは、自公政権の「対テロ戦」協力という誤った政策の犠牲者なのである。
内外政の耐えがたい欺まん、これを一掃すべき秋(とき)は来た。自公政権打倒、政権交代を実現し、たたかいの大道を切り拓こう。