教育基本法改悪反対!対国会・全国で盛り上がる
  参院で阻止へ最後まで全力を

 政府・与党の教育基本法改悪案が十一月十五日に衆院教育基本法特別委員会で、翌十六日には衆院本会議で、いずれも野党欠席のまま強行採決されて参議院へ回され、そして参議院では審議が始まったばかりであるにも関わらず、政府・与党は十二月初旬にも参院でも強行採決・成立させんとする極めて強権的な動きとなっている。
 あいつぐ「いじめ自殺」、受験競争を背景とする未履修問題、教育改革タウンミーティングでの「やらせ」など、このかん露呈してきた教育荒廃および教育政策の諸問題に安倍連立政権は何ら真しに向き合わず、それら諸問題の解決とは無縁の教育基本法改悪のみに熱中している。現実の問題への対処よりも、「戦後体制からの脱却」などの特定のイデオロギー的欲求から国会を引きまわしている。教育の憲法を変えることと教育荒廃問題の解決とに何の関連があるのか、何も説明されていない。こうした中での教育基本法改悪の強行は、子ども・父母・国民の関心や切実な要求とはまったく無縁の言語道断の暴挙である。
 政府は、いじめ自殺に対しては各教育委員会の隠蔽体質に責任をなすりつけ、さらには「規範意識が欠如している」からだなどと教育労働者と子どもに脅迫的に責任を転嫁しつつ、みずからは、いじめや未履修を生む背景であることが明らかな差別選別教育をさらに激化させる法案をごり押しせんとしているのである。何ということか。
 十二月十五日の会期末まであきらめることなく断固として闘争を発展させること、万一、教育基本法改悪案を阻止できない事態となったとしても、闘いの広がりによって安倍政権の孤立化を決定的なものにすること、これが来年の闘いにつながる。このかんの教育基本法改悪反対闘争の概況をみてみよう。
 十一月十五日、衆院特別委員会で強行採決されんとする夕刻には、国会前では、先月から座り込み続行中の諸団体を始め、一千人余の教育労働者・市民らが抗議の声を上げた。翌十六日の本会議強行採決に対しては、さらに多くの人々がこれに抗議して国会に押し寄せた。夜には、教科書全国ネットや子どもと法21など市民団体の呼びかけによる教育基本法改悪等に反対する「ヒューマン・チェーン」が、(十一月九日の第一波、約二千人に続き)キャンドルを灯して国会を包囲した。このころには五千人に及ぶ抗議行動となった。
 それに先立つ衆院山場の十一月十二日、このかん国会行動を行なっている枠組みの一つである「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の主催により、「教育基本法の改悪をとめよう!11・12全国集会」が開かれ、東京・日比谷野外大音楽堂に約八〇〇〇名が結集した。全国連絡会議の枠組みとしては、過去最大の参加者数となった。
 この11・12集会には、日教組傘下の北海道教職員組合から約二〇〇名の組合員が、対国会行動の一環として大挙参加していた。全教傘下では島根県教祖、埼教組、都教組などの参加であるが、連合・全労連の枠組みを超えた教育労働者の合流の場ともなっている。
 集会では、全国連絡会の呼びかけ人である大内裕和、高橋哲哉、三宅晶子、小森陽一さんら各氏のアピールのほか、若者の発言として、首都圏青年ユニオン、京都のユニオンぽちぼち、また埼玉の高校生のアピールがあった。
 そして、「日の丸・君が代」強制は違憲とする9・21東京地裁判決を勝ち取った予防訴訟原告団などの教育労働者、弁護団がステージを埋めて登壇。判決によって、行政の教育への「不当な支配」を許さない現行教育基本法の意義と、教育基本法改悪の不当性とが明らかになったとアピールした。嘱託解雇裁判のほうは十二月結審・来春判決となるが、勝利の第二歩目となることが期待される。
