10・15大阪

 戦争あかん!基地いらん!06関西の集い
     日米軍事一体化反対
                  情勢対応に課題残る

 小泉から安倍の政権へ、そして朝鮮の核実験、日本・韓国での米軍再編、沖縄へのパトリオットミサイル配備と急速に戦争への足音が高まるなか、十月十五日の午後一時より大阪中之島中央公会堂において、「米軍と自衛隊の一体化を撃つ!戦争あかん!基地いらん!06関西のつどい」が開催され、会場にあふれる約一四〇〇名の参加であった。
 主催の実行委員会は、おおさかユニオンネットワーク、大阪東南フォーラム平和・人権・環境、沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、日朝日韓連帯大阪連絡会議(ヨンデネット大阪)、南大阪平和人権連帯会議の六団体を呼びかけ団体とし、これまで三回の実行委員会を積み上げて本集会を実現した。
 まず、主催者を代表して「しないさせない戦争協力関西ネット」の中北龍太郎さんが、安倍政権は米軍再編と一体となって周辺事態法の発動をねらい、集団的自衛権などの拡大解釈を加えながら、朝鮮有事に突き進んでいるという危険な情勢だ。基地再編、改憲と闘っていこうと述べた。
 朝鮮核実験の直後の集会であり、とくに日朝・日韓連帯運動からの発言が注目されたが、ヨンデネット大阪の林さんは、日朝・日韓を闘っている我々としては、朝鮮民主主義人民共和国の核実験に対し「深い憂慮を感じている」と発言した。
 続いて「沖縄から撃つ」と題して、山内徳信さん(基地の県内移設に反対する県民会議代表)は、今まさに、パトリオットミサイルが米軍カデナ基地・弾薬庫に二十四基配備されようとしている。天願軍港では、多くの市民が三日間徹夜の阻止闘争を実現している。ミサイル戦争など沖縄戦場化の危険である。我々は、かって沖縄戦を強いられた沖縄民衆の痛苦な思いの反省に立ち、いま自立した民衆の大きな声で日本政府の米軍一体化の政治に歯止めをかけよう、とアピールした。
 なお、最近まで山内さん自身も有力な選考候補であった十一月十九日投票の沖縄県知事選挙については、主催者の服部さんのほうから、関西からも革新統一候補・糸数慶子さんの必勝を支援するために、ハガキ運動などを進めようとアピールが行なわれた。
 また「韓国は訴える」と題して、平澤(ピョンタク)対策委員会広報室長の張道正(チャン・ドウジュン)さんが、駐韓米軍再編のねらいは、駐韓米軍の作戦を朝鮮半島から世界大へと拡大させ、対北攻撃態勢とともに対中国封じ込め、つまり対中国戦争基地化にあると述べつつ、そのためにピョンテク基地の拡大、反対住民の強制移住を強行しようとしている。反対住民は、全世界の人々の支援で闘い抜いている。これからも一層の支援を、と訴えた。
 集会は、「集会アピール」を採択し、梅田までのデモンストレーションを行なった。
 安倍政権が動き始め、また朝鮮情勢が緊迫化するなかでの時宜にかなった行動であったが、ただ残念なのは、討議に日数がなかった事情があるとはいえ、朝鮮核実験および国連制裁決議という情勢について実行委員会としての明確な定見を打ち出し得ていないという限界があった。
 発言者の中には、米国の横暴を糾弾するあまり、朝鮮の核実験を擁護するかのような発言もあり、会場を白けさせた。政府やマスコミによる一方的な朝鮮非難には断固反論する必要があるが、核抑止論の肯定は大衆的には受け入れられる論理ではないだろう。今後の、情勢全般を冷静かつ具体的に見た論議の発展が期待されるところである。(関西S通信員)


