六者協議
  朝鮮半島非核化のための初期段階措置を合意
   公正な平和実現は民衆の闘いに

 二月十三日、北京での第五回六者協議は、朝鮮半島の非核化に向けて各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意文書を採択し、閉幕した。一昨年九月の第四回六者協議共同声明の履行が再確認され、そのための初期段階行動が六か国政府間で合意されたこと、われわれは北東アジアでの戦争阻止・平和実現の観点において、これを歓迎する。
 合意文書の骨子は、@朝鮮民主主義人民共和国は再処理施設を含むヨンビョンの核施設を60日以内に稼動停止・封印、国際原子力機関(IAEA)要員を復帰、A米朝は外交関係樹立のため協議を開始。米国は、朝鮮へのテロ支援国家指定解除および対敵国通商法適用終了の作業を開始、B日朝は、ピョンヤン宣言に従って国交正常化のための協議を開始、C北朝鮮に対し5万dの重油に相当する支援を60日以内に開始、D@朝鮮半島の非核化、A米朝国交正常化、B日朝国交正常化、C経済・エネルギー協力、D北東アジアの平和・安全メカニズム、以上の作業部会を設置、E初期段階措置とすべての核施設の無能力化を含む次の段階の期間中、朝鮮に計100万dの重油に相当する支援、F初期段階措置実施後、閣僚会議開催、G第六回六者協議を三月十九日に開催、となっている。
 改めて言うまでもなく、一昨年の共同声明から一年半の歳月を費やし、この第五回六者協議で合意を得るまでに到る経緯は平板な道のりとはいえなかった。朝鮮のミサイル発射実験、核実験実施の発表と米日による朝鮮に対する経済制裁の発動、対朝鮮の国連安保理制裁決議という緊張局面があった。
 しかしアメリカ帝国主義は、イラク侵略の泥沼化からブッシュ政権の支持率低下、中間選挙での民主党の圧勝等により、対朝鮮政策の変化を余儀なくされている。アメリカ・ネオコン派による軍事的体制転覆論は一定後退を強いられた。北東アジアにおいては和平プロセスがやっと機能し始めたとも言えるが、米帝はイラン攻撃へ重点を移しただけとも言える。引き続き各国人民による米政権などの戦争政策との闘い、公正な平和実現のための闘いが必要だ。一昨年来、米日は六者協議共同声明の履行に手をつけず朝鮮への圧力に終始し、結果、朝鮮の核実験という憂慮すべき反応をもたらした。しかし、この流れを転換させたのは、アメリカ民衆を始めとする世界の反戦平和運動であった。政府間の合意は不安定であり、全世界人民の闘いが結局は情勢を決定づけるのである。
 合意での目標の一つとされた米朝間の国交正常化は、朝鮮戦争の休戦状態から五十年以上の歳月を経て初めて平和的関係になり、分断国家韓国・朝鮮にとって民族統一の具体的なプロセスが俎上に上がるものといえる。われわれは、朝鮮半島の非核化とともに平和統一を断固として支持するものである。このようなドラスチックな展開も期待できる六者協議作業部会に、注視し続けることが必要である。
 このような中、安倍政権は拉致問題を口実として、北東アジアの平和と朝鮮半島の非核化に積極的対応を示さず、孤立化を深めている。日朝間の懸案問題の一つである拉致問題解決も、〇二年日朝ピョンヤン宣言に沿って国交正常化交渉の進展のなかで対処していくことが、一番の近道と言える。拉致被害者の生存を前提とし帰国させなければ対応しない、との安倍政権の方針では事実解明も含め何も前進しない。
 われわれ日本労働者民衆は、韓国・朝鮮人民と手を携えて北東アジアの平和実現のため、六者協議合意の誠実な履行を各国政府に要求すると同時に、平和から離反し改憲策動のために朝鮮半島の緊張を煽る安倍政権を打倒するために闘う。
 また、朝鮮半島の非核化を求めると同時に、現在の日米軍事一体化に断固反対して闘う。朝鮮の核兵器開発・保有の廃棄とともに、日米安保体制による核使用を含む朝鮮への軍事的脅威が解体されなければならない。そうであってこそ、公正な平和の実現と言えるだろう。(Ku)