 各地からの発言では、北教組が、北海道人事委員会による十月二十三日の裁決(〇一年の卒業式で「君が代」演奏テープを持ち出した教員に対し、道教委は懲戒戒告処分を行ったが、これを取り消したもの)を報告した。この10・23裁決は、「君が代」強制は大綱的基準を逸脱しており、教育現場では職務命令よりも合意形成のほうが大事とするもので、9・21判決と同様の大きな意義をもつものである。
 韓国全教組からのメッセージが寄せられた。北韓の核実験により緊張が高まっているが、緊張の根源は米日の戦争政策にある、戦争の道をすすむ日本での教育改悪を許さず韓日の教職員は固く連帯しようというメッセージに熱い拍手が送られた。
 集会は、石井郁子(衆院・共産)、福島瑞穂(参院・社民)さんら国会議員、糸数慶子前参院議員からのメッセージ、平和フォーラム、日弁連の伊藤副会長、民法労連などの発言の後、集会アピールを採択し、銀座方面へのデモ行進を行なった。
 11・12集会は、国会情勢が緊迫するなか熱のこもった発言が多かった。この熱気は、衆院強行採決以降も続いている。
 全国連絡会は小森陽一さんなどを先頭に、このかん毎週火曜日(午後六〜七時、衆院議員面会所向い)に国会前集会を開いているが、十一月二十一日、十一月二八日と参院段階での集会を毎回数百名規模で続けている。二八日の集会では、参院教育基本法特別委員会に対しては、来年参院選挙での当落を念頭に入れた各地からの働きかけを強めよう等が訴えられ、また札幌から帰ってきた小森氏が、「強行採決に対し、怒りが各地で広がっている。その中でも今、寒い北海道が日本で一番熱い」と報告した。
 というのは十一月二五日、北海道・札幌市の大通公園では、教育基本法改悪案の廃案を求める全道集会が一万人を越える結集で開かれたからである。この大きな集会・デモは、北教組や自治労などの道平和運動センター、道労連などの憲法改悪反対センター、ほっかいどうピースネットの三者が呼びかけたもので、労働組合の二系統と市民運動が大きく合流したものとなっている。それに先立ち、函館、旭川など道各地でも行動が展開されている。北教組は連合・民主党支持ではあるが、このかんの闘いで果たしている役割は大きいものがある。(福教組などを中心とした、九州・福岡市での11・23集会については別掲)。
 その北教組も所属する日教組は、札幌集会と同じ十一月二五日、東京・日比谷公会堂で「教育基本法改悪ストップ11・25全国集会」を開いた。この集会は従来からの日教組等九団体による実行委員会の主催であり、札幌集会などと比べると広範な共同とは言いがたいものであり、また九月中旬にこの日に設定されていたもので、参院段階での闘いへの対応というよりカンパニア消化という雰囲気が否めないものであった。しかし強行採決に怒る日教組組合員など約三五〇〇人が、土壇場での闘争方針を求めて参加した。日教組はこのかん単独主催で、10・26緊急中央集会を日比谷野音で開き、また国会前座り込みも行ってきたが、全国統一闘争としての日教組の存在を明確に出すことができないままになっている。教育基本法国会の終盤で何をなすべきなのか、具体的行動提起が問われている。
 十一月二九日からは、日教組傘下である東京教組が、連日夕刻の国会前座り込みに入っている。
 十二月六日からの三日間、全国連絡会としての国会前座り込みが午前午後を通して行なわれる。
 十二月六日の夕刻、「ヒューマン・チェーン」の第三派行動が行なわれる。
 教育基本法改悪案の成立を断固許さず、最後の最後まで全力でたたかおう。(A)


