新自由主義居直る洞爺湖サミット―全国で対抗行動を
  資本主義に解決能力はない

 七月七日〜九日に北海道・洞爺湖で、いわゆる主要国首脳会議G8サミットが開かれようとしており、その前段として四月以降、各相サミットなどが日本各地で行なわれている。これら日本政府を議長国とする帝国主義諸政府のサミットに、反対あるいは対抗する日本の労働者人民の行動が大規模ではないが各地で展開されつつある。
 洞爺湖サミットの主要テーマは、「地球温暖化」を筆頭に「アフリカ開発」「金融危機」「食糧高騰」などへの対策であると言われている。それら諸課題でG8の取り引きの産物として何らかの抽象的合意が声明されはするだろう。
しかし洞爺湖サミットで問われている真のテーマは、新自由主義グローバリズムの矛盾が米国発世界金融恐慌や世界的食糧暴動として露呈する現況の中で、これまでの新自由主義路線に今日のグローバルな課題の解決能力がはたしてあるのか、ないとすれば何らかの軌道修正が可能なのかということである。G8で修正の道も合意されないとすれば、もはや新自由主義が問われているだけでなく、今日の資本主義世界体制そのものの解決能力・統治能力、その正当性が問われることになるだろう。
世界資本主義そのものが問い直されている。労働者人民によるサミット対抗行動では、地球温暖化問題など個々の課題での批判や要求を付きつけるだけでなく、世界的な社会変革の可能性を展望すること、そうした大きな構えが必要になっている。生産手段を資本家的に所有し、利潤のための経済活動を自由に行ない、労働の搾取を背景にカネがカネを生む現象に支配された資本主義体制のままで、地球環境の根本的改善など不可能である。民主的でグローバルな計画経済が必要であり、それは全世界人民の連帯した協同社会をめざす世界共産主義革命の道である。
冷戦終結後、市場経済が世界大となり、アメリカ帝国主義を中心に新自由主義が世界を一時は席巻したが情勢は転換点に来た。こうして軍事面では、米帝の「対テロ戦」も転換過程に入っている。「対テロ」が洞爺湖サミットで主要課題として唱えられていないのは、ブッシュ政権の単独行動主義が無惨に破産し、その政権も末期であり、「対テロ戦」のリーダーを欠いているからである。米国で政権交代が行なわれれば、より国際協調主義的な支配政策への転換が加速されるだろう。この転換に沿った形で、自衛隊海外派兵の新展開(派兵恒久法など)を福田政権が洞爺湖サミットでも誓約する危険がある。
地球温暖化対策のCO2削減問題では、福田政権は今のところ依然として日本の「中期目標」を発表していない。世界で半減を五十年後に、というのでは無責任な抽象論である。日本の言う「セクター別削減」方式は、主要なCO2排出源である大資本の都合を優先させたものであり、総量規制をもって資本活動を統制することに反対する基調である。
アフリカ問題では、サミットに連動して五月二八〜三十日に「第四回アフリカ開発会議」が日本主催で行なわれた。その「横浜宣言」では「広域インフラの開発に焦点を当てる」とされているように、鉱物資源開発などのためのインフラに日本のODAを充て民間投資の呼び水とするという帝国主義的手法である。教育・保健・農業での自助努力支援ではなく、資源目当ての開発競争が洞爺湖サミットの内容になろうとしている。
金融危機と食糧高騰問題は、連動した問題である(三面参照)。六月三日からローマで「食糧サミット」が国連主催で始まったが、その行動計画案によると穀物輸出規制やバイオ燃料政策の見直し合意を欠くだけでなく、肝心の国際投機資金の規制がまったくあいまいである。このままでは食糧価格は高止まりする。洞爺湖サミットは、世界人民の餓死と貧困化の深まりを放置しようとしている。
八年前の沖縄G8サミットでは、辺野古新基地をはじめとする沖縄基地再編強化が国際合意として押し付けられようとした。これに対し、首脳会議前日の「7・20カデナ基地包囲行動」を中心として、日本・沖縄・海外の労働者人民による対抗行動が展開された。
洞爺湖サミットの対抗行動では、札幌などで市民グループ呼びかけの対抗行動(札幌市では7・5市民ピースウォーク、大通公園での7・6国際民衆連帯イベントなど)が行なわれるが、このカデナ包囲のような現地での万余の大衆的結集軸が設定しづらくなっている。洞爺湖現地での権力の不当規制、また一連の入国規制を強く糾弾する。
洞爺湖サミットの前の、各地での対抗行動のなかでは、六月二六〜二七日の京都・外相サミットに反対する「戦争と貧困をおしすすめるサミット外相会議反対!6・25〜26京都行動」が当面の主要な行動となっている。関西圏の諸団体がひろく参加する実行委員会の主催で、二五日に決起集会・デモを行ない(円山野外音楽堂・午後六時半)、二六日の午前中に交流集会(京都教育文化センター)、同所午後一時から決起集会、その後京都迎賓館へ向けてデモを貫徹する。
「もうひとつの世界は可能だ!」、サミット対抗行動に立ち上がろう!