全世界・全国の労働者団結せよ!

08春闘総括

  非正規労働者の闘いが前進
    派遣法抜本改正の必要示した4・25大阪高裁判決

 08春闘は、当初は諸物価値上がりが始まった中、経営側にも一定賃上げ容認の発言があったが、サブプライム危機の影響が明らかになるや否や、とたんに賃金抑制の攻撃で締めつけられた。三月中旬の最初の統一回答では、金属労協が昨年並みの賃上げ回答に終わり、これら大手組合の昨年並みの回答を受けて、中小組合の回答も伸び悩み状況である。
 しかし、たたかいの視点からみると中小組合、非正規労働者の闘いには、多くの積極面が見られた。
 労働者の賃上げは、日本経団連の大手企業の賃上げ集計が(定昇込みで)平均6165円、連合の組合員一人当たり平均が5687円、全労連が6861円である。
パート労働者の時給引き上げは、連合が平均25・9円(昨年より5・0円アップ)、全労連が平均26・2円(昨年より4・4円アップ)である。一日八時間、月二十日労働に換算すれば4000円を超える賃上げである。日本経団連の中小企業の平均妥結額が4412円、連合の中小共闘の平均妥結額が4495円であるから、今春闘でのパート労働者の賃上げは、中小企業労働者並みといえる。
一九七〇年台前半では、中小企業労働者の賃上げは、大企業労働者の賃上げを上回っていた。生活水準の底上げ、平準化としては当然のことであった。しかし、一九七五年からの日経連の賃上げ抑制政策によって、中小企業は大企業の賃上げを上回ることができなくなった。一九九〇年代後半からは、海外生産の低コスト圧力が強まるなかで大企業による下請企業のコスト削減策がいっそう進められ、中小企業労働者の労働条件を引き下げてきた。
こうして中小、非正規の労働者の賃金は長期に抑制され、実質引き下げられてきていたが、パート労働者の時給引き上げは、いままで1〜2円程度だったものが昨年から5円ほどになり、その流れが今年も続いていることは、少しずつであるが賃金の底上げがすすみつつあるといえる。しかし今春闘でのパート時給の一定の改善も、労働組合のある流通業大手などでの範囲にとどまるとも言え、どこでも誰でも時給千円以上の実現のためには、中小、非正規の労働者の「一人でも入れる労働組合」へのいっそうの組織化が問われている現状である。
今春闘での特長的な闘いとしては四月三日、全労協を中心とする「けんり春闘全国実行委員会」にも結集する郵政ユニオンが、全国実の統一行動日のその日に、一時間の時限ストを各地の郵便事業会社十支店で決行した。郵政では三十三年ぶりのストであり、非正規労働者の均等待遇等の実現を求めたストとして注目された。
また、尼崎市役所が派遣先の派遣労働者五名が、継続雇用打ち切り・競争入札という市に対し、地元の武庫川ユニオンに結集して三月三日から無期限ストに突入したことにも、大きな注目と支援が寄せられた。結果四月十一日、解雇を撤回させて、臨時職員としてではあるが市に直採用させる合意を勝ち取った。
また、四月二五日に大阪高裁が、松下電器の子会社・松下プラズマディスプレイに対して、偽装請負で働いていた吉岡力さんを雇用するよう命ずる画期的な判決を下した。派遣労働者は派遣先に雇用されても期間工などの有期雇用労働者であり、雇用期間が終了すれば切り捨てられていた。この判決は、違法行為における派遣先企業の雇用責任を認めたものであり、派遣法を直ちに改正しなければならないことを示すものである。吉岡さんら参加の「偽装請負告発者ネットワーク」は、判決に先立つ四月十一日に全日行動を行ない、日本経団連に要望書を手渡している。日本経団連が連合以外の労働者組織から要請書を受け取ったのは、初めてのことである。
これらのように、非正規の要求を掲げたたたかい、非正規労働者自身のたたかいが元気である。これらの闘いは個別闘争であるが、労働基準法を守らせる段階から、法の不備を実質的に克服していくたたかいへ発展しつつある。さらに地域の労働政策、国に対する法改正、政策実現のたたかいへと発展させていかなければならないが、非正規労働者のたたかいが着実に前進していることを確認できる08春闘であった。(K)

日比谷メーデー
  非正規・移住労働者と共に


第79回日比谷メーデーが五月一日、東京・日比谷野外音楽堂で開催され、東京全労協、都労連、民間中小労組などが結集した。
午前十時、民間労組懇代表の田宮高紀さんの開会宣言が行われ、石上浩一国労東京委員長が主催者挨拶を行なった。連帯挨拶は増渕静雄都労連委員長、また佐藤広東京都産業労働局長、社民党の福島みずほ党首と保坂展人衆議院議員が来賓挨拶を行なった。また韓国全国民主労総の連帯メッセージが読み上げられた。
決意表明では、全統一労働組合外国人労働者分会の郭棟さんが、外国人研修生・技能実習生の過酷な労働実態を告発しすべての労働者と共に闘うと力強く訴え、均等待遇アクション21の代表は、どんな働き方にも同一価値・同一賃金を要求していこうと訴えた。また国労闘争団の小野浩二さんは、国労闘争の完全勝利目指して闘う決意を表明した。
最後に東京東部労組の代表がメーデーアッピールを読み上げ拍手で採択された。アッピールでは、「未組織の労働者、非正規雇用労働者、移住労働者の低賃金と労働条件改善を高々と掲げ、労働者の生活と権利を守る闘い、憲法擁護・第9条を活かし、平和と民主主義を確立する闘いに、すべての労働者の総団結のもと決起する」と述べられていた。集会後、集会参加者は二つのコースに分かれて新橋、銀座方面をデモ行進した。(東京H通信員)


中之島メーデー
  
貧困追放し共生社会を

 大阪でのメーデーは五月一日、連合系が大阪城公園で八万人(主催者発表)、全労連系が扇町公園で一万人(同)を集めて行なわれた。いずれも非正規労働者と格差の問題を掲げたメーデーとなった。
 また「中之島メーデー」は、実行委員会形式で昨年まで中之島剣先公園で行なわれていたが、今年第79回は大阪城公園教育塔前に場を移して、正午より開催された。例年の「競争より共生の社会を!」のスローガンの下、今年は「貧困追放」「改憲反対」「均等待遇」が掲げられた。おおさかユニオンネットワーク(全日建関西生コン支部、全港湾大阪支部など)としての、午前の大阪府への、午後の大阪市への要請行動を挟んでのメーデー集会であった。
 集会は恒例の関生太鼓でオープン、全日建が開会宣言を行ない、大阪労働者弁護団、関西共同行動などなどの連帯あいさつの後、争議組合のアピールが行なわれた。争議組合は、全港湾大阪支部のクボタ分会、三黄通運分会、全日建関生支部の石原産業分会、そして教育合同、ゼネラルユニオンの日本人・外国人教員、国労熊本闘争団などである。最後に、大野全港湾大阪支部長の音頭で団結ガンバローを行ない、大阪市役所までデモ行進を行なった。
 なお、連合大阪メーデー会場清掃の釜ヶ崎「特掃」への委託は近年恒例となっているが、今年は釜ヶ崎特掃労働者八十名が参加した。


釜ヶ崎メーデー
  「特掃」登録労働者が大阪府・市へ攻勢

 大阪で一番早く開催されるのは、「釜ヶ崎メーデー」である。早朝七時、西成労働福祉センターに多くの労働者が集まる中、第39回釜ヶ崎メーデーが始まった。労働歌の合唱、釜ヶ崎日雇労働組合、反失業連絡会の呼びかけが続き、「釜講座」からも事務局長が連帯あいさつを述べた。
 今年の釜メーデーは、集まった労働者の顔が例年より厳しく、意気込みに満ちている。揃いのゼッケン、釜恒例の赤旗を切り裂いての腕章・はち巻きも戦いのモードである。大阪は橋下府知事の登場によって、財政再建の名のもとに医療・福祉や教育などが切り捨てられようとしている。
 釜の「特掃」(あいりん高齢日雇労働者特別就労事業)も、人数枠は昨年並みを維持しながらも七月までしか府予算に計上されておらず、以降削減・打ち切りさえ予想される状況である。大阪市でも、年間予算が一旦組まれながら「府市共同事業」の名の下に七月までとされ、以降は保留と転じたのである。
 釜ヶ崎の闘いは、炊き出し・シェルター・特掃の固定化を打破し、野宿をせずにすむ施策を求めて闘いの転換を迎えようとしてきたが、現在の「特掃」がなくなることは仲間の死を意味する。こうして、「大阪府へ行こう!」のスローガンの下、今メーデーは厳しく闘われた。
 八時より集会が始まり、山田実釜日労委員長・反失連共同代表が、釜メーデーの歴史から現下の課題まで改めて訴えた。三角公園までデモ、「勝ち取る会」の炊き出しで腹ごしらえ、九時半からは約二五〇名の隊列で区内デモを行なった。続いて地下鉄に分乗して淀屋橋へ。
市役所前で抗議集会を行ない、@平松市長は釜ヶ崎に直接来て実情を把握すること、A「特掃」をはじめとする対策費を予算化すること、B「特掃」は必ず継続および拡大・拡充すること、C府に追随せず、例年通り執行すること、以上の「要望書」を大阪市に突きつけた。
その後中之島公園で隊列を整えたあと、大阪府庁へデモ。府庁前で集会を行ない、対市同様の四項目「要望書」を府に提出した。労働者は「橋下知事は釜ヶ崎を見にこい」と口々に要求し、早朝からの行動を貫徹したのである。
厳しい条件下にあるとはいえ、今年の釜ヶ崎メーデーに示された「特掃」登録労働者を中心とした団結で、「特掃打ち切り」策動を打ち破っていくだろう。(関西Si通信員)


新宿メーデー
  仕事・屋根求め都庁へ

 五月一日、新宿・柏木公園で、新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議(新宿連絡会)の呼びかけによる第14回新宿メーデーが開催された。昨年同様、支援活動家の集まりがほとんどない中、二百名をこえる野宿労働者の結集があり、新宿連絡会の大衆的信頼の厚さが印象的であった。
 既に夏という感じの日差しを木立の日影でしのぎながらの集会となった。新宿、池袋、山谷、三多摩の仲間が発言した。「東京都は野宿者の人数が減ったと主張するが、実際は減ってない。仕事と屋根、対策の拡充を要求していく。都に対して、本当にやる気があるのか、と言いたい」と。
 集会後、新宿中央公園までのデモに出発。途中、代表団を都庁に送り出す。「仕事をつくれ!」「仕事につながる施策をだせ!」「屋根をよこせ!」のシュプレヒコールに、沿道の人々な注目した。
 五月一日のこの日は、全世界の労働者が、団結し闘うことの大切さを、共に確認する大切な日だ。世界資本主義が失業者を激増させる兆しを見せ始め、財政難にのたうつ政府・地方行政が野宿者をないがしろにする態度を強めている中で、仲間の団結こそが要である。地域・路上の団結、全国の野宿者労働者の団結、全国・全世界の労働者との団結をたゆまず強めていかねばならないと思う。(東京M通信員)
 

 「自由と生存のメーデー2008」
   若者主体に独立系メーデー

 5月3日、東京・大久保地域センターにおいて、「自由と生存のメーデー2008 プレカリアートは増殖する/連結する」が、実行委員会主催で開催された。若者主体に五五〇名が参加した。
 集会は、熊本、福岡、札幌など各地で開催された、「増殖」する「独立系メーデー」の報告で始まる。ドイツでの仲間との交流も、ビデオで報告される。集会を呼びかけた「フリーター全般労組」から発言があり、組合は四人から始めたが今は百名になって一つに山を越えたと感じていると報告した。「メーデーアピール」は次のように述べる。「東京で私たちは『自由と生存のメーデー』を呼びかけます。自由と生存を引き換えにするのでなく、自由も生存も求めるためです。私たちが時に労働者、時に消費者として、あるいは排除されつものとして接してきた街を、互いが豊かにかかわり生きる場所へと取り戻すために、『よこせ』という正当な声を各地からあげていきましょう。自立への孤立ではなく、連帯の中に自律を求めて。」
 集会では、「9条改憲阻止の会」「憲法カフェ」「反天皇制運動連絡会」「APFS」「G8を問う連絡会−反貧困・労働ワーキンググループ」「氷河期世代ユニオン」「障害者−介助者反戦」「女性ユニオン東京」「京都反戦生活」「立川自衛隊監視テント村」「山谷労働者福祉会館活動委員会」「ガソリンスタンドユニオン」などの人々が発言。集会を終えてサウンドデモに出発。新宿繁華街でにぎやかにアピールした。
 このメーデーの特徴は、生きることさえ難しい状況にある若者たち自身が主体となって立ち上げ、発展させだしているという点にある。労働運動の側面が軌道に乗り出していることが、この運動に力強さをもたらしてきている。自己自身の層を層的に捉えることができるか、大きな課題である。(東京M通信員)


連合・非正規メーデー
  非正規重視の姿勢は示したが

 四月二六日の午前中、連合(日本労働組合総連合会)の主催で第79回メーデー中央大会が東京・代々木公園で行なわれ主催発表四万五千人が参加したが、大会終了後、同公園の野外音楽堂では「非正規労働メーデー」が連合主催で行なわれ、約三百人が参加した。
 連合・非正規労働センター(所長・龍井葉二)の挨拶、雨宮処凛さんや高木連合会長を交えたトーク、全労金や私鉄総連での非正規労働者処遇改善の報告などが行なわれた。高木会長は、「非正規とワーキングプアーの増大は、新自由主義によるコスト削減競争、日本の工場の中国化によってもたらされた。主犯は財界だが、我われ労働組合にも責任がある。」「連合も中央で非正規労働センターを立ち上げ、現在、各地でもセンターを作りつつある。制度政策闘争などは、連合の得意分野としてお役に立てると思う」と語った。会場では、若者が立ち上がって何か高木会長を指弾する一幕もあった。
 連合は昨年に続き「ストップ・ザ・格差社会!」をメーデー・スローガンに掲げ、非正規労働者を重視する姿勢を示すために、今年はとくに「非正規メーデー」の独自設定を行なったわけであるが、いまいち盛り上がりに欠けた集会であった。非正規労働者とその労働組合による、それ自身のメーデー行動であるべきであった。(東京A通信員)