労働契約法等
  規制改革・民間開放推進会議が、労政審審議に介入
    許すな労働時間規制撤廃

 労働契約法制および労働時間法制について、労働政策審議会労働条件分科会で検討がすすめられているが、七月十八日に予定されていた「中間とりまとめ」は延期されたままとなっている。しかし厚生労働省は、年内に最終報告をまとめ、来年の通常国会に法案を提出する姿勢を崩してはいない。ここに来て、厚労省にはっぱをかけ、労政審に横槍を入れているのが、規制改革・民間開放推進会議(座長・オリックス宮内会長)である。労働規制を破壊してきた「小泉改革」、それを何としても継続させようとする介入である。
 このかん労政審では、四月十一日に「労働契約法制及び労働時間法制に係わる検討の視点」、六月十三日には「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」(素案)が事務局から示されたが、六月二七日の分科会において、労使双方から審議の中断を求める意見が出され、次回の日程も決まらないまま、検討は事実上ストップしている。
 使用者側は、「素案では、有期雇用(の正規化)や割増賃金などこれまで議論の俎上にも上がっていない事項が示されている。労働契約法制については、労働基準法や労働組合法に匹敵する重要な法律であるので慎重に議論すべき」と述べ、労働側は、「就業規則を労働契約法に盛り込みその合理性の推定に労使委員会を関与させること、解雇の金銭解決制度、労働時間規制の適用除外など、これらに強く反対してきたが素案では一顧だにされていない」と述べ、厚生労働省の強引な審議運営に労使双方が反発した結果であった。また、使用者側から、「書面による契約は中小企業に多大な負担」、「自律的労働時間制度や解雇の金銭解決も中小企業では活用が困難である」、「労働契約法制の対象労働者は労働基準法上の労働者とすべき」などの発言があり、資本側の意図していることも明らかになってきた。
 さらに異例なことには七月二十一日に、規制改革会議が意見を発表したことである。確かに今年三月三十一日に閣議決定された規制緩和三ヵ年計画で、労働契約法制の整備、労働時間規制の適用除外制度の整備拡充について〇六年度中に結論を出すとしているが、労政審で審議している内容についてまで、意見を出すことは、労・使・公の審議会と言う一応は民主的な形式を取っている制度に対する挑戦でもある。
 規制改革会議のその意見は、労働契約法制について「強制規定ではなく任意規定にすべき」、「労働者の個別同意がなくても労働条件の変更ができるようにすべき」、「正社員と非正社員の均衡処遇を実現するためには正社員の労働条件を引き下げる必要があるが、不利益変更が容易に認められない現状においては非正社員の雇用機会の減少を招く」、「周知を欠く就業規則であっても合意を推定する適切な処置が講じられるべき」、「過半数組合や過半数代表者が就業規則変更に同意していない場合においても、変更の合理性が否定されるわけではない」、「試用期間中は解雇規制の適用を除外することが適当である」、「労働協約や就業規則に定める解雇事由に該当する場合は解雇を有効とすべき」、「解雇の金銭解決については額が高い水準にならないように配慮すべき」、「労働者の軽過失による損害に対する使用者の求償を否定すべきではない」などと述べている。また労働時間については、「割増によるコスト増になるなら、賃金を低く抑えることになるであろう」、「裁量労働の対象者は本人の同意なしに自律的労働の対象にすべき」、「管理監督者の見直し」などと述べている。
 以上、「素案」の内容を批判するより、規制改革会議の露骨な主張を紹介した。そこに見える主張とは第一に、契約は双方の合意によるものであるにもかかわらず、使用者が一方的に定める就業規則で労働契約を律しようとするものである。第二に、過半数労働組合や過半数代表性の無視または軽視、すなわち労働組合の無視であり、ましてや少数組合や企業の枠を超えた労働組合についてはその存在を否定している。第三に、解雇を容易にし、金銭で解決しようとしている。第四に、労働時間規制の適用除外を拡大することによって、割増賃金の支払いを免れようとするだけでなく、過労死などの責任を負わなくてすむようにすることである。
 労働契約法および労働時間法制の問題は、労働者とは何か、労働組合とは何かを問う、きわめて重要な課題であることが明かになってきた。(K)