出直してよ!「障害者自立支援法」
10・31大フォーラムに15000余の大結集

   
社会を変革する障害者運動

 十月三十一日の午後、東京・日比谷公園一帯で「出直してよ!『障害者自立支援法』10・31大フォーラム」が開催され、一万五千人を越える障害者・介助者・市民の非常に大きな行動が展開された。
 主催は、日本障害者協議会、障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会、全日本ろうあ連盟を事務局団体とする10・31大フォーラム実行委員会。昨年来、大行動実行委員会を中心として障害者自立支援法案の成立に反対する共同行動が取り組まれてきたが、今回さらに広い共同行動となっている。全障連、全障研の系列をはじめ、身体・知的・精神のほとんどの障害者団体が大合流している感があった。
 障害者当事者の生の声を聞かずに「障害者自立支援法」が成立して一年がたち、今年四月からは「応益負担」が始まり、障害者の生活と権利に予想以上の深刻な影響が出ている。共同作業所への通所やホームヘルプ、ガイドヘルプの利用を断念させられ、利用料の滞納者も増えている。また生活費を削るなどの事態となっている。日常生活を支える(トイレ、食事、外出の)支援、就労、医療に「応益負担」が課せられたため、障害の重い人ほど負担が重くのしかかっている。このかんの各地での運動によって各自治体での負担軽減策も広がったと言えるが、自治体独自の減免制度もすでに退行が始まっている。
 十月からの全面施行によって、状況はさらに悪化しつつある。小規模作業所などが市町村の「地域生活支援事業」に一括されるが、利用者負担も市町村ごとに変わり、支援を充実させようとすればするほど自治体費でカバーしなければならない仕組みになっている。精神障害者については、病院敷地内に「退院施設」などを作るとしているが、地域生活支援の充実なくしては見せかけの「地域移行」である。
 障害者自立支援法には「三年後の見直し」が明記されている。しかし以上の現状をふまえれば、原則一割の利用者負担、介護保険になぞらえた支給決定システム、地域格差を生むサービス体系など全体にわたって、一からの早急な見直しが必要だ。こうして「10・31大フォーラム」は、あらためて各地・現場からの声をもとに施行後の影響・実態を明らかにし、「自立支援法」の出直しを求めるとともに、障害者の地域生活実現の政策・財源確立を求めて、共同の大行動を行なうものであった。
 行動の規模は、日比谷公会堂、野外大音楽堂、草地広場、厚生労働省前の四会場を埋め尽くし、同時進行で報告やアピールが行なわれるという大変なものである。障害者自立支援法の即時見直しを一致点とし、ある意味保守も革新もない広範な共同行動であるので、この取り組みについていろいろな意見もあると思われるが、現在の日本での他の社会運動と比べた場合、障害者運動のパワーというものを実感させるには十分な取り組みであった。
 各会場で「大フォーラム・アピール」を採択した後、国会請願と東京駅方面の二手に分かれて、車椅子の障害者などを先頭に大デモが行なわれた。
 この「アピール」は、具体的要求としては「障害者自立支援法」の出直しについて、原則一割の「応益負担」を中止すること、障害者支援・サービスの社会基盤整備について立法措置をふくめた拡充策をとること、難病や高次脳機能障害を含めあらゆる障害を法制度の対象にすること等を掲げており、また、「歴史は私たち市民がつくり、変えていくのである。」「私たちは歴史の担い手として日比谷に集まった」、その「思いを声にすることが社会を変えていく第一歩となる」とする格調の高いアピールであった。
 日本を変革する日本人民の統一戦線は、労働者をはじめ、農民、自営業者、進歩的知識人とともに「被差別大衆」を重要な構成要素とする、というのが我々労働者共産党の考え方である。障害者の多くは労働者の家族であり、また少なからずが労働者であるが、障害者運動としても独自に団結し一切の差別を許さず自己の要求を貫徹する。障害者の団体・グループが、労働組合などといい意味で緊張関係を持ちながら、ともに日本を変革していくこと、それはすばらしいことである。(東京W通信員)
 

静岡空港
  県収用委「強制収用採決」を強行
     11・25〜26反空港全国交流集会(静岡市)で阻止闘争準備へ

 静岡空港問題で静岡県収用委員会(増田堯会長)は十月二十日、本体部での反対派の土地(約3・6ha)のうち畑部分(約0・3ha)について、土地収用法に基づき強制収用する不当な裁決を行ない、同日地権者三名に対し裁決書を送付した。
 これにより県は、権利取得と明け渡し期限の十二月十九日を過ぎた時点で畑部分の土地を不当にも取得することになり、来年早々にも強制収用が予想される。
 本体部の残りの山林部分(約3・3?)もすでに結審が強行されており、十一月中にも裁決が行われることが予想される。静岡空港建設反対の闘いは、まさに正念場を迎えた。
 今年になって、北九州空港、神戸空港の開港が強行され、六月には関西新空港で、二期供用開始条件すら達成の目途が立っていない中で当時の北側国土交通大臣は、〇七年八月二日の二期供用開始を表明している。
 さらに、三里塚での暫定滑走路の北側延伸と新誘導路新設による「東峰の森」の破壊を通した東峰住民の追い出し工事が、九月十五日の全社 講堂での着工式をもって開始された。石垣島新白保空港では十月二十日に、建設予定地で「起工式」が、稲嶺県知事の任期終了に間に合わせる形式的なものではあるが強行された。
 農業破壊・自然破壊で、住民無視のムダな公共事業としての空港建設、そして結局(関西新空港でも明らかになったイラクへの軍事物資の輸送使用、来年一月の伊丹での日米軍事演習での使用という)軍事利用としての空港建設は、一時、地方空港の計画中止という見直しが行なわれていたが、今やこの間、既述のように拡張・建設の強行が続いている。
 空港反対の闘いは、地元の主体を中心に続けられているが、この正念場、全国の闘う仲間が共闘してたたかいを強めていく必要がある。
 まず来たる十一月二五〜二六日、静岡市で行なわれる反空港全国連第六回全国交流集会(十三時・静岡労政会館)に参加し、全国の空港建設反対の闘いを報告し、交流することによって、来るべき静岡空港での闘い、反対派地権者の土地・共有者の土地・トラスト樹木に対する強制収用阻止の闘いの準備を開始しよう。

