9・29〜30奈良
 第19回コミュニティ・ユニオン全国交流会
   前進する非正規労働者の闘い

 九月二九〜三十日、奈良市の奈良県立文化会館などの会場で、第19回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が行なわれた。集会には全国から約八十団体、四〇〇余名が結集した。
 第一日目の二九日は午後一時から、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの総会が行なわれた。
 総会では、連合の高橋副事務局長が来賓あいさつに立ち、十月の連合大会で、最低賃金時給一〇〇〇円をかちとること、また非正規労働者の労働条件を改善するための特別の委員会を立ち上げ連合としても本格的に取り組むこと、これらを改めて決議すると決意表明した。また非正規労働者の労働条件改善のたたかいをすすめる上でも、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークとの連携を強めていきたいとの連帯の意思表明もなされた。
 コミュニティ・ユニオンの運動が少しずつ拡がりをみせており、日本労働運動の中に一つの勢力として認められつつあることが実感された。
 総会は、黒崎事務局長から〇七年度活動報告と〇八年度活動方針が提案された。全国ユニオン(連合加盟の単組)と連携し、労働法制改悪に一定の歯止めをかけてきたこと、各ユニオンでは労働相談活動を通して非正規労働者の不当な労働条件の改善に努めてきたこと、組織的には地方ネットワークの活動がすすみ、地方ネットワーク独自の活動がすすめられてきたことが報告され、〇八年度もこれらの活動をすすめていくことが提案された。そして、〇八年度の新役員が〇七年度の役員を基本として提案された。総会は、これらの提案を大きな拍手でもって承認した。
 総会のあとで、新屋英子さんの一人芝居「身世打鈴」を全員で観賞した。在日朝鮮人のオモニの生活を通して、民族差別をはじめとしてあらゆる差別を許さないという熱意が激しく伝わる熱演であった。新屋さんは一人芝居を終えたあとで、自分もコミュニティ・ユニオンの一員になることを決意表明し、全員で拍手をしてこれを歓迎した。
 夜は楽しい立食パーティーだった。テーブルいっぱいのごちそうにビールなど。各地方の仲間たちと談笑しながら楽しく過ごした。壇上では地域毎に全国のユニオンが紹介され、全員がかわるがわる壇上に上がって紹介された。
 第二日目は、十二の分科会に分かれて二時間、それぞれのテーマでより突っ込んだ討論が行なわれた。討論は煮詰まるところまではいかないが、毎年少しずつ討論されていくことで運動上の共通点・問題点は明らかにされてきていると実感した。
 全体集会では、韓国労組の民主労総のメンバー七名が紹介され、たたかいの報告がなされた。韓国労働者とは檄布の交換が行なわれた。コミュニティ・ユニオンと民主労総の連帯が年々より親密な、実際的なものになってきている。韓国の労働運動がわたしたちにとっても、より身近なものとして感じられるようになってきた。勇気づけられる方向だ。
 最後に、ワーキングプアなど格差が拡がる現在の日本でコミュニティ・ユニオンの運動を強め、全国の職場の闘いを強化することを決意するとの集会宣言を採択し、来年秋は、千葉県で第二〇回目の全国交流集会を盛大に行なうことを約束して集会を終えた。(ユニオン組合員S)


「ユニオンYESキャンペーン」がスタート
   希望はユニオン、今こそ出番だ!

 「いまこそ出番だ!労働組合」と銘打って、「希望はユニオン」を合言葉に「ユニオンYESキャンペーン」が始まった。若い人たちに労働組合の良さを知ってもらう運動だ。
 キャンペーンのキックオフ集会が九月十八日、東京都内のなかのゼロで開かれ、約百二十人が参加した。
開会のあいさつに立ったキャンペーンの伊藤彰信代表は、「偽装請負、日雇派遣など、フリーター、ワーキングプアーが社会問題になっているが、その実態が明らかになったのは、かれらが労働組合をつくり、立ち上がったからだ。格差が広がり、貧困が固定化する中で、これから抜け出すためには、労働組合をつくって、たたかう以外にない。若い人に労働組合の必要性、労働組合の活動を知ってもらうために、動画投稿サイト、レイバー映画祭など文化活動の場を提供し、みんなでキャンペーンをつくりたい」と協力を訴えた。
 続いて、キャンペーンの「目玉」である、ユーチューブをモデルにした「ユニオンチューブ」の動画が上映された。そして、六つの労働組合がリレートークを行なった。労働組合をつくって、初めて会社が交渉に応じた。寮費を下げさせ、部屋に鍵を付けさせた。時給を引き上げさせた、残業代を支払わせた、長時間労働をなくさせるたたかいをしているなど、ユニオンに入ってよかったと仲間たちが語った。
 トークショー「ユニオンつくって生きさせろ」では、作家の雨宮処凛さんが、「労働組合のイメージは、地味、怖い、暗い、おじさんの説教くさい゛ホッピー系゛。これを脱却しないと」と語ると大いに受け、会場が盛り上がった。「友人が解雇されたが、組合が交渉して解雇手当を取った。その日の収入しかないフリーターにとっては極めて重要なこと。フリーターにも労働基準法が適用されると知ってびっくりしていた」とエピソードを語った。そして、「負け犬の貧乏人だと自分を責めても何も変わらない。つらい中でたたかうことが希望につながる」と述べた。
 最後に、賛同呼びかけ人の木下武男教授(昭和女子大)が、「今までそれぞれのユニオンのたたかいを知っていたが、今日、横のネットワークができたことは新しい労働運動をつくる画期的な出来事」とキャンペーンの意義を強調した閉会のあいさつを行なった。
 九月二四日には、レイバー映画祭が同所で開かれ、朝十時から夜の九時まで『怒りのぶどう』『移民の記録』『ピケをこえなかった男たち』『君が代不起立』『本山闘争34年の記録』『娘の時間』『遭難フリーター』『ふつうの仕事がしたい』の八本の映画が上映された。参加者は百二十人。制作者のトークもあり、参加者からは、労働と労働運動を見つめ直すすばらしい映画だったとの感想があった。(東京K通信員)


