イラク特別措置法の延長案を阻止しよう
  自衛隊の即時完全撤退を

 米プッシュ政権が二〇〇三年三月二十日にイラク全面攻撃を開始した、あの忘れもしない日から丸四年がたった。その結果こんにち、イラクの悲惨な現状は目を被うばかりとなっており、また中東地域全体に戦争・虐殺・混乱を拡大しつつある。デタラメな口実で戦争を開始したブッシュ政権の罪科は極めて重く、また、その開戦を支持したことは正しかったと今なお居直っている日本政府の犯罪性も言語道断である。
 その日本の犯罪性をいくらかでも減ずる機会は、今の国会にある。成立から四年目で失効となるイラク特別措置法案(当時の小泉政権は、四年もあればイラク情勢はきれいにかたづくと思っていたのだ!)を、改定して延長するのではなく、これを廃止とし、航空自衛隊をイラクから直ちに撤退させることである。最近、防衛省が国会に出した報告によると、イラクの空自輸送機は毎月二十回ほど輸送活動を行なっているが、その八割は多国籍軍の軍事輸送である。空自が米軍の武力行使に参戦している性格は、すでに撤退した陸上自衛隊のサマワでの駐屯よりも、なお一層明確である。特別措置法の派遣要件じたいにも違反している。
 アメリカでは、昨年十一月議会選挙での米民主党の勝利につづいて三月二十三日、遅くとも来年八月末を撤退期限とするイラク撤退法案が下院本会議で可決された。米国市民は三月十七〜十八日に、イラク増派反対・即時撤退を求め、全米各地で開戦四周年の行動を展開して下院に圧力をかけた。
 この法案は、増派のための補正予算案を認めた上でそれに撤退期限を付けるという取引的な面があり、また治安訓練部隊は残すという性格のものであるが、撤退期限が法的に明記されたのは初めてである。大統領ブッシュは、これが議会で成立すれば拒否権を発動するとしているが、大きな打撃である。ブッシュは、今撤退したらイラクは米国本土を攻撃するテロ基地になるなどのたわ言で米国市民を脅し、増派を進めつつあるが、米国の民意からまったく逆行していることが明らかとなった。米軍撤退で困るのは、米軍にしがみついて内戦状態を乗りきろうとしている一部シーア派政権担当者のみである。米軍の撤退こそ、イラク人民がイラクの政治秩序を再建するための前提条件である。
 このように、イラク侵略の親玉の国では撤退法案が可決されているのに、その子分の国・日本では派兵延長法案が可決されようとしている。なんたることか。このままでは日本の反戦運動は世界の笑い者になってしまう。六月までの国会で、イラク特措法改定案の成立を阻止し、自衛隊のイラクからの全面撤退をかちとろう。(A)


イラク占領まる4年3・21ワールドピースナウ
  武力で平和は作れない

 イラク侵略四年目となり米国でイラク撤退要求が高まる情勢のなか、三月二十一日、東京・日比谷野外音楽堂では、「武力で平和はつくれない イラク占領まる4年ワールドピースナウ3・21」がWPN実行委員会の主催で開かれた。「終わらせようイラク戦争 アメリカ市民と共に」、「撤退させよう航空自衛隊」、「やめさせようイラン・シリアへの武力行使」などのスローガンを掲げつつ、約二千人の市民・労働者が参加した。
 集会では、富山洋子さん(日本消費者連盟)の主催者あいさつのあと、中東研究者の奈良本英佑さん(法政大学教授)が発言、米軍のイラク撤退、バレスチナでのファタハ・ハマス連立政権の承認、イラン核問題の平和的解決の必要を述べ、開戦以降六十五万人のイラク人が戦争とインフラ破壊によって殺されている現状を批判し、米日両政府の政策転換を求めた。
 続いて郡山総一郎さんが(ジャーナリスト)イラク人質当事者の経験から、また藤屋リカさんがJVCパレスチナ事業担当の経験から発言。藤屋さんは、「人道支援だけでは解決しない。イスラエルの攻撃を止めさせる政治的努力が必要だ」と訴えた。
 また在日米軍再編問題では、加藤泉さん(原子力空母横須賀母港化を許さない神奈川県実行委員会事務局長)が発言、「母港化の是非を問う住民投票条例案は二月市議会で否決されたが、このかん市民一人ひとりが立ち上がって41591筆の条例制定署名を集め、それによって臨時市議会を開かせたこと、そこで二八年ぶりの記名投票をさせたこと、これらは民主主義の闘いの成果。この成果を活かし、原子力空母ジョージ・ワシントンの来年配備反対を強める」と報告した。
 最後に、ピースボートの櫛淵万里さんが、「9条世界会議」の成功を訴えた。「9条世界会議」とは、来年五月に東京など全国数ヵ所で開催する国際イベントで、日本国憲法9条を「武力によらず平和をつくる」と定めたものとして、これを世界の常識にしようというもの。
 集会参加者は、「寿」のコンサートを楽しんだあと、銀座方面へのパレードを行なった。
 イラク開戦強行の四年前、東京のWPNでは、芝公園一帯に五万人、三年前は日比谷公園一帯に三万人が結集し、日本での反戦運動の久々の高揚を実感させた。闘いは長期戦となった。参加者の波が引くのはやむを得ないが、当時のイラク反戦の成果は、その後の日本の政治状況の好転には結びつかず、むしろ悪化している。なぜこうなっているのか、共に反省し、まき返す戦略が必要だ。
 「9条世界会議」の試みは、現在の憲法改悪阻止闘争と国際平和運動が合流するものとして、時宜にかなった意義をもつだろう。しかし、民衆の大きな波をつくるには、具体的な攻防点の大衆化が必要だ。四年前、ブッシュの戦争突入を阻止できるかできないか、一人ひとりにその一点が問われて人々は立ち上がったのである。
 たとえば、イラク特措法改定案の反対について日共や社民党もあまり大きな声を上げていないが、これは国会力関係への屈服であり、米国情勢から言えばもっと大きな対決点にすべき課題である。3・21ワールドピースナウでも、国会に現に懸かっているイラク特措法改定案に反対することの突き出しが弱かった。これが不満点であるが、自衛隊完全撤退をかちとるまで共にがんばろう。(東京W通信員)


