教育改革四法案を阻止しよう!
学校の序列化を狙っ学力テスト強行糾弾!

  改悪教育基本法の実動化

 国会では四月十七日、教育改革関連三法案の審議入りが衆院で強行され、昨年末の教育基本法改悪の基調が法律化されようとしている。
 教員免許法および教育公務員特例法の改悪案は、教員免許状の有効期間を十年とし、更新のための講習を受けさせ、修了認定が得られなかったら免許失効とするもの。また更新とは別に、「指導不適切教員」として研修所送りになった者についても、免許失効を可能とする。つまり、政府・文部科学省の意に添わない教育労働者を、免許失効という形で解雇できるようにするものである。
 学校教育法の改悪案は、改悪教育基本法での「我が国と郷土を愛する態度を養う」等を義務教育の目標に書き込むこと、学校評価制度の導入、教育管理職の新設などである。国家主義的かつ新自由主義的な、教育内容と学校への攻撃である。
 地方教育行政法の改悪案は、政府側でもめた案であるが、国が各教育委員会へ是正指示などを行なえるようにするもの。教育の中央集権主義を強めるものである。
 この教育三法案を今国会で断固廃案にし、改悪教育基本法の実動化の流れを阻止しなければならない。また先日強行された「全国一斉学力テスト」は、この実動化の重要な一環であった。
 「基礎学力が向上せず、教育の格差は拡大、放校・退学処分者が続出して犯罪も増加」、〇六年のイギリスのマスメディアは、統一学力テストの見直し・中止の動きが活発化している現状をこう報道している。
 しかし四月二四日、イギリス等の差別選別教育をモデルとする日本の文部科学省は教育現場の反対の声を無視して、全国一斉学力テストを強行した。
 文科省は、子ども達の学力が低下しているというキャンペーンの下に、「全国的な義務教育の機会均等、その水準の向上の観点から小・中学生の学力、学習状況を把握分析して改善を図る」として学力テストを実施した。小学六年生と中学三年生を対象に、公立校の98・95%に当たる32756校が参加した。法的義務はないにもかかわらず、文科省の強圧的な指導によって(公立校の不参加を表明した愛知県犬山市の十四校を除いて)すべての公立校で実施されている。
 実施にあたって文科省は、各小中学校に問題用紙を前日二十三日に届け、中味の確認は校長室等鍵のかかる部屋で行なうよう指示している。そのうえA4判60ページを越える冊子とマニュアルビデオを配るなど、多額の費用をついやし労力を掛けている。にもかかわらず採点・集計を民間受験産業(小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータ)に委託し、個人情報の流出に配慮していないというお粗末さであった。しかも、出席番号のみを記し記名しないということを文科省は容認せず、その固くなさを示した。テストと同時に家庭での学習環境なども回答させており、教育産業に個人情報を流出させるものである。
 教育再生会議は学力低下を指摘し、「ゆとり教育」を見直して授業時間を10%増やすと提言している。文科省もこの学力低下論を理由に学力テストを強行した。
 しかし、「そもそも学力低下は現実に生じているのだろうか」と疑問を提出する人も多い。学力とは何かも問題だが、事実〇五年四月の文科省の発表によると、〇三年は〇一年に比べて学力が向上している。それは九三年、九五年の資料と比較しても低下していない事が明らかになっている。
 学力低下論は、説得力を欠いている。そればかりではない。今文科省が学力を把握し学力を伸ばすための資料を作りたいとするならば、全国一斉の学力テストを実施する必要はない。統計学者は、四万人のサンプルがあれば充分であると主張する。その程度の資料ならば、文科省はすでに持っているはずである。また県教委もしかりである。
 文科省が全国一斉学力テストを実施したい理由は、ほかにあった。学校を学力によってランク付けし競争をあおることが目的である。学校間に競争をもちこみ激化させること、学力の低いとされる学校には予算を配分せず廃校にまで追い込むこと、公教育での競争原理・市場原理の貫徹、それが目的である。
 学校は街づくりにとって大切な基礎であり、地域づくりの核になってきた。廃校に追い込むならば、子育てのできる街、活力ある街づくりはむずかしくなる。地域格差が拡大し、街は荒廃していく。
 また激化する競争は、子ども達を追い込み、豊かな人間性を育てる教育はむずかしくなる。子ども達に寄り添って生き、保護者と語り合ってつくりあげる教育は否定される。文科省の言う教育は、子ども達の幸福とは無縁の、新自由主義の競争に駆り立てる教育である。
 今回の学力テストの結果の通知は、今年の八〜九月になると言われている。国は都道府県単位の比較に公表をとどめるとしているが、市町村教育委員会や学校は自らの結果を公表するか否かが、問われるにちがいない。公表を許さず学校のランク付けを許さない立場から、全力で対処する必要がある。そして来年以降の学力テスト実施を阻止しなければならない。
 安倍政権の教育改革はイギリス型のシステムを導入するという色彩を濃くしている。しかし、それはすでにイギリスで破算しているのである。教育労働者は潮流を越えて団結し、安部政権の「教育改革」攻撃を断固阻止しよう。(教育労働者O)