2007年・年頭アピール

  安倍反動政権打倒の広範な共同戦線へ!
  新自由主義打破の新しい労働運動の前進へ!
           
      労働者共産党中央常任委員会

 昨年九月、小泉連立政権の後を継いで安倍連立政権が発足した。安倍政権もまた、強い立場の資本家階級を支援し、弱い立場の労働者人民に犠牲を押しつける弱肉強食路線が明らかである。
 安部政権は、企業の「国際競争力の強化」を名目に、ホワイトカラー・エグゼンブションの導入による労働時間規制の撤廃、規定の就労期間を経過した派遣労働者に対する直接雇用の義務規定の撤廃、就業規則の改定による労働条件の一方的変更の合法化など、劣悪な労働者の賃金・労働条件を更に悪化させる、いわゆる「労働ビックバン」を大がかりに策動している。
 小泉政権はその任期中に、法人課税を一兆四千億円以上も減税したのに対して、逆に個人所得税は四兆円近くも増税したが、安倍政権はこの弱肉強食路線をさらに強めようとしている。『法人企業統計』にみられる資本金一千万円以上の営利法人(金融・保険を除く)の二〇〇五年度の経常利益がすでに五一兆七〇〇〇円弱(バブル期は三十兆円台)にまで記録的な水準に達しているのにもかかわらず、さらに大規模な企業減税を画策し、その減収分を消費税アップによる大衆課税でまかなおうというものである。これに乗じて、御手洗経団連会長は、法人実効税率を現行の約四十%から三十%に軽減すべきと広言している。これが強行されるならば、その額は四兆数千億円の規模となり、これを消費税の引き上げで埋め合わせようというものである。
 安倍政権は、この間の弱肉強食路線による格差拡大を再生産するだけでなく、それを決定的に固定化する教育政策を行なおうとしている。それは、昨年の臨時国会で本格的な審議も少ないまま性急に成立させられた教育基本法が、教育に市場原理主義、競争主義を公然と持ち込み、エリート層以外を切捨てる方向性をもつことで明らかである。
 それとともに、十二月十五日に改悪された教育基本法は、愛国心教育の推進、「国民の教育権」の剥奪と国家による教育の鮮明化など、国家主義教育を明らかにし、憲法改悪への環境をいっそう強めた。また、昨年の臨時国会は、防衛庁を防衛省に格上げし、自衛隊の海外任務を本来任務に位置付け、海外派兵の合法化をさらに整備した。これは、まさに九条改憲を先取りするものであり、次に狙うのが海外派兵「恒久法」であることは、目に見えている。さらにまた、朝鮮民主主義人民共和国の核実験を契機に、安倍政権は日本の核武装を煽り立てた。そして、共和国への経済制裁を独自にも強めながら、朝鮮半島・北東アジアの軍事緊張を徹底的に利用し、日本の軍事体制、すなわち海外侵略体制をさらに強化する策動もますます強めている。
 安倍政権が、新自由主義による弱肉強食路線をもって、圧倒的多数の労働者人民を犠牲にして、独占ブルジョアジーを中心とする資本家階級に奉仕する政権であり、アメリカ帝国主義に追随してその世界戦略の一翼を担い、更に戦後平和憲法を改悪し、日系多国籍企業などの活動を政治的軍事的に保障する軍事外交路線を推進する反人民的な政権であることは明白である。
 このような安倍反動政権はすみやかに打倒されるべきであり、そのために、団結できるすべての勢力が団結し闘う広範な共同戦線を形成することを、わが党は熱烈に訴える。
 そして、安倍反動政権を打倒するために取り組むべき主な闘いは、まず第一に、憲法改悪を阻止する闘いを全国各地の隅々にまで押し広げることである。安倍政権は、任期六年で憲法を改悪すると広言し、それに連動するものとして、まず教育基本法の改悪を強行した。民主党との国民投票法案の摺り合わせも前進しつつある。改憲に反対する保守勢力も含めた広範な憲法改悪反対の闘いが、ますます焦眉なものになってきている。
 第二は、韓国・朝鮮人民など東アジア人民と堅く団結し、日米帝国主義の朝鮮民主主義人民共和国に対する侵略戦争策動に断乎反対することである。安倍政権による共和国への独自の経済制裁強化、周辺事態法の発動などの戦争策動などに対しては、すべての反戦平和勢力と団結し、断乎反対しよう。アメリカを始めとするすべての国の核兵器を廃棄し、朝鮮半島・北東アジアにおける緊張緩和と平和の創出を実現するために闘おう。
 第三は、年齢を問わず拡大するワーキングプアに象徴される格差の拡大、貧困の増大という現実を変革する闘いを前進させることである。そのためには、厖大な非正規労働者など下層労働者を中心とする個人加入制の労働組合運動が、日本労働運動の主流に前進することが不可欠である。とともに、先進的労働者は、各地域で市民団体や住民団体などと団結し、新自由主義による地域社会の破壊に対決し、環境・福祉・教育・貧困などの諸問題に取り組み、共生と連帯、公正と平等の地域社会の建設のために闘おう。
安倍反動政権を打倒する広範な共同戦線を形成するうえでは、左翼勢力が緊密に団結し、その中核的な役割を果たすことがきわめて重要である。われわれは、その一翼を担うことを表明するとともに、安倍反動政権打倒のための広範な共同戦線が形成されることを強く訴えるものである。