在日韓国朝鮮民衆と共に7・30「統一マダン」東京
  地域から北東アジアの平和を

 梅雨明け宣言のあった七月三十日、第十三回「統一マダン」東京がさわやかな夏空の下、荒川区の旧真土小学校で行なわれた。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル騒動や、朝鮮総連との共同声明を巡る民団の内部抗争など、日本の韓国朝鮮人社会で激震が走る中、また、2000年6・15南北共同声明に基づく和解と統一へ確実に向かうことが、全韓国朝鮮民衆に希求されているのみならず、それが北東アジア、世界の平和にとって不可欠の構成要素となっている今日、地域にそれぞれ密着した統一マダンが全国各地で開催されたことは、たいへん意義深いといえる。
 統一マダン実行委員会に参加する各団体の出店が出揃い、賑わいを見せる午後五時、開会が宣言された。韓統連東京本部の梁(ヤン)代表委員からの開会あいさつに始まり、民族舞踊やテッコンドーの演武などを挟みながら、ソウル韓青協から光州で行なわれた6・15統一大祝典の報告がなされた。そして韓国山本の争議団によって、東京・板橋の本社、山本製作所への闘争支援要請の訴えが行なわれ、お祭りだけに終わらない連帯闘争の一面を強く印象付けた。
 今回の統一マダンのトリは朴保(パク・ポー)さんのバンドが行ない、「イムジン河」やオリジナル曲の演奏も交え、参加者一同が一体となる盛り上がりを見せた。韓国山本の争議団も踊りの輪に加わり、連帯の声を終日ともに体で表わした。                                 (東京K通信員)


成田空港
  暫定滑走路の北伸変更許可申請を強行
    新誘導路九月着工阻止へ

 七月十日、成田空港会社(NAA)は2500m滑走路に向け、B滑走路(暫定滑走路)を北側に延伸する施設変更許可を国交省に申請した。
 計画の内容は、一、平行滑走路を北側に320m伸ばし、平行誘導路も約300m北側に伸ばす、二、東側には航空機の移動を円滑にするとして新誘導路(全長約2キロ)を建設、三、第二ターミナル南側の誘導路部分などにエプロンの新設(約14万5千平方m)、現在の平行滑走路北端から約50mの所を通る国道51号を北側へ40m移動させる「付け替え」や県道・市道の切り回し、その他航空灯火・航空保安無線施設の移設等である。
 工事完成は〇九年十月三十一日、供用開始を一〇年三月三十一日とし、九月中にも着工するとしている。
 工事三年では決して完成しない無理な計画ではあるが、何よりも、「東峰の森」を破壊し東峰住民を追い出すための強硬策である。
 六月下旬、NAAは黒野社長名で住民に一方的に文書で通告してきた。その内容は、北伸計画で東峰地区では、東側に誘導路を新設する。これにより「東峰の森」の三分の二を伐採する。現在の誘導路も拡張し、県道の切り回し道路を付け替える等である。黒野社長は昨年五月、東峰住民に対し、暫定滑走路供用を強行して生活環境を破壊したことを謝罪し、その手紙を公表し、地区を訪ねることもした。しかし、東峰住民の固い意志に会い、急転、北伸計画と、東峰地区を取り囲む誘導路計画に走ったのである。
 「東峰の森」は、東峰地区の開拓が始まって以降、入会地として実質活用され、部落にとって不可欠なものである。県有地であったが、公団が取得後も、そのため「森」の保全を約してきたものである。新誘導路計画は、部落の生活を破壊する計画に他ならない。国交省や空港会社は本来計画を断念しておらず、そのために住民追い出しをも画する計画である。
 新誘導路の計画は、現在の共同出荷場、ワンパックの鶏舎、らっきょう工場、畑、墓地そして島村さん、小泉さんらの住宅を完全に空港が囲い込む形になる。騒音と振動が更に東峰部落を襲うことになる。
 さらに、現在の暫定滑走路誘導路を「への字」に曲げている畑(反対同盟北原派の市東さんが耕作している)での「小作権」解除の申請を、空港会社は成田市農業委員会に行なった。
 畑の土地は空港会社が地主から三年前に取得している。しかし市東さんは祖父の代からこの畑を耕作していて「小作権」が存立しており、この賃貸借の解約には知事の許可が必要である。
 小作者本人の同意がない中で、この賃貸借を解約できるのは耕作放棄などの信義に反した場合なのであり、空港拡張のために解約が許可されるとしたら、農地法や農業委員会がまさに空港会社のために私物化されることになる。しかし七月二四日に開催された成田市農業委員会は、「転用相当」を認める不当な判断を決した。「NAAと農家で話し合い、合意解約を目指すべき」との異例の意見が付記されたものの、市東さんの永年の小作権を奪う決定には変わりない。市東さんらは、堂本県知事や県農業会議へ向けた行動に進んでいる。
 北側延伸の施設変更許可申請提出に伴い、「公聴会」が八月二十一日に成田市で開かれる。九月着工を急ぐための事務的な手続きにすぎない。「三里塚・暫定滑走路に反対する連絡会」は、8・21「公聴会」粉砕現地行動を呼びかけている。
 「東峰の森」を破壊し、東峰地区の追い出しをねらう北伸申請・新誘導路計画・九月着工に対し、全力で対決していこう。(関西東峰団結小屋維持会 渡邊)