開戦4周年抗議3・20大阪集会
  米軍基地の再編強化反対

 イラク侵略戦争四年目の三月二十日、関西では、「イラク開戦4周年抗議、自衛隊のイラクからの全面撤退、在日米軍基地再編・強化反対!3・20大阪集会」が大阪市・扇町公園で午後六時半から開かれた。主催は、大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネットワークの二団体。自治労、大阪教組、全日建、全港湾など平人センターに参加する組合、そして関西ネットに参加の市民団体や釜日労など、約〇〇〇名が結集した。
 最初に全港湾、ふぇみんから議長団が選出され、主催者あいさつが大阪平和人権センターの田淵直理事長、しないさせない戦争協力関西ネットのますだ京子共同代表から行なわれ、イラクからの自衛隊全面撤退、米軍再編反対、憲法改悪阻止を訴えた。
 そして、米軍再編で沖縄からの海兵隊移転先とされているグアム(米合衆国準州)から、先住民チャモロ族の連帯メッセージが次ぎのように紹介された。「アジア太平洋地域、そして世界へ拡大する米軍再編計画に反対し、皆様の運動へ心からの連帯の意を表します。私たちは平和と正義を信じています。そして、世界を支配しようとする米国の動きに反対しています。安全で、きれいな、そして平和なアジア太平洋の故郷のために、これからも共に運動を続けましょう! 日本による60億ドルの海兵隊のグアム移転費用に反対することで、私たちに力をかしてください。アメリカ軍基地を、アメリカ本土50州に戻すためにこれからも頑張りましょう!」。
 続いて、平人センターの富永猛事務局長から、反戦、反改憲、統一地方選挙勝利を訴える基調報告がなされたあと、解放同盟大阪府連青年部、しないさせない関西ネットなどの決意表明がなされた。
 最後に、以下の要旨の集会決議案が自治労府本部女性部から提案された。
 イラク侵攻から四年、多数の市民が犠牲になっている。米軍の即時撤退を。今国会でのイラク特措法延長を許さず、自衛隊の全面撤退を。在日米軍再編特措法案の閣議決定を糾弾し、再編交付金による自治体への強要を許さない。三月一日、大阪港に米イージス艦ステッテムが入港した。全国的な民間施設の軍事利用強化を許すな。沖縄、横須賀、岩国など全国の仲間とともに、安倍政権の「戦争のできる国づくり」を許さない闘いを大阪の地から展開する。
 この決議を拍手で確認したあと、デモを二つのコース(米領事館から市役所、天六から中崎町)に分かれて貫徹した。
 改憲のための国民投票法案の衆院突破が策され、また三月二十三日には米軍再編法案が審議入りし、こうしたなか統一地方選挙に突入している。
 私たちは日本が再び戦争をする国になることを阻止し、右派を打倒する共同戦線を前進させるために、選挙過程を利用し宣伝を強める必要がある。憲法改悪に反対し日米軍事一体化に反対していること、また反戦・反改憲の運動を支持し下層民衆の立場に立っていること、こうした候補者を一人でも多く当選させ、安倍政権支持の候補者を一人でも多く落選させるために闘おう。(大阪N通信員)