11・19三里塚東峰現地行動、
12・3三里塚闘争40周年集会へ


 
さらに十一月十九日、三里塚・東峰現地集会(十三時三十分、東峰共同出荷場、主催・暫定滑走路に反対する連絡会)に参加し、「東峰の森」破壊を許さず、農地強奪に反対の闘いを強めよう。
 十二月三日には、「空港建設に反対し、この土地に生きてきた! 三里塚四十年の”たすきわたし”」集会が、東京で行なわれる(文京区民センター、十三時半より)。
 六六年七月四日、地元に一言の相談もなしに空港建設を閣議決定し、暴力と札束をほしいままに成田空港建設を強行してきた権力に対しての、大地に生きる農民の闘いと、全国の多くの人々が我がこととして三里塚闘争を闘った四十年を、懐古に終わらせず、現に未だ暫定滑走路に反対している現地の闘いをひきつぎ、さらに「日本の民衆運動の再生への論議を」として、この四十周年集会は呼びかけられている。全国の仲間が参加しよう。(関西東峰団結小屋維持会 渡邊)


つぶせ防衛省・派兵本務化法案
  周辺事態と全世界へ向け外征軍化

 十月二七日、防衛省昇格・派兵本務化法案(防衛庁設置法案等の一部改正法案)の趣旨説明が衆院本会議で行なわれ、審議入りした。
 この法案は、六月の通常国会閉会前に駆け込み的に提出されていたものであるが、「世界の中の日米同盟」路線をひいた小泉前首相のとんでもない置き土産であり、世界中に自衛隊を海外派兵することを自衛隊の主任務の一つにする法案である。
 民主党は小沢党首が「省昇格じたいは賛成」などとして、対決法案として対処していないため、早くも臨時国会で成立見込みなどと報道されているが、法案の本質を見誤った、あるいは意図的に隠蔽した最大野党のでたらめな態度である。
 防衛省・派兵本務化法案は、防衛庁設置法と自衛隊法その他関連諸法を一括改定するもので、防衛施設庁を来年度に統合しつつ防衛庁を防衛省に昇格させること、また自衛隊法の第三条(任務)、第七十六条(自衛隊の行動)などを改定するものである。自衛隊法第三条に、これまでの「直接侵略及び間接侵略からのわが国の防衛」と並んで、「周辺事態に対応する活動」「国際平和のための取り組みへの寄与」を新設し、また第七十六条に「後方地域支援」や「船舶検査活動」を加える。これまで第百条(雑則)での付随的任務として行なわれてきた海外派兵を、第三条の本務として位置付けるものである。
 この法案が、周辺事態法の発動にそなえ、また米軍と一体となった自衛隊海外派兵の拡大強化・恒常化を意図するものであることは明らかだ。自衛隊が日本の領域の外で軍事活動することを本務とすることは、当面の策としての集団的自衛権行使の合憲化、憲法改悪による「自衛軍」明記の策動と表裏一体である。
 この派兵本務化は次ぎに、派兵恒久化法案の策動に連動する。このかんのイラク派兵やアラビア海艦船派遣では、それぞれ特別措置法が必要だったが、国会手続きなしに常時いつでも海外派兵できるようにするのが派兵恒久化法案である。自民党の派兵恒久化法案の素案では、自衛隊派兵に国連決議の要件はいらないことになっている。アメリカが有志連合軍を作ったら、いつでもそれに合流するというわけだ。
 朝鮮核実験・国連制裁の情勢を利用し、いっきに日米軍事一体化の具体的実施が大手を振って進められようとしている。日米ミサイル防衛システムの前倒し実施が、その典型である。安倍政権は防衛省・派兵本務化法案も今なら、抵抗が少ないとみているのである。かって吉田首相は朝鮮戦争勃発を「天佑」、天の助けと恥知らずにも受けとめたが、現在の朝鮮半島核問題の激化に内心小躍りし、日米軍事再編に天の助けとみているのが安倍政権である。
 そうはいかない、その回答はまず11・19沖縄県知事選挙で下されるだろう。日米軍事再編を阻止し、防衛省・派兵本務化法案を廃案にしよう。(F)