「新世紀の日米同盟」で世界的共同侵略うたった6・29首脳会談
  「小泉外交」からの全面転換を

 「小泉外交の総決算」とも称される首相訪米、六月二九日の日米首脳会談が行なわれ、同日「新世紀の日米同盟」と題する共同宣言が発表された。ブッシュと小泉の異常な蜜月関係に終始した「小泉外交の五年間」は徹底的に批判されなければならない。このかんの対米一辺倒外交をやめさせ、日本外交の当面の転換をかちとる闘いは、日本の労働者人民の階級闘争を発展させるうえでの不可欠の重要課題である。
 直前に決定した米輸入牛肉解禁を手土産に訪米した小泉首相であるが、米大統領ブッシュからは破格の歓待を受け、自らはプレスリーの真似をするなどして異様にはしゃぎ回った。今日の日米同盟が戦後のどの時期にもまして、異常なレベルにあることが象徴的に示されたのである。
 そのブッシュ・小泉の日米同盟を内容的に示すのが、「新世紀の日米同盟」である。
 この宣言は第一に、「21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟」を、まずは軍事的に確認するものである。それは、「双方が就任して以来、日米の安全保障関係において達成された著しい進展」の経過を、日本のミサイル防衛協力合意、有事立法の制定、〇五年二月・日米安保協での「共通戦略目標の策定」、日米軍事再編の合意として振り返り、この合意を「米軍及び自衛隊の過去数十年間で最も重要な再編」と位置付け、その「完全かつ迅速な実施」を日本政府が米国政府に約束するものとなっている。
 第二に、「強固な日米協力が、中国の活力を生かし、北東アジアの平和と安寧の維持に資する」などとして、アジアに対する日米共同の対処をうたっている。経済面においても、いわゆる東アジア共同体論は厳しく拒否され、あくまで太平洋経済協力会議(APEC)の強化を日米が進めるとするものである。
 この宣言の基調である「世界の中の日米同盟」路線は、「テロとの闘い」「市場経済」「自由と民主主義」という共通の旗の下に、自衛隊が米軍と一体化し世界的に侵出することを促すものである。八十年代の中曽根・レーガン時代も日米蜜月と言われた。中曽根の「列島不沈空母」論は、日本の核攻撃基地化と海峡封鎖であったが、自衛隊の海外派兵は問題外であった。九十年代のPKO派兵の開始を突破口とし、ついに小泉内閣の下で、アフガン、イラクと戦争継続中の地域への自衛隊派兵が強行された。
 ブッシュは今回、小泉との五年間で最も彼に感謝することは、この二つの派兵であると明言した。アメリカ帝国主義の古くからの盟友・イギリス帝国主義に比べれば、日本帝国主義の軍事的役割は今のところ大きく制約されたものである。しかしイラク攻撃の正当性が崩壊するなか、小泉の突出した対米協力は侵略者ブッシュの大きな救いとなったのである。こうして小泉政権の下で日本は、超大国アメリカへの世界人民の怨念を共にぶつけられて当然の国となり、また自身が殺し殺される「戦争をする国」になりつつある。
 九月小泉退任以降の日本の新政権がどのようなものであれ、こうした小泉外交路線を継承するのか転換するのかは、支配層の分裂をはらんだ国民的争点となっている。靖国問題への対処は、当面の支配層の分岐点である。靖国を含む外交での分岐は、必ずしも憲法「改正」問題での分岐とは重なっていない。しかしアジアとの協調への転換は、平和憲法改悪阻止の側に有利に働くだろう。
 日本政府に対米一辺倒外交をやめさせ、アジア諸国との関係改善へ向わせることは、右翼ナショナリストに打撃を与え、東アジアでの戦争の危険を低下させるものである。それ自体は帝国主義的・ブルジョア的枠内の転換であるにすぎないが、アジア民衆と共に生きる日本を求める労働者人民の闘いがその転換を押し進めるならば、情勢はさらに拓けてくる。
 ブルジョアの東アジアから労働者民衆の東アジアへの革命的転換をめざし、当面する対米一辺倒勢力打倒の闘いに勝利しよう。