労働法制
  改革案阻止から、改正案実現の攻勢へ
    登録型派遣の禁止を

 財界が求める「労働ビッグバン」、すなわち労働者使い捨て全面自由化に沿う形での政府提出の労働法制関連諸法案は、七月初旬までの通常国会で、パート労働法改定案、雇用保険法改定案などが成立し、現在の臨時国会では、最低賃金法改定案、労働基準法改定案、労働契約法案の三法案が衆議院で継続審議となっている。
 最賃法改定案は、企業の支払能力等を前提とする地域別最賃という現行制度そのものには何ら手をつけないまま、生活保護給付とのバランスを基準決定に入れる等とするもの。また法案とは別に、現在の最賃では生保以下という批判の高まりを最賃審議会も無視できず、今年度の最賃改定はわずかな改善(最高額の東京都で719円から739円)となったが、米欧諸国の最賃アップとは比較にならない代物である。
また労働基準法改定案は、割増率アップと引き換えに月八〇時間超の時間外労働を野放しにするもの。労働契約法案は、就業規則による一方的な労働条件変更を合法化する重大法案である。
通常国会までの審議では、これら法案に対しての民主党、および連合の態度は、反対ではなく修正を入れて容認するというものであった。労働契約法案についても、就業規則変更についての最高裁判例の合理性判断基準を、より具体的な形で法案に、あるいは省令に入れれば容認という方向であった。
 しかし現在、七月参院選挙での民主党の大勝による野党過半数の参議院という状況の出現により、これらの継続法案の審議が順調に進むとは言えなくなっている。連合と連携しつつ民主党は参院多数を背景に、より強い態度で臨むことができるようになったからである。民主党は三法案の内、最賃法案と労契法案について「対案」を衆院に提出した。労働法制の改悪案の阻止にとどまらず、労働法制の改正案を参議院から実現していく可能性が現れている。われわれ運動側は、今までのような反対闘争にとどまらず、労働運動側から攻勢をかける国会にしていく必要がある。
 高木連合会長が九月二十一日、経済同友会との懇談会で、登録型派遣の禁止を要求した。これは、このかんの労働組合の闘いが、日雇い派遣による労働者使い捨てをワーキングプア増大の温床として社会問題化させてきたこと、これに連合中央も応えざるを得なくなったことを示している。
 こうした流れの変化を、われわれ労働運動側、とくに連合傘下の仲間たちは的確にとらえ、連合と民主党を突き動かすことを含めた、攻勢的な運動にとりくむべきである。民主党は、臨時国会または次の通常国会で、登録型派遣の禁止のための派遣法改正案を提出し、参議院先議で成立させようとするだろうし、まさにそうさせなければならない。派遣法以外でも、休息時間週十一時間を定める労基法改正案の提出を検討しているようであるが、長時間労働撲滅のためのより抜本的な改正案が求められている。
 臨時国会では、継続の労働三法案反対の声を引き続き強めつつ、労働法制の真の意味での改正へ向けて、大きな闘いを準備していこう。(K)


国鉄闘争
  9月行動から11・30全国集会へ
    今こそ勝利的解決を

九月十八日から二十一日にかけて、国鉄1074名不採用問題の解決を求める「4者4団体」(当事者四者と国労など二組合・二支援共闘)による国土交通省前での座り込み、東京高裁、国会での行動などが行なわれ、延べ一千名が参加した。
この九月行動の初日の十八日には、国会近くの星陵会館で「JR不採用問題の解決を!9・18緊急国会集会」が開かれ、国労高橋伸二委員長が報告、「微妙な政局だが、4者4団体は『四党合意』の轍は踏まない。法廷闘争と大衆闘争を強め、解決のための環境を前進させよう。政治の後押しをお願いしたい」と述べた。これに応え集会には、郡司参院議員や金田衆院議員をはじめ民主党から六名の国会議員が参加している。
九月二十日には、東京地裁民事19部(中西茂裁判長)で鉄道運輸機構訴訟が結審した。この訴訟は、すでに東京地裁で国家的不当労働行為の存在を認めさせ現在高裁で係争中の鉄建公団訴訟に次ぐ裁判闘争である。鉄建公団訴訟・難波判決に遜色のない、それ以上の判決が出されるべきだ。
十月十四日の日曜日の日中には、亀戸中央公園で第21回「団結まつり」が、実行委員会主催で行なわれる。
十一月三十日には、「JR採用差別事件の全面解決を迫る11・30全国集会」が4者4団体の主催で、午後六時から日比谷野外音楽堂にて行なわれる。
七月参院選での民主党勝利・自民惨敗が、そのまま国鉄闘争の解決を促進している訳ではない。かっての「四党合意」は、不当労働行為を不問に付した政治「解決」案であり、国鉄闘争の分裂的事態を生んだだけであった。たたかいの発展を基本としてこそ、解決の政治的条件は整えられるだろう。「4者4団体」として団結を回復した国鉄闘争に連帯し、いまこそ勝利的解決を求めよう。(東京A通信員)