労働者共産党  第三期第三回中央委員会総会決議 (07・8)              
 弱肉強食の新自由主義に反対し、
     憲法改悪阻止の共同戦線を!



1 憲法改悪か否かの実際的段階

ケインズ主義から市場原理主義を基礎とした新自由主義への転換は、同時に新自由主義型の国家秩序と国家形態への改編をもたらしている。それは、海外で「戦争ができる国家作り」であり、社会保障費の抑制・圧縮などによる「簡素で効率的な筋肉質の政府」を実現することなどである。いうまでもなく、当面の憲法改悪の最大の狙いは、「戦争ができる国家作り」である。改憲手続法の成立は、憲法改悪か否かをめぐる全人民的規模での攻防が、実際的段階に突入したことを示す。今夏の参議院選はその第一歩であった。だが、自民党はここで歴史的に未曾有の大敗を喫し、安倍政権の「急進的な」憲法改悪策動には、大きなブレーキがかけられた。しかし、このことにより、憲法改悪派は、自民・民主の大連立を含めた多数派工作をますます強めざるをえなくなっている。

2 弱肉強食の新自由主義の推進と新たな国家主義

小泉前政権の新自由主義路線を継承した安倍政権の経済政策の柱は、第一に、「活力に満ちたオープンな経済社会の構築」をうたい、イノベーション(技術革新)の力とアジア諸国の活力を取り込むことをもって日本の経済を成長させる路線を重視し、「成長なくして日本の未来はなし」としている。第二に、「財政再建と行政改革の断行」をあげ、国と地方のプライマリーバランス(基礎的な財政収支)を二〇一一年度には黒字化することや、行政改革による「簡素で効率的な筋肉質の政府」を実現するとしている。第三に、引き続き、規制緩和・撤廃、とりわけ労働法制の改悪などを通して、資本の「自由で自分勝手な活動」によって、民間活力を大いに伸ばし、日本経済を発展させるとしている。第四に、企業減税や金持ち優遇税制を行ない、消費税のアップなど大衆増税を策動している。
これらは、資本家階級、とりわけ独占資本が推進している新自由主義路線に全く一致したものである。
だが、すでに小泉政権の時から、新自由主義路線が労働者人民に押し付ける犠牲により、最下層から、強い不満と怒りが次第に噴出し始めている。新自由主義路線にもとづく規制緩和の推進は、消費者の命や生活の不安を充分考慮せず、ただただ資本の利潤追求の機会を拡大させるものでしかなく、このため、JR西日本の福知山線の大事故、耐震偽装問題、バス運行での事故の多発など、諸々の事件・事故を次々と引き起こし、社会不安を強めている。
非正規労働者が増大し格差が進む労働現場では、たしかに既存の企業内組合のほとんどは、闘いを組織するのではなく資本に迎合してきたが、近年注目すべきは、非正規の若者たち自身が、次々と闘いに決起し始めていることである。これらの新たな労働組合の特徴は、@個々人が自発的に参加する個人加入制のユニオンであること、AメールやサイトなどIT技術を活用した企業の枠を越えたユニオンであること、BNPOやボランティア組織などにも支えられ、地域社会に開かれたユニオンであこと――などである。
