10・21行動報告

   「今風の老人一揆」 世代を越えた合流実現
   全人格を否定する9条改憲の阻止!
                    9条改憲阻止の会世話人 蔵田 計成

 「10/21国際反戦デー 9条改憲阻止! 第2波行動」は、成功裏に終了しました。大成功と総括する人もいました。
 銀座・水谷橋公園の集会には230名参加、代表小川登さんの基調、行動宣言を経て、銀座デモ。引き続いて、有楽町マリオン前では、若者との青空トーク参加者300名でした。「200名は超える、300名なら、大成功、デモ参加者配布用のビラ200枚作成」というのが事前の皮算用でした。いずれにせよ、今年6月に旗揚げした、6/15第1波行動に比べて、運動は確実に拡大基調にあり、私たちはとても勇気づけられました。
 大きな成功をおさめた10/21街頭行動の形態は、今後の参考になりそうです。
 そもそも私たちの運動は、はじめから見通しも、組織も、カネも、何もない、ゼロからのスタートでした。あるのは「9条阻止!」への決意と怒りでした。「今風の老人一揆」みたいなものです。とはいえ、「老人」という言葉は、普通名詞にすぎないし、運動にとって老いも若きも、何ら垣根はありません。おのがじし燃え尽きるまでやり抜くだけです。老・中・青が世代を超えて参加できる運動を目指しています。
 青空トークの発言者は15名。司会・成島忠夫さん以下、保坂展人代議士、鈴木達夫・河内健作弁護士、田中一行、足立正夫、小野正春・現地報告、望月彰、処分係争中教師、ピ−ス・ボート、処分中の学生、大学・予備校教師(牧野剛)、学生、予備校生、若者フリーター・三味線演奏(摂津正)、10/21賛同・実行委メンバー(三上、花園、山中)など、発言は多彩。銀座の雑踏空間を占有したひとときは、実にさわやかでした。
 とりわけ、学生、予備校生諸君がグループを作って約10人が参加し、若者らしい発言をして、花を添えてくれたのは新鮮でした。発言前の舞台裏では「こんなヒドイ世の中にした、大人のセキニンを問いたい」「いまの若者は、どうした。キャンパスは墓場か」という直截な世代批判から「世代間の対話」を始めるシナリオを用意したのでしたが、打ち合わせ不足でダメでした。でも、世代を超えて、時代の危機感は共有できました。
 参加者全体の世代構成は、前回に比べて大きな変化はありませんでした。60年安保闘争世代が、目視で確認したかぎり、それぞれ数名前後の出入りでしょうか。また、この世代を起点にして、高度成長を支えた60年世代全体へと波及=広がりをみせたようで、すべてはこれからです。
 全共闘世代の動きは、相変わらず不透明で、彼等からの明確なシグナルは届いていません。彼我の重要な課題であり、いまや、歴史的攻防戦の総決算を前にして、来るべき相互の合流に期待するばかりです。たしかに、あの70年安保・沖縄・全共闘運動を闘った団塊の世代は、その後さまざまな運動を掘り起こし、20世紀末・30余年にわたる活動を担ってきました。多くの人達はその現場にとどまっているのかも知れません。
 なお、付記すべきは、あの激闘を打ち抜いた世代の挫折と自己解体の深さを吐露する人達もいるという事実です。例えば、現実の困難さを押しのけてデモに参加した、ある全共闘世代の後輩が、語ってくれたた言葉は印象的でした。60年安保世代が経験した同種の個人史を、彼等も再現しているようです。
 「9条改憲阻止が、目の前にある重要な政治課題であることは確かなんです。でも、十年先を見越した方針が提起できないから、いまも積極的に参加できないんです」。
 闇の深さというものは、当事者以外、計り知れないとはいえ、このような重い過去を背負った人達とも、いつか、どこかで、お目にかかれることを信じています。
 最後に、当日の行動への参加、不参加にかかわらず、9条阻止の意思を共有できるすべての皆さんに、熱い友誼をこめて、今回の成功をご報告させていただきます。と同時に、その主旨に賛同しかねると思われる方にも、変わらぬ友情をこめて、近況をお届けします。
 さて、「憲法9条」問題に関して、私自身が本格的な思考を始動させたのは、先日の「6/15・ 9条改憲阻止第一波行動」でした。運動を開始した初期は、9条の「非戦主義」が2項から成り立っていることも知らない有様で、友人は、あきれていました。以後の半年間の活動のなかで、「何故、9条改憲阻止なのか」という実践命題に対して、回答を模索した結果、空白の一部分が埋まるような気がします。
 周知の通り、私たち安中派世代(60年安保まっただ中の世代)の特徴といえば、
第1,戦争の愚かしさを反省した戦後民主主義を経て、60年安保闘争の高揚感・挫折感を通過するという、青春を賭けた原体験を持っていること。
第2,60年代高度成長の大海に翻弄されながらも、心の片隅に自分なりの人生への想い
を仮託させ、しがらみをかかえつつ、数十年間を駆け抜けたこと。
第3,定年退職後は、時代との隔絶感・異質感を忍ばせ、さまざまな世間との係わりをもちながら、豊かさ・平穏・便利さの余塵のなかで、余生を見据え、その日の充足を求めて生きていること。 
 このような日常が流れるなかで、私たちの眼前に出現したドラスティックな大河ドラマは、グローバリゼーションでした。黒船の襲来にも等しく、市場原理主義の下、これに連動した「エセ小泉改革」によって格差社会の出現を許してしまいました。さらに、それに呼応するかのように提起されたのが「9条改憲」でした。9条改憲攻撃こそは、長年にわたって政治権力が秘めてきた「野望の集大成」であり、「戦争ができる国」への門出をめざすものです。
 この「戦争ができる国」への策動は、「世紀の愚挙」というべきであり、「歴史への大逆動」「過去の全否定」です。また、この政治的暴挙は、戦争の反省の上に立って、「戦争しない・させない」という非戦の国家理念=思想的・政治的・政策的背骨に対する、野蛮で、恥知らずな宣戦布告です。同時に、この政治権力による暴挙は、すぐれた国家理念を、私たち人民が自己の社会的規範にすえて、誠実に生きてきた、半世紀に及ぶ人生への「あざけり」であり、人格に対する「全否定」を意味します。この蛮行へのアンチ・テーゼこそが、私にとって『闘いの原点』です。
 見逃せないのは、この邪悪なたくらみは、民衆の日常生活のささやかな営みの領域にまで、土足で入り込み、無惨に踏み荒らし、「美しい国」という欺瞞的なワンフレーズで、一刀両断に切り捨てことを意味します。このような「醜い国造り」は、断じて許すことはできません。
 敢えて補足すれば、いま、私たちは歴史の剣が峰に立たされています。匕首が、心臓部に突きつけられているも同然です。この凶刃に対して優勢に立ち向かうには、民衆の側の団結以外にはありません。「小異を認めて、大同をめざす運動」が内包する、思想、論理、組織性を獲得する志向性が、それを保証してくれるものと確信しています。
 9条改悪という無謀、愚昧、おぞましさは、座視できない! 歴史の改ざんは許せない! 戦争しない・させない! この世に悔いは残せない! 孫に9条を残そう! 9条改悪阻止・粉砕! 安倍改憲内閣打倒! 老いの意地は、来るべき日々のためにこそ! あとは実践あるのみ! 明日への活路は街頭にこそ!


