6・18松戸市長選
  敗北はしたが、市民団体、各政党、地方議員の共同の成果は重要
    地域的統一戦線に大きな可能性

 六月十八日に投開票された松戸市長選挙は、敗北に終わった。この選挙闘争を通して、敗北の諸原因を総括する以上に、獲得できたもの、成果の内容を明らかにするのが今後の一助となるものと考えられる。
 選挙結果は、自民、公明、連合千葉推薦の現職5万9734票に対し、市民団体「e市政を創る松戸市民の会」から選出され、民主党、日本共産党、新社会党の推薦も受けた本郷谷健次氏は4万5333票、また「e市政を創る松戸市民の会」に参加しながら、候補者の一本化に抵抗し、早々と立候補宣言をしてしまった中田京氏は1万5483票、またかつて民主党から県議選に立候補したことのあるもう一名は7612票を獲得した。投票率も低調で、わずか34・44%にすぎなかった。
 現職市長は、告示以前から数々の失政を糊塗し治安問題だけが政策という無策にもかかわらず、本郷谷氏に対し、「民主党、共産党、新左翼に市政は渡せない」とか「共産市長反対」(本郷谷氏は民主党の党籍があった。このことは現職側についている民主党市議が居ることからも、まったく知った上でのの陰謀宣伝であることは明らか)などと言う古典的な「反共」宣伝に力を入れ、こうした中、四月の千葉七区衆院補選(松戸市の三分の一以上の有権者を擁し、この分の民主党得票だけで三万二千票を超えた)における民主党の勝利が全く機能しなかったのである。このことからも民主党は、国政における対抗軸であっても、地方自治の行政担当政党としては認知されていないと言えるのではないか。
 それと共に、候補者一本化の基本方針を振り払い、独善的に立候補した中田氏であるが、彼女の票を単純に上積みすれば一本化候補なら勝利できたことになる。その意味で敗因に関しては、保守現職に対抗できうる初の試みであったがゆえに、戦術面など選挙戦としての反省点も出てこよう。
 しかしながら選挙戦の細かい総括は、選対に任せるべき事項と言える。最初に述べたとおり、敗北の総括自体よりも、この市長選を通じて形成された松戸の諸関係のほうがより興味を引くものである。
 今回の統一選対と候補者選出母体である「e市政を創る松戸市民の会」は、市長選という個別課題であるが、確固とした統一戦線である。それは一時的な、場当たり的な統一というのではなく、四年前の市長選において候補者を擁立できなかったことを出発点としている。それ以降は本紙前号でも紹介したとおり、千葉県内でも先進的な活動を行なってきている。反有事法制の闘いに引き続き、イラク派兵反対、そして憲法改悪・教育基本法改悪阻止のための政党政派を超えた市民団体の形成をすすめてきた。また県内自治体議員による「九条の会・千葉地方議員ネット」には市長選に関係した県会議員、市議議員は全員参加しているだけではなく、ネット創設の中心を担ってきた。
 他方、連合千葉は、自治労=市職労の関係を通じて早々に現職支持を打ち出し(現職首長と職員組合のありがちな馴れ合いである)、これに引きずられる形で社民党は、自主投票という体たらくの方針を出した。しかし、より幅広い統一を実現するためにも社民党系の参加は不可欠と言える。
 国会ばかりだけではなく、中央の諸運動は政党、ナショナルセンターによる縦割りが一般的で、統一行動さえままならないのが現状であるが、地域では首長選ばかりではなく、憲法・教育基本法の改悪策動に反対する統一した闘いなど、地域的な統一戦線の形成は充分に可能といえる。(千葉県Ku)


これからの社会を考える会6・24シンポ
  左翼の大連合へ討論

 六月二十四日、東京・文京区民センターにおいて、「第三極をめぐって―これからの政治展望 平和への共同は可能か」と題するシンポジウムが開催された。
 このシンポジウムは、来年の参院選を目標に、九条改憲に反対する側の分立を克服し共同の候補を擁立しようと運動している小林正弥さん(千葉大教員)と河内謙策さん(弁護士)に提起発言をしてもらい、これからの日本の政治のありようについて大いに議論してみようと、これからの社会を考える懇談会(略称コレコン)が設定したものである。約六十名が参加した。
 小林正弥さんは、昨秋の総選挙で小泉自民党が圧勝するという事態の中で「平和」の共同候補を立てようという運動が形をなした、「平和」だけでなく「公正」ということも重視していくことが必要、共同候補を実現する場合、比例区よりも選挙区が現実的で地域の集まりが重要との認識となってきていることなどを報告した。
 河内謙策さんは、自由法曹団の集まりの直前に日本共産党が平和の共同候補をもとめる運動への批判声明をだしたことについて、かつてのようなやり方が通用する時代でない、自由法曹団の集まりでは意外な人からも励まされたと述べつつ、大衆運動によるだけでなく政治の領域においても反動の流れを変えていくことの意義などを訴えた。
 二人の提起を受けて、討議に入る。「組織労働者の支持を獲得すること、胃袋の問題も重視する内容が必要」「非正規労働者の支持を獲得する質も不可欠」「自分たちの地域で共同候補擁立の典型を作っていく」「広く共同する機運はある。大いにやるべきだと思う」等など、日本共産党、社民党、新社会党、新左翼諸派などに所属する人々を含む多くの人々からの賛同と注文の発言が続いた。
 シンポジウムは、小泉政治の転換の実現、労働者民衆の利益の諸部分を代表する勢力の総団結よる第三極の形成、こうした現下の焦眉の課題を正面に据え、前進的意見交換をおこなうことができた。
 特に、政治的共同に未だ否定的な日本共産党に在籍し影響力ある人が参加し力強く激励発言をおこなった事実は、決して小さくない。また日本共産党が、前記声明でも槍玉に挙げている新社会党からも本部役員の一人が参加し、共同への意思表示をした。そこには、時代のうねりがあった。
 このシンポジウムの成功によってコレコンは、左翼の政治的大連合へのコレコンなりの貢献の第一歩を印したといえるだろう。(東京M通信員)