G8の無責任・無能力をばくろした洞爺湖サミット
  もはや政権を取り替えるのみ

 G8洞爺湖サミットは、地球温暖化対策においても、食料・石油高騰対策においても、なんら重要な解決策を打ち出せないまま終了しようとしている。主催国日本をはじめとするいわゆる主要国の首脳たちが、いかに無責任・無能力であり、各々のブルジョア支配階級の都合を優先するだけの連中であるかということが公然と明らかになった。
 かれらは新自由主義グローバリズムの矛盾の露呈に対して、その部分的改良策さえ提示できず、居直ったのである。新自由主義の破綻、さらには資本主義世界そのものの限界性がバクロされたのである。
 ところが、日本の福田連立政権は、今回のサミットに成果があった、成功したと強弁し、自己の政権延命の材料にしようとしている。福田首相は、もっぱら手身近な政治的利害で頭がいっぱいで、人類史的な課題の解決など本当はどうでもよいのであろうか。主催国として警備・開催費などにばく大な税金を使ったにも関わらず、国民と国際社会に具体的な成果が何らなかった、過剰警備で国民生活と入国者の邪魔をしただけ、というのが洞爺湖サミットの実態である。この失態の責任を、福田政権は取らなくてよいのか。
CO2削減問題ひとつを取ってみても、福田政権は、日本の新たな「中期目標」をついに提示しないままサミットに臨み、京都議定書を脱退したままの米国を支援した。ブッシュ政権は、中国とインドが参加しない国際合意は無意味だとして国別総量目標を掲げること自体に強く反対してきた。この結果、今回のG8としての合意の実質は、五十年後にCO2排出量を世界全体で半減することを検討とした前回サミットの抽象的合意、これを繰り返しているに過ぎない。サミットに連続する主要排出国会議(中印を含む十六カ国)では何らかの国別目標が入りそうであるが、G8の無責任ぶりは際立っている。
こうしたことから、サミット後の労働者人民の闘争方向は何か。第一には、サミット「成功」を政権延命策にしようとする福田政権の厚顔無恥を徹底的にバクロしつつ、福田・自公連立政権を早期に打倒し、当面の政治転換をかちとることである。
総選挙と政権交代に備えつつ、ひろい政治的布陣が問われている。民主党(および連合)は洞爺湖サミットを翼賛あるいは放置し、なんら対抗企画を作らなかった。これは、民主党の二大ブルジョア政党の一つという本性からいえば当然とも言えるが、野党としては政治的失策である。しかし、かれらにもサミット失敗を利用して政権を批判する権利はある。現政権へのあらゆる批判を動員し、自公政権を孤立させよう。
第二には、サミットに反対あるいは対抗した市民運動の継続と発展、それらが福田政権打倒と当面の政治転換へ合流することである。
洞爺湖サミットに対抗する最大の場となった札幌「7・5ピースウォーク」には、三〇〇〇名以上の人々が全国・海外から集まった。目標の一万人には届かなかったが、全国的にも労働団体など大きな組織が反サミットでは動けなかった中で、札幌にこれだけ集まったことは今後へ向けた重要なステップと言うべきだ。また洞爺湖サミットの現実は、サミット自体には反対しない提言型の市民団体にとっても、このかんの提言やG8対話をことごとく無視される無惨なものであった。ある時は政策の実施を提案するが、必要な時は政権自体を取り替える闘いに立ち上がらなければならない。すべての市民団体の福田打倒への決起を呼びかける。
課題の三は、労働運動の再建である。日本の労働運動は全体としては反サミットに対応できず、象徴的には、日本の労働組合運動は今回、韓国民主労総の仲間を不当な入国拒否から守ることができなかった。ナショナルセンターが正式に民主労総を招聘していたら、政府もこんな暴挙を強行しえただろうか。新自由主義路線反対とその国際連帯を、口先ではなく、実際に推進できる労働運動を強化・拡大しなければならない。
この時期一方では、非正規や個人加入制の労働組合のこのかんの闘いによって、労働者派遣法の一定の改正を政府も認めざるを得なくなる状況がかちとられている。新自由主義の攻勢を逆転させる重要な前進である。
新しい労働運動の前進をカナメとし、民衆運動が大連合し、すべての左翼が共同戦線を形成して、新自由主義・福田政権を打倒しよう。