編集部だより

★マカオの銀行の朝鮮関連口座をめぐる米朝のやり取りが報道されているが、これに関連する身近な話題として、今年一月から、銀行や郵便局での「十万円」を超える送金に本人確認が必要となったことがある。これは、「本人確認及び預金口座不正利用防止法」の施行令が改定されたから。この新措置について全国銀行協会は、「国際協調をとりつつ、マネーロンダリング対策、テロ資金対策を強化」と説明する。★十万円程度でもATMが作動しない。窓口で免許証や健康保険証を見せ、記録されないと送金できないというのでは、普通の日常生活でもやっかいである。我々にとっては面倒なだけでなく、政治的いやがらせのようなもの。十万円ぽっちでテロ準備ですか。百万円以上にしてください、そしたら小社には無縁の額ですから、と冗談を言っている場合ではなく、これは米国発の「対テロ戦」が日常生活に侵入してきたということだ。★マカオの件も、預金者・口座保有者の保護という観点から言うと非常に問題がある。政府間合意によって口座移転が強要され、解決するまで凍結は続く。制裁の解除ではなく、移転による送金という米側の面子を立てた合意になっているからだ。★国会で三月末、広範な業種に密告を義務付ける「犯罪収益移転防止法案」が成立してしまった。口座凍結の危険が他人事でなくなってきた。(若杉)