福岡11・23
  教育基本法改悪ストップ!福岡県集会に7000人
    県教組主力に怒り拡大

十一月二十三日、福岡市の中央区舞鶴公園にて「教育基本法改悪ストップ!」福岡県集会が開催された。
集会は、県教組、高教組、私教組、平和・人権・環境福岡県フォーラム、部落解放同盟県連など九団体で構成する実行委員会が主催したもので、実行委を代表して九州大学大学院(人間環境学研究院)の新谷恭明教授は、「改悪案の衆議院通過は、慎重審議を求める国民の声に耳を貸さない暴挙」と批判し、「いじめなど多くの問題が教育現場にあるが、現行の基本法を変えることではなく、その理念を生かすことでこそ解決される」と挨拶。
 県教組出身で日教組中央執行委員の経歴を持つ民主党の神本美恵子参議院議員は、「教育基本法改正は憲法改正への地ならし。世論を味方につけ、改正を阻止しよう」と訴えた。
 集会アピールでは「『公共の精神』が持ち込まれたことは、個人の内心の自由の否定につながる」と政府案を批判し、「全国各地のタウンミーティングで教育基本法改正を支持する『やらせ質問』をさせて世論操作を行い、強行に国会での成立をめざす政府の態度は断じて許されない」と非難した。集会後、「教育を政治の道具にするな」などのシュプレヒコールを上げ、市内中心部の水上公園までデモ行進した。
 集会は雨にもかかわらず七千人が結集し、教育基本法改悪阻止の県内の取り組みとしては最大の参加者となった。県内最大の組合員を擁する自治労からの参加が約二百人であり、七千人という数字は日教組からの参加者がいかに多いものであったか、また、いかに多くの労組や市民団体が集まったのかを示しており、教育基本法改悪への怒りが教育現場はもとより、広く勤労者大衆まで吹き上がっていることの現れと云えよう。
 なお、本集会に先立つ十一月十九日は人口百四十二万人を抱える福岡市の市長選の投票日であったが、自民党推薦・公明党市議団推薦の現職に対して、民主党推薦(社民党・市民ネットワーク支持)の新人・吉田宏候補が当選。
 主な争点はオリンピック誘致のために大型都市再開発を打ち出した現職・山崎広太郎市長の政治姿勢を問うものであったが、投票日直前の十六日に教育基本法改悪案が衆議院で強行採決されたため、自民党・公明党に対する市民の反発がこの市長選に少なからず影響したものと思われる。(九州M通信員)


大阪
  11・3憲法公布60周年のつどい
  11・18とめよう改憲!おおさかネット結成

    改憲阻止の民衆大連合へ


 九条改憲の動きを阻止していく関西での諸集会が、精力的に取り組まれている。十一月三日には大阪城野外音楽堂にて、約二〇〇〇人の参加で「憲法公布60周年のつどい」がもたれた。主催は、九条の会・おおさか。
 集会は、九条の会・おおさかの小山仁示さんの挨拶に始まり、韓国からのゲストとして李俊揆(イ・ジュンキ)さんが発言。「東アジアの平和は、九条を守ってこそ維持できる。再び戦争の道を踏まないためにも、日・韓・朝の連帯の諸行動を創っていく必要がある」という基調で語った。
 宗教者の立場で木村幸夫さん(大阪キリスト教連合会)が、戦争時の疎開体験のつらさを語り、また宗教諸派が当時の侵略戦争を支持したという痛恨の思いを披瀝する中で、二度とあやまちを繰り返さないためにも平和憲法を守っていこうと語った。
 九条の会・おおさかの呼びかけ人の一人の新野新さん(放送作家)も壇上から、「理想的すぎると言われている憲法九条を、かえって大きく宣伝して、その実現の行動を追求していこうではないか」と発言を締めくくり、共感の拍手をあびた。
 集会そのものは、関西での5・3集会などの積み重ねの努力と、安倍政権による改憲策動への拍車という情勢の中で、一定のもりあがりを感じさせた。が、発言の中には、当時はつらかったから今の平和な時勢を守っていこうという捉え方もあり、今日のイラクへの自衛隊派兵=日本軍の公然たる侵攻、朝鮮情勢に即時対応した米・日軍の動き(カテナ基地へのパトリオットミサイル搬入等)などに、改憲阻止の立場からどう対処していくのか、といった発言が欲しかったという感想である。
 また関西では十一月十八日、「とめよう改憲!おおさかネットワーク」結成記念講演会がもたれ、渡辺治さんの講演などがなされた。これによって四十団体以上が参加するネットワークが結成され(連絡先は中北龍太郎法律事務所)、九条の会などの護憲諸団体、各労働組合などとの大きな共同を作って行く動きも生まれている。
 さらに、その四日後には、大阪・扇町公園にて「三悪法を廃案へ!11・22大阪緊急行動」(おおさかユニオンネット、とめよう改憲おおさかネットなどの共催)が行なわれ、教育基本法改悪案、改憲国民投票法案、共謀罪法案などを関西の地から断固阻止していこうと訴えた。
 団結できる、あるいは連携できる勢力は今後も共同を広げ、反改憲の統一戦線の力強い構築に邁進していこうではないか。(関西I通信員)