辺野古新基地建設への
自衛隊投入を糾弾する


         日本政府に総対決し、糸数選挙に勝利を

 安倍連立政権は沖縄・辺野古で米軍新基地「沿岸案」を早期に着工せんがため、アセス法違反の「事前調査」を四月二四日から強行したが、これに対する住民・沖縄民衆の海上阻止行動を排除するために、自衛隊を出動させるという暴挙を行なった。五月十一日、呉海上自衛隊所属のの掃海母艦「ぶんご」が横須賀から辺野古へ向った。
 この自衛隊出動は、第一に、日本軍が再び沖縄民衆に銃口を向け、日本政府の戦争政策に沖縄民衆を従わせるために再び直接に登場してきたという意味で歴史的暴挙である。沖縄戦での住民集団死について日本軍の強要性を否定する教科書かきかえが、沖縄県民から大きなを糾弾を受けている折、にもかかわらず自衛隊を出してきたこと、これは力まかせの暴挙という他はない。
 第二に、在日米軍基地の建設に関わって、自衛隊が出動してきたことは「本土」を含めて知られているかぎり前例のないことであり、〇五年日米軍事再編合意による日米軍事一体化の動きを端的に示すものともなっている。
 国会では、十六日の衆院外務委員会での沖縄選出・照屋寛徳議員の追及に対し、防衛省の山崎運用企画局長は、「ぶんご」の任務に関する答弁を軍事秘密として拒否しつつ、出動の法的根拠については「官庁間協力」としか答弁できなかった。十七日また二十二日の参院外交防衛委員会では、久間防衛相は「人命救助」「警備活動」などとし、安倍首相は「国の資源を有効活用した」などと答えたが、結局、自衛隊法上の出動根拠を明らかにできなかった。法的根拠なく自衛隊を国民の運動を制圧するために運用したこと、この一点においても、安倍政権は総退陣で当然である。
 沖縄では五月十三日のカデナ基地包囲行動(一万五千人参加)などで、軍艦投入は琉球処分だ!と平和市民連絡会などがただちに抗議行動をおこし、辺野古では十四日に漁港で抗議集会が行なわれた。また仲井真沖縄県知事も十八日、「県民に銃剣を突きつけているような連想をさせる」と批判せざるをえず、全島的怒りがわきあがった。
 五月十八・十九日に防衛施設局側は攻撃を本格化した。中立であるべき海上保安庁が住民側の船を不当に臨検するなど、施設局・海保・自衛隊という国家権力が総がかりで阻止隊を排除して、機材設置の工事を強行してしまった。しかし自衛隊出動に対する県民の大きな抗議によって、出動した自衛隊が、自衛隊ダイバーの投入など現地で実際に動けたかどうかは不明な点もある。
 この辺野古での攻防の中、住民団体「命を守る会」代表の金城裕治さんが十九日、入院先で亡くなられた。翌日の告別式で、金城さんの無念は基地阻止で必ず晴らすと人々は決意した。心から哀悼の意を表します。
 五月二十一日、基地県内移設に反対する県民会議は那覇防衛施設局に対し、「事前調査」強行と自衛隊投入に抗議し、違法調査をただちに中止するよう要請交渉を行なった。この場で、前日にジュゴン保護基金委員会などが行なった現場撮影により、調査機材がサンゴ礁を破壊して設置されていることが明らかにされた。環境影響評価に入る前に、環境を破壊してしまうという愚挙である。
 六月五日、県民会議の主催で自衛隊投入糾弾・新基地阻止の県民大会が開催される。
 日本政府の今回の暴挙に対する県民の怒りは広範である。その怒りを有効に結集すれば、七月参院選での「一対一」の戦い・再度の糸数選挙を四年前のように圧勝することも可能である。沖縄の政治情勢は今、県知事選・参院補選の敗北と続いたこのかんの流れを巻き返す、大きな山場に向っている。(A)