編集部だより

★新緑を通り抜けた穏やかな風が香りをかもす薫風の五月となった。★今年は記録的な暖冬で、桜も例年より早く咲く地方が多かった。それが、桜が散るや否や、寒気がぶり返し降雪に見舞われた北国も多かった。それにしても、稀にみる天候不順である。天候不順が、人間自身の営みによりもたらされているのは、今や誰しも否定できない。★4月の国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第2作業部会報告によると、気温上昇が一九九〇年と比較し、2〜3度以上になると、地球上のすべての地域で悪影響が現われ、最大30%の生物が絶滅し、赤道付近の低緯度地域の穀物生産量の減少などに見舞われる、という。もちろん、一部地域の水没、生物分布の大変化、熱波・洪水・旱魃などでの死亡者増大などは、それ以前の段階からはじまると、いう。★資本主義の無政府的な発展は、ついには、人類自身の命と生活の基礎である自然自身を大規模に破壊するに至っている。★「京都議定書」は、そもそも枠組み自身で失敗しているが、主催者の日本自身も二酸化炭素の削減割当の達成は困難な状況である。にもかかわらず、御手洗経団連会長や安倍普三首相は、経済成長によって格差を是正するなどというアナクロニズムをのたまう。高度成長でも格差社会は是正されなかったのに……。(竹中)