新自由主義路線は、一方で治安弾圧費を増大させながらも、他方で「小さな政府」と称して社会保障費を抑制・削減し、福祉政策を後退させることにより、障害者、高齢者を始めとして広汎な労働者人民の不満と怒りを引き起こしている。さらに、財政再建のしわ寄せを地方に押しつける「三位一体改革」により、地方交付税は大幅に削減され、地方間格差も顕著となっている。再建団体に転落した夕張市のみならず、それに続く予備軍は全国各地に拡大し、高齢者の多い地方の不安と不満を高めている。
このように新自由主義路線の反労働者性・反人民性が次第に認識され始めてきたため、安倍政権は、前政権以上に矛盾の緩和をあたかも推進するかのようなポーズをとらざるを得なくなっている。
だが、再チャレンジ策、パート法改正、最賃法改正案などの彌縫策は、全くのマヤカシであり、諸問題を解決させるものではない。安倍政権の経済成長による格差是正策なるものも、全くのマヤカシである。これはレーガン時代に失敗したものである。安倍政権がホワイトカラー・エグゼンプションの国会提出の延期や労働契約法の先送りなどをしているのは、ただ世論の動向を見ているだけなのであり、チャンスとみれば再びさまざまな労働法制の改悪をすすめることは、必至である。新自由主義は、資本家と対等でない労働者を保護することを公然と否定し、雇用関係を商法や民法と同様に「対等な者」同士の契約関係に変質させることを狙っている。
だが、今回の参議院選で労働者人民は、自民・公明を惨敗させることにより、この間の小泉―安倍政権が推進する新自由主義路線に対し、否定的態度を示した。これを踏まえ、労働戦線を始めとする諸戦線で、さらに弱肉強食の新自由主義路線に反対し、追撃すること、さらに安倍自公連立政権そのものを打倒することがますます重要となっている。
新自由主義路線を継承した安倍政権の新たな特徴は、小泉前政権以上に国家主義、新保守主義が鮮明なことである。
新たな国家主義は、昨年十二月に強行的に成立させられた改定教育基本法に明らかである。同法は、教育に市場競争原理を露骨に持ち込み、厳しい国際競争の時代のエリート層の育成・その他の部分の切り捨てとともに、愛国心教育の明確化や、教育に対する国家の介入と統制の強化などにみられるように、新自由主義と結びついた新たな国家主義を鮮明にした。そして、「日本の国柄の根幹は天皇制」にあると強調する安倍首相は、「戦後レジームの脱却」を唱え、憲法9条の改悪を任期中に実現することを公表し、海外で戦争ができる体制づくりを推進している。
安倍政権の新保守主義は、女系天皇制を否定し男系天皇制を堅持すること、曖昧な戦術により対中国・対韓国外交を修復しつつも「靖国参拝」を否定せず、侵略戦争を反省していないこと、民法772条見直しや夫婦別姓の否定、ジェンダーフリーへの悪意に満ちた攻撃などに、特徴的に示されている。だが、安倍政権を支持する勢力は、さまざまな傾向の寄せ集めであり、内部矛盾も決して少なくはない。「新しい歴史教科書をつくる会」の分裂は、その端的な例である。

