編集だより

 機関紙を作っていると、どういう用語・表記にするか、また紙面ではそれを統一するかどうかが問われるときがある。★上記の論文のテーマ「障害者」も、そういうものの一つである。障害者、「障害者」、障碍者、障がい者、これらの表現があり、それぞれ理由があるようだ。カッコなしの障害者という表現は、障害者自身が社会の障害であるかのような意味合いにも取れるということから、インクルージョンと言われる中で一般にも避ける傾向が増えている。しかし運動関係では、さほど厳しい論議にはなっていない。さしせまってやるべきこと、必要なことのほうが、表現問題よりも切実であるからであろうか。★これに対し、厳しい論議になりつつあるのが、沖縄戦住民「集団自決」の表現である。集団自決、「集団自決」、強制集団死、これらの表現で一つ目は、軍の強制性を否定する表現であり論外である。二つ目は沖縄の9・29県民大会決議でも使われている表現、三つ目は近年使われるようになった表現で、沖縄戦裁判支援者や歴史教育者協議会などから始まるようだ。★「本土」の運動関係であれば、強制集団死という表現がもっとも適切と考える人が多いだろう。しかし沖縄では、かならずしもそうではないようだ。沖縄民衆は六十余年、ずっとシュウダンジケツという言葉であの悲惨を語ってきた、その歴史事実はどうなるのか、新用語は民衆の感覚に合致しないとの指摘もある。かなり大事な論議だ。(若杉)