3・25三里塚・東峰現地行動
  「東峰の森」破壊を許すな

 三里塚において、成田国際空港株式会社(NAA)は、暫定滑走路の北側延伸を目指して北端部分の国道51号線付け替え工事を行なっている。更に、東峰地区住民にとって生活・営農上、不可欠な「東峰の森」を破壊し、新たな誘導路の建設を行なおうとした。
 住民一同の「現状変更禁止」仮処分申請は、一月二十三日、地裁にて不当にも却下された。東峰住民は直ちに抗告したが、NAAは二月二十六日、公示を強行開始した。現在は、仮柵と作業用道路を設けている段階だが、埋蔵文化財の調査のための工事を強行、四月初めには樹木の伐採作業を強行する姿勢である。
 この様な工事強行に抗議する「『東峰の森』破壊を許さない!暫定滑走路北伸阻止!3・25三里塚・東峰現地行動」が、「三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会」の主催で三月二十五日、東峰の共同出荷場で八十名の参加で行なわれた。
 集会では、東峰の石井紀子さんが、東峰の森破壊の工事への抗議と、あくまで農業を続けながら生活していく事の決意を述べ、更に、これからも多くの人がこの東峰共同出荷場に集まってほしいと訴えた。らっきょう工場の平野靖識さんが、仮処分申請の却下の不当性を詳しく報告した。現地報告を山崎宏さんが行ない、関西三里塚相談会より渡邊が全国の闘いを報告し、更に、たんぼクラブ、たすきわたし集会事務局、じゃがいも運動、東水労青年女性部等から決意の報告があった。
 なお集会の後に、東峰の森を通り、開拓道路に向けた抗議のデモを行なった。
(関西東峰団結小屋維持会 渡邊)


3・1朝鮮独立運動88周年
今こそ対話で平和の実現を!3・3集会

  在日への政治弾圧を糾弾

 3・1朝鮮独立運動88周年を記念し、三月三日、東京・文京区民センターにおいて「今こそ対話で平和の実現を!3・3集会」が日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)などによる「3・1」集会実行委員会の主催で開催され、一七〇名が参加した。
 集会はまず、司会の加藤正姫さん(日韓ネット)から、3・1独立運動の歴史的意義と今日の安倍政権による経済制裁、そして在日コリアンへの人権侵害にどのように立ち向かうかが問われていると開会の挨拶が行なわれた。
 続いて、お二方の講演。ピープルズプラン研究所の武藤一羊さんからは、「東北アジア情勢と平和実現への課題」という演題で行なわれた。政府間合意の限界を越えて民衆間の連帯による平和秩序が求められるという主旨であった。また、同胞法律・生活センターの金東鶴さんからは、「在日コリアンへの人権侵害・弾圧実態」という演題で行なわれた。今年の「3・1」集会は「許すな!制裁・在日コリアンへの人権侵害」というスローガンを掲げており、東京・兵庫などでの朝鮮総連や滋賀朝鮮学校に対する政治弾圧を、講師とともに厳しく糾弾した。
 報告では、VAWW−NETジャパンの東海林さんがNHK番組改ざん裁判勝訴について。不当解雇と闘う学校ユニオンの増田都子さんからは寸劇と経過報告。枝川裁判支援連絡会の花村健一さんが、都による土地取り上げに抗する枝川朝鮮学校の闘いについて。(なお、集会後の三月八日、枝川朝鮮学校と東京都は実質的に土地買い取りの内容で和解し、在日の教育権が守られることとなった)。在日韓国民主統一連合の宋世一さんが、大統領選など韓国情勢について報告した。
 集会は、韓国の市民・社会団体からの連帯メッセージを確認した。
 また当日の昼間には、東京では日比谷野外音楽堂において七千人の規模で、「朝鮮総連と在日同胞に対する不当な政治弾圧、人権蹂躙行為に反対する中央集会」と抗議デモが総連主催で行なわれている(神戸では五千人で近畿大会)。石原都政の野音使用不許可を仮処分で阻止し、勝ち取られた集会であった。
 この在日の大集会に対し、「3・1」集会実行委から連帯のメッセージが送られたことが報告されるともに、韓統連の宋世一事務総長が野音で同胞として反弾圧の連帯挨拶を行なったことが報告された。
 最後に、日韓ネット共同代表の渡辺健樹さんから、「対北朝鮮制裁・在日コリアンへの人権侵害の中止と、対話による戦争も核もない平和な東北アジアの実現を求める共同声明」の提起及び声明への参加呼びかけが行なわれた。この共同声明は過日、実行委員会代表によって首相官邸に提出された。(東京Ku通信員)