3 日米軍事一体化と多国籍企業の活動保障

 日本資本主義は、バブル崩壊後、新自由主義による国内経済体制の「構造改革」を推進するとともに、国外では本格的な多国籍活動を推進することとなった。今日、日本の金融独占資本は、貿易だけでなく、海外での直接的な活動からの収益に大きく依存するようになっている。したがって、ブルジョア政府は、日系多国籍企業の海外での活動を政治的軍事的に保障する体制を早急に整備せざるを得ないのである。
 日本帝国主義は、日本企業の海外活動を保障し、海外権益を防衛するために、今まで以上にアメリカ帝国主義との同盟関係を強化する方向性をとっている。これが、日本の支配階級が第一に重視する軍事外交政策である。
  だが、アメリカン・スタンダードのグローバリゼーションを政治的軍事的に統轄しているアメリカ帝国主義の軍事戦略は、冷戦体制の崩壊とそれに続く二〇〇一年の「9・11事件」により大きく変化した。その変化の特徴は、一つは、ミサイル防衛(МD)システムのみならず、全軍隊の指揮・統制や個別軍事作戦、さらに諜報活動などで宇宙の軍事施設を媒介にして、迅速に展開することである。もう一つの特徴は、「蓮の葉戦略」である。それは、非正規戦争時代にグローバルに適切に対応できるように、世界各地の米軍基地と戦力をトランスフォーメーションし、カエルが蓮の葉(米軍基地)を跳躍しながら移動して、世界中のどこにでも短期間に兵を送り、戦争を行なえるようにするものである。
 アメリカの軍事戦略の変化にともない、日米間の戦略協議は、第一段階で「共通の戦略目標」で合意し(2005.2.19.)、第二段階で「在日米軍の再編」(日米同盟―未来のための変革と再編2005.10.29.)で合意し、第三段階で「在日米軍再編の具体論」(2006.5.1.)で合意している。
この結果、自衛隊は統合幕僚会議を廃止して新たに統合幕僚部が設置され、これを中心に米軍と軌を一にして陸・海・空の統合運用を行なっている。そして、キャンプ座間には、米陸軍第1軍団から新編成司令部が移駐し、陸上自衛隊の中央即応集団司令部も移転し併置され、日米両軍の結合がはかられる。横田基地には、現在、東京・府中市にある航空自衛隊の総司令部が移転し、今ある在日米空軍司令部(第5空軍司令部)と併置することが目指されている。厚木基地の空母航空団は、艦載機、輸送機とともに岩国基地に移転する。沖縄海兵隊は、司令部を中心に八〇〇〇人がグァムに移転する。しかし、籍を沖縄からグァムに移すだけで、グァムから沖縄に訓練にやってくるのであり、沖縄は、戦闘要員のための訓練基地、訓練された部隊の兵力供給基地としての性格を一層強めることとなる。
在日米軍基地は、東アジアの前進基地となり、日米軍が一体となって、世界のどこにでも派兵される拠点となるのである。こうして日米安保は極東の範囲を越えて、ますますグローバル化を強めている。
このような日米安保の変質は、必然的に自衛隊の性格を変えざるを得ない。すなわち、@自衛隊の海外派兵が本来任務化、A集団的自衛権についての解釈改憲、B防衛庁の防衛省への昇格、C武器輸出三原則の緩和策動などである。こうした事態は、戦後平和憲法と矛盾し、支配階級をますます憲法9条改悪に駆り立てているのである。
 第二に重視する軍事外交政策は、台頭するアジアの諸国の経済成長を踏まえて、東アジアでの政治的軍事的リーダーシップを確立しようとする方向である。
 今日、中国、アジアNIES、東南アジア、それにインドなどアジア経済は、急速に発展している。そして、日本との関係で言うと、東アジア諸国・地域との経済が最も高い比重を占めるようになってきている。すでに日本の最大の貿易相手国は、輸出入ともアメリカから中国に変わっている。日本が中国、NIES(韓国、香港、台湾、シンガポール)、ASEAN4(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン)の諸国・地域に輸出する額は、2000年1909億ドル(対世界全体の39.7%)から2005年2794億ドル(同46.7%)へ伸張し、また同地域からの輸入も同じ時期1508億ドル(同39.6%)から2193億ドル(同42.3%)へと伸張し、ともに半分近くに迫っている。同地域への日本からの直接投資の残高は、2000年末474.20億ドル(全体の17.0%)から2005年末841.88億ドル(同21.9%)へと増大し、日系多国籍企業の同地域での売上高は、2004年度でみると計50兆9012億円で、北米(アメリカ、カナダ)の計59兆7478億円に迫っている。 
だが、東アジア共同体構想は、日本が率先して提起したにもかかわらず、実際のヘゲモニー争いでは、中国に先を越されている。また超大国アメリカが、東アジア共同体構想に反対の態度を明らかにし始めている。そうした中で、小泉前政権は外交戦略なき「靖国参拝」で、アジアから孤立する傾向を強め、これを払拭するために、安倍首相は政権発足後、まず中国・韓国を訪問し、靖国問題については曖昧戦術をとって、日中・日韓関係を一応「修復」した。そして、遅れをとっている日本は、アメリカの東アジア戦略にできるだけ沿った形で、東アジア共同体構想へ新たにオーストラリア、ニュージーランド、インドを加入させるようにはかり、対中包囲網を布いて、巻き返し策動を展開している。
また、朝鮮民主主義人民共和国の核問題をめぐる六者協議での日本の孤立傾向にもかかわらず、拉致問題を徹底的に利用し、かたくなに経済制裁など強硬路線をとりつつ、北朝鮮脅威論を煽り立てながら日本の軍事体制の強化、海外で戦争できる体制作りのための憲法改悪を正当化し、東アジアでの政治的軍事的リーダーシップの確立に布石をうっている。
日本帝国主義は、他にも中東・中央アジアに対する「資源外交」や国連での常任理事国の地位獲得などを狙っているが、何よりも重視しているのは、日米同盟の一層の強化と東アジアでのリーダーシップ確立である。しかし安倍政権の歴史を反省しない右派的性格は、そのリーダーシップ確立を困難とするものとなっている。

