編集部だより

★東京高裁は、7月14日に、「布川事件」で服役した桜井昌司さんと杉山卓男さん(ともに61歳)の再審請求を地裁に続いて認めた。★だが、東京高検は同月22日に、最高裁に特別抗告した。死刑や無期懲役の事件で、一審、二審で再審開始が認められながら、特別抗告に至った例はこれまでにない。きわめて異例なことだ。★布川事件とは、一九六七年に茨城県利根川町布川で起きた強盗殺人事件である。しかし、桜井さん、杉山さんに対し確定した無期懲役の判決は、その前提条件がひどくズサンであった。★まず物証が一つもなく、ただ自白に頼ったものである。しかも、自白は繰り返し何回も変遷したお粗末なものである。また、目撃証言はあいまいなもので、これを真っ向から否定する別の目撃証言は隠蔽された。この新しい目撃証言は、再審第二次請求の段階で、検察側が証拠開示して明らかになったものである。★「自白」なるものは、一度否認され、それが再び「自白」すると言う経過を辿ったが、それは拘置所から警察に連れ戻された代用監獄での取り調べにおいてであった。冤罪事件を生み出す典型的パターンである。★確定審の段階で裁判官に影響したものに、取り調べ状況を録音したテープがある。だが、これは13ヶ所も編集されたものであった。取り調べの「可視化」も、中途半端なものであれば、逆に冤罪を生み出すものである。★にもかかわらず、特別抗告とは……。常軌を逸した行為である。(竹中)