イラク侵略戦争三年−日本・世界で一斉反戦行動
  米軍基地再編反対と連動して

 〇三年三月二十日の米英イラク全面攻撃開始から三周年にあたり、三月十八日から十九日にかけて世界と日本の各地で、イラク占領反対・占領軍即時撤退などを求める諸行動が展開された。
 イラク侵略戦争の策源地、アメリカ本国では、昨年九月二四日にワシントン総結集の三十万人反戦行動が行なわれたが、今回は十九日を中心に全米各地で全兵士の即時帰国などを掲げて展開されている。米