4 新自由主義型国家への改編と憲法改悪策動

 この間、支配階級が推し進め、これを引継ぎ安倍政権が推進している新自由主義型国家の特徴は、以下のようなものである。
まず第一は、日系多国籍企業のグローバルな活動を軍事的に保証し、アメリカの軍事戦略に応えるための海外で「戦争ができる国家づくり」である。この点こそが、財界を始めとする支配階級が憲法9条改悪を執拗に狙う最大の根拠である。
第二は、中央政府、とりわけ内閣総理大臣の機能強化による統治機構の改編である。
資本のグローバルな活動に応じて、頻発する国際的諸問題に対して迅速に対処することは、不可決であり、そのために総理大臣、あるいは中央政府の権限の強化がはかられている。二〇〇五年十一月に公表された自民党の「新憲法草案」は、内閣総理大臣の権限について、衆議院の解散権、「自衛軍」の最高指揮権を新設し、「行政各部を指揮監督する」という現行の規定(第七二条)に「その総合調整を行なう」ことを書き加えている。
第三は、「官から民へ」の流れを強め、「簡素で効率的な筋肉質の政府」を実現するとして、種々の社会保障費を抑制・圧縮することである。それは、ケインズ主義と福祉政策を基調とした利益誘導的で階級対立隠蔽的な国民統合型国家から市場原理主義を基礎にした弱肉強食型国家への転換である。
二〇〇三年四月からサラリーマン本人の医療の自己負担が、二割から三割に引き上げられた。二〇〇四年の年金法の改正により、国民年金も厚生年金も二〇一七年まで毎年保険料は値上げされ続けている。二〇〇六年四月からは、要介護者の増加を抑制し、介護給付費の伸びを抑える改正介護法が施行されている。同時期、障害者自立支援法が施行され、介護や福祉サービスを利用する際に原則一割負担が課せられ、もともと収入が少ないほとんどの障害者が苦しみにあえいでいる。値上げされ続けてきた医療費は、二〇〇六年六月の医療制度改革関連法により、負担の増大はついに老人層にまで及んでいる。生活保護の母子加算も今春から減額され、二〇〇九年の春には完全に廃止される。まさに、市場原理主義の新自由主義は、弱い者いじめそのものである。
また社会保障制度は、コムスンなど介護業者の不正請求、介護報酬の切り下げによる利用者へのサービス低下、社会保険庁のズサンな年金管理などの欠陥も露呈している。
第四は、暴力装置を強化し、人民監視と治安弾圧の体制を整備することである。
今日、弱肉強食の新自由主義が横行する社会で社会矛盾が深刻となり、家庭・学校などでのイジメ・虐待や社会一般での刑事事件が頻発しているが、犯罪が引き起こされる社会的理由の解明が十分になされないままで、厳罰主義によってただ形式的に対処する傾向が司法・立法において顕著である。そして、行政改革による公務員の全般的削減傾向の中で、全国の警察官の定員は、二〇〇一年度二六万九九一〇人から二〇〇六年度二八万八四五一人に増大している。警察機構の肥大化とともに、「捜査協力」の名による持ち物検査の強要、微罪による逮捕、そして労働争議の弾圧など警察の横暴が目立っている。さらに、防犯カメラの設置、学校や地域商店街などと警察の連携強化などで「監視社会」が促進させられている。また、自衛隊の情報保全隊による露骨な人民監視と威嚇、立川自衛隊監視テント村の反戦ビラへの弾圧など、自衛隊の治安弾圧も目立ってきている。今年五月の辺野古への自衛艦出動は事実上の治安出動であり、自衛隊運用の危険な転換点である。
 新自由主義に即応した国家形態への転換は、戦後憲法と根本から対立するものとなっている。支配階級による憲法改悪の最大の狙いは、憲法9条改悪である。だが、支配階級は次には、国家主義的な観点から、「公共の利益」・「公益」の名によって人権を制約し、現憲法第25条(生存権)の変質化をも策動していることは明らかである。