とめよう!「戦争をする国」づくり11・3憲法集会
  改憲手続き法案を廃案へ

 十一月三日の憲法公布記念日、東京・千駄ヶ谷区民会館において、「とめよう戦争をする国づくり 11・3憲法集会」が開催された。
 主催は、11・3憲法集会実行委員会(「憲法」を愛する女性ネット/憲法を生かす会/市民憲法調査会/全国労働組合連絡協議会/日本消費者連盟/VAWW−NETジャパン/ピースボート/ふぇみん婦人民主クラブ/平和憲法21世紀の会/平和を実現するキリスト者ネット/平和をつくり出す宗教者ネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会)会場は、三六〇名以上の参加者で埋め尽くされた。
 早稲田大学教授の西原博史さんと、韓国の市民団体「アジアの平和と歴史教育連帯」の国際協力委員長・カンへジョンさんが講演。西原さんは、「教育基本法改正と憲法改正」が「国家指導者につきしたがう国民づくりをめざすもの」であることを、教育基本法・政府案を例に明らかにした。
 カン・へジョンさんは、日本の情勢に対する韓国・市民運動の憂慮を語り、NOを表明することで良しとしている運動ではダメ、戦略を構想することが問われているのではと指摘し、共同作業を通して平和を作り上げていきたいと締めくくった。集会は、若者の歌も交え、成功裏に終了した。
 集会参加者は、時代の大きな分岐点に臨む緊張感を共有する中で、明治公園までのデモに出発。沿道の人々に、集団的自衛権の行使を許さない!教育基本法の改悪反対!改憲手続き法案を廃案へ!などを訴えた。(東京M通信員)