3・2東京
  STOP!改憲手続き法案大集会に二千
    目前の攻防に改憲阻止が

 三月二日、東京・日比谷野外音楽堂において、「2007年5・3憲法集会実行委員会」の主催による「STOP!改憲手続き法案 3・2大集会」が開催された。実行委員会の事務局団体は、憲法改悪阻止各界連絡会議、「憲法」を愛する女性ネット、憲法を生かす会、市民憲法調査会、女性の憲法年連絡会、平和憲法21世紀の会、平和を実現するキリスト者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会である。自民党が来週にも改憲手続き法案の審議に入ろうとしている緊迫した国会情勢の中で二千人が参加し、法案阻止への共同意志を打ち固めた。
 主催者として高田建さんが立ち、「安倍内閣が狙っている改憲手続き法案を5月3日までに通すことを、断固として阻止していきたい」とあいさつした。
 国会報告では、共産党衆院議員で憲法調査特別委員会委員の笠井亮さんが、「国民は改憲を望んでいない。だから、自公の思い通りにはいっていない。世論と運動を高めよう」と発言。社民党参院議員・党首の福島瑞穂さんは、「政治の流れを変えていくために社民党は闘います。国民投票法案を粉砕しよう」と訴えた。
 集会参加国会議員の辻元清美さん(社民)、井上哲士さん(共産)、仁比そうへいさん(共産)の紹介、日弁連憲法委員会事務局長の菅沼一王さんの発言の後、ザ・ニースペーパーの「にせ安倍首相」が登場、会場は爆笑に継ぐ爆笑となった。
 最後に参加者は、「憲法改悪を許さないためには目の前の改憲手続き法案の成立をくいとめることが、いま何よりも重要です。ともに声をあげ、行動を起しましょう」と呼びかける集会アピールを採択し、国会請願デモへと出発した。(東京M通信員)
 