5 当面の任務方針

 以上の日本情勢をふまえつつ、党第三回大会の情勢・任務決議を指針として、当面するわが党の任務方針の基本を以下のようなものとする。
第一は、改憲手続法が通常国会で強行的に成立させられた新たな段階を踏まえ、憲法改悪反対の大衆的な闘いを全国の職場・地域などで一段と強めるために奮闘する。
平和主義を破壊し、立憲主義を空洞化させる憲法改悪の意図を全国各地に宣伝し、反改憲の広範な共同戦線を形成することが、決定的に重要となっている。今夏の参議院選での自民党の惨敗により、国会勢力の三分の二以上の改憲派を創り出し、結束させるためには、自民・民主の大連立あるいは政界再編成がますます重要となっている。全国的な反改憲闘争の発展は、自民党内や民主党内の改憲反対派・消極派を支援し、憲法改悪のための国会発議を阻止することにつながるであろう。
三年後以降の改憲か否かをめぐる全人民的な決着を射程におきつつ、憲法改悪反対の闘いを全国で発展させよう。当面は、職場・地域で九条改悪反対の宣伝工作などを精力的に進めると同時に、衆参両院での「憲法審査会」設置に反対し、設置された場合にも開店休業状態に持ち込む闘いを推し進めよう。反安倍の諸勢力の団結・連携を強め、任期中に憲法改悪を実現するとうそぶく安倍連立政権をすみやかに打倒しよう。
第二は、全世界の人民と団結し、アメリカ帝国主義などの戦争政策に対して、引き続き、断固として反対する闘いを強める。ブッシュ政権の支持率は低迷し、イラク侵略戦争に反対する世界の世論はますます高まっている。安倍政権の米帝と一体となった戦争政策に反対する闘いを強化し、「テロ特措法」の延長に反対し、海上自衛隊のアラビア海での多国籍軍への給油活動を停止することを要求する。とともに、航空自衛隊のイラクでの侵略軍のための後方活動を停止し、イラクからも完全撤退することを要求する。辺野古の闘いを始めとし、沖縄・岩国・座間・厚木などの反基地闘争を闘う。全国の空港・港湾などの軍事利用に反対し闘う。
六者協議は今、「初期段階の措置」から「次の段階の措置」に移りつつあるが、我々は東アジアの人民と連帯し、東アジアの核問題の公正かつ平和的な解決のために闘う。安倍政権の拉致問題をテコとした経済制裁をやめさせ、日朝国交正常化交渉の速やかな再開を要求する。
戦前の侵略の歴史を偽造し、「北朝鮮脅威論」「中国脅威論」を作為的に強調し、排外主義・ナショナリズムを煽りたてる安倍政権の反動的イデオロギー政策と断固闘う。
第三は、第一期三中総・労働組合決議、第三回大会・労働運動政策決議などを指針とし、非正規増大・格差拡大などに対抗して、個人加入制のユニオンを主力とした新しい労働組合運動を発展させるために貢献する。
正規労働者もさることながら、それ以上に非正規労働者の賃金・労働条件は劣悪なものであり、ワーキングプアの層が増大している。若者の中には、日払いのその日暮らしの労働者も増えている。パート・派遣など非正規労働者の賃金・労働条件を大幅に改善し、健康で文化的な生活水準を獲得するために闘う。最賃法違反、サービス残業、偽装請負などを摘発し、ナショナルセンターの枠を越えた地域の労働者の団結を促進し、地域の最賃共闘形成に努力する。地域最賃向上の布陣を作りながら、全国一律の最賃制を目指して闘う。「ホームレス自立支援法」見直し年度に当たり、野宿労働者の支援策の実効ある施策を追求し、実効ある基本方針を全国的な力で実現する。ホワイトカラー・エグゼンプション、労働契約法、派遣法改悪など労働法制の引き続く改悪策動に対し、労働者の戦線を整え、断固として闘う。
第四は、新自由主義により急速に荒廃する地域社会の建て直しのために闘う。夕張市に続く再建団体の予備軍が増大し、百数十の自治体が一般会計と特別会計を合わせた「連結赤字」に至っている。社会保障費の抑制で医師不足も顕著になり、地方間格差も拡大している。地方自治体の財政自主権を確立する闘いを推進し、税制改革などによる地方格差を是正するために闘う。それとともに、地域における学校・医療・自然破壊・高齢者問題・子育て・仕事づくりなど諸分野の闘いをもりあげ、市民運動、住民運動、NPO、協同組合、労働組合などが連合し、公正で平等な地域社会建設のために闘う。
第五は、憲法改悪闘争、新たな労働組合運動の構築、新たな地域社会建設の闘いなどを推進する中で、新自由主義の二つの潮流のいずれとも異なる、民衆の利益に立脚した「第三極」の政治潮流の形成・前進に貢献しつつ、着実な党建設を進めていく。
新自由主義と敢然と闘うための理論武装を強め、若い次世代の同志を迎え入れつつ、着実に組織の世代交代もすすめ、自力の党建設を進める。同時に、政治路線が基本的に一致した共産主義者との団結・統合を引き続き推進する。
党建設の前進は、必ずや「第三極」の形成・発展に役立つものであり、わが党はその頑強な一翼を担うものである。                 
                                       (以上)