沖縄少女暴行事件
 3・23県民大会の大成功を
    「超党派」で米兵事件抗議・基地撤去へ

 二月十日、またもや米軍人(基地外居住の海兵隊員)による少女暴行事件が起こった。一九九五年の少女暴行事件抗議八万人県民大会は誰もが記憶している。日本の0・5%の面積に75%の米軍基地が押し込められた沖縄基地社会の特有の事件の再発である。
 今回は、沖縄県民の抗議がまだ届かぬ内に、米国務長官ライスが来日、福田首相と会見した。対応が異常に早く、マニュアルのように「謝罪」がポンポン出てくる。その「謝罪」に誠意がないことは、日米地位協定に言及がなく、また「普天間移設」にヒビが入らないようにという言葉が落ちになることからも明らかである。(今回の事件では、地位協定で住民登録などを免れている基地外居住者の問題が指摘されている)。
 そもそも普天間基地の県内移設は、九五年の少女暴行事件抗議に対する日本政府の「返答」だったのだ。福田がライスに何を言ったのか公表がないが、県内移設に変更はないと約束したことは確かである。
 二月末までに、県内の全市町村議会で暴行事件への抗議決議が行なわれ、残るは県議会となっていた。「沖子連」(沖縄県子ども会育成連絡協議会)や「沖婦連」によって暴行事件抗議の県民大会実行委準備会が作られ、「県議会が中心となって県民大会の開催を」と県議会への陳情書提出も行なわれた。こうした県民大会要求の動きとともに、「沖縄の大人たち自身が、まず少女に謝罪し、そして行動で責任をとれ」、米兵事件防止のための「持続的な常設の機関を作れ」、「自分たち自身で条例を作れ」など新たな主張も起こってきている。米軍と日本政府によるいつもの言、「綱紀粛正」「教育の徹底」などは、すべての県民が聞き飽きている。超党派の抗議で、米軍基地を押し付けている日本政府を包囲しよう。
 三月二十三日の午後二時から、北谷町・北谷公園で「米兵によるあらゆる事件事故に抗議する県民大会」を、「基地の整理縮小」「地位協定の見直し」などを共通の課題として行なうことが決定された。これは、沖子連、沖婦連など昨年9・29の「集団自決」改ざん撤回十一万人県民大会の主催団体を母体とし、その他諸団体を糾合し、沖縄人の超党派の結集によって開催するものである。
 今回は、自民党の不参加、仲井真知事の不参加はすでに分かっている。重要なことは、「知事不参加」「自民党不参加」でも、大会は「超党派」を名乗ることだ。「全野党共闘」が主催するわけではなく、自民党と党員を排除するものでもなく、党派に関係なく諸団体と県民一人ひとりが、沖縄の共通の最重要な課題を共有しようという思想で結集するわけだから、「超党派」と名づけるほかに適切な表現はないのではなかろうか。
 知事は「超党派でないから参加しない」と宣伝するであろう。マスコミがどう振舞うかは、まだ未知である。
 3・23県民大会をおおきく成功させ、米軍基地の縮小・撤去、辺野古、高江の新基地建設阻止の大きなうねりを作り出そう。(沖縄T)

  東京、大阪でも事件抗議

 二月十日に沖縄でまたもや引き起こされた米海兵隊員による女子中学生暴行事件に対して、東京や大阪でもアメリカ大使館・領事館などへの抗議行動が行なわれた。
 二月十三日・東京では、沖縄反戦一坪地主会関東ブロックの呼びかけで緊急のアメリカ大使館抗議行動が、辺野古実行委参加の市民団体など約四十名で行なわれた。犯罪が繰り返される根源は、沖縄米軍基地の存在である。日本政府による辺野古米軍新基地の建設など許されるものではない。沖縄から米軍基地はすぐに出て行け、を前面に掲げた抗議であった。抗議集会参加者の大使館前への移動に対して、警察はいつもの法的根拠のない不当規制を行なったが多くが大使館に迫り、代表団が抗議・要請書をシーファー駐日大使など宛に提出した。
 また二月十九日に、沖縄・北谷町では沖縄の女性団体の連携によって「危険な隣人はいらない緊急集会」が行なわれたが、この日、これに東京で連帯し、首都圏の女性団体(アジア女性資料センター、女たちの戦争と平和資料館、婦人民主クラブなど)による政府と米大使館への申し入れと、国会前行動が約百人で行なわれた。九五年沖縄での女子小学生集団暴行事件、〇六年横須賀での女性撲殺強盗事件など極めて残虐な事件をはじめ、米軍犯罪の被害者は多くが女性・子どもである。今回、沖縄と「本土」で女性が危機意識をもって立ち上がったことは、特に記しておくべきだろう。
 大阪では二月十六日、関西の諸団体によってアメリカ領事館緊急抗議行動が行なわれ約四十名が結集した。沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会、しないさせない戦争協力関西ネット、関西共同行動、おおさかユニオンネット、米軍犯罪被害者救援センターの五団体によるもの。米領事館では、ラッセル総領事など宛の要求書(在日米軍基地があるかぎり、米軍人・軍属による凶悪事件はなくならない、地位協定の抜本的見直しを行なうとともに、速やかに在日米軍基地を撤去せよ)を突き付けた。また五団体は十八日には、外務省大阪事務所などに申し入れ行動を行ない、抜本対策・被害者補償・「米軍再編」協力の見直しなどを要求した。
 事件の度に口にされる「綱紀粛正」では何も変わらず、さらに日米地位協定の改正を実現させても、やはり本質問題は変わらない。多くの抗議行動は、米軍基地そのものが人権と共存できないこと、直ちに基地の縮小・撤去が求められていることを明確にしている。(A)