日米共同指揮所演習反対!1・21伊丹行動
  押し返せ日米軍事一体化

 朝鮮核問題で二月の「六者協議」が合意にいたり、北東アジアでの平和構築の雰囲気も出てきているが、こうした政府間の交渉の一方、他方では日米の軍事当局が朝鮮半島などでの戦争の準備の方もおしすすめている現実をみておく必要がある。
 沖縄では、昨秋に嘉手納基地へパトリオット・ミサイルとその部隊が強行配備され、「本土」に先駆けてミサイル戦争基地化された。これに続き、二月には同基地に海外初配備として、最新鋭のステルス戦闘機F22ラプターが配備された。米空軍は四ヵ月程度の暫定配備としているが、F22と「航空自衛隊との共同演習」の意向も示しており、結局、嘉手納の現行機F15の後継機ではないかと見られている。
 日米共同の作戦面では、朝鮮有事・周辺事態を想定した日米共同作戦計画(これは、九七年日米新ガイドラインに基づき〇一年に策定されたもの)の改定作業が現在、九月の完了を目途に進められている。
 この日米共同作戦計画の改定は、日本側の有事立法体系の成立(〇三年の武力攻撃事態法、〇四年の国民保護法など)を踏まえて、日本の民間空港・港湾の強制使用や戦時動員を作戦計画に反映させるためである。日米軍事当局の「共同計画検討委員会」による改定作業が、昨年十二月から開始された。
 こうした中、二月四日から十六日まで、兵庫県の陸上自衛隊伊丹基地で「日米共同方面隊指揮所演習」が行なわれた。
 一月二十一日、この日米指揮所演習に反対し、「ストップ!ヤマサクラ51(日米共同指揮所演習)大集会」が兵庫県伊丹市の昆陽池公園において約八百名の参加で開かれ、陸上自衛隊中部方面隊総監部がある伊丹駐屯地へデモ行進が行なわれた。
 主催の大集会実行委員会は、ゆるやかな共闘関係との位置付けのもと、地元や関西の労働組合・市民団体・個人、また社民党、新社会党、日本共産党などの広範な共同行動として作られている。
 集会は、阪神センター合唱団や月桃の花歌舞団による歌やエイサーのあと、主催者を代表して伊丹教組の井上さんが挨拶、総監部の中に米軍施設が作られ日米軍事一体化が進んでいることなどを報告した。続いて、しないさせない戦争協力関西ネットの中北さん、神戸の原和美さん、尼崎や宝塚の市民、各政党、労組などがアピールした。
 集会決議の採択のあと、住宅地の中、駐屯地に沿ってデモが行なわれ、軍事演習を中止せよ!米軍施設を撤去せよ!と訴えた。
 日米共同指揮所演習は「ヤマサクラ」と称されているが、今回51回目の演習は、自衛隊中部方面隊3400人と米陸軍第1軍団など1400人、計4800人が参加し最大規模となっている。〇〇年にも伊丹でヤマサクラ37が行なわれたが、この時は3500人規模であった。昨年の北熊本でのヤマサクラ49では、自治体の「国民保護計画」担当者が見学させられ問題となった。こうした方面隊指揮所演習のシナリオは公表されていないが、市ヶ谷などでの統合指揮所演習と同様、北東・東アジアでの戦争を想定したものであることは明白である。
 1・21大集会の後、その中止要請を無視し演習が開始されたが、その演習最中の二月十二日には、「ヤマサクラ51抗議申し入れ行動」が現地で再び行なわれた。これは、しないさせない戦争協力関西ネットと、いやや戦争協力尼崎市民の会との主催によるもの。伊丹市瑞ヶ池公園に集まったあと、総監部へデモ行進し、抗議申し入れを行なった。
 朝鮮半島の非核化を求めるだけでなく、日米軍事一体化による朝鮮・アジアへの脅威を除去することが必要だ。日本・沖縄での日米の戦争準備、核・ミサイル戦争態勢の強化に断固反対していこう。(関西N通信員)
 

大阪2・17
  戦争のできる国づくりをとめよう!
  許すな憲法改悪・全国草の根市民集会

  阻止しよう改憲手続き法案

 二月十七日、大阪市住まい情報センターにて「戦争のできる国づくりをとめよう!許すな憲法改悪・全国草の根市民集会」が開かれた。この集いは、昨年十一月に結成された「とめよう改憲!おおさかネットワーク」(連絡先・中北法律事務所)と、今年で十回目になる「許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会」の実行委員会とが共催したもの。
 昨年の国会で教育基本法が改悪され、今の国会では「改憲手続き法案」の成立が狙われているという情勢下、全国・世界の市民運動と連帯し、関西での憲法闘争を草の根から広げる契機にしようという集会であった。
 集会では、憲法学者の山内敏弘さんが講演。改憲がめざす「戦争国家」とその布石として、防衛省設置・教育基本法改悪・改憲手続き法案の全体を批判した。
 教育基本法改悪反対の国会前行動などのDVD上映を挟みながら、高田建さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、高良鉄美さん(琉球大学)の発言、各地の憲法闘争からの報告、また辻元清美衆院議員、韓国平和ネットワークのイ・ジュンキさんからの連帯メッセージなどがあった。
 集会決議は、「ヒットラーは、ドイツのオーストリア併合など5回も国民投票を行ないました。平和憲法を戦争憲法に変えるための国民投票は、ナチスの二番煎じです」と痛烈に述べつつ、「主権者でありまた憲法をつくる主体である私たち市民」による改憲阻止のうねりを今こそ巻き起こそうと訴えた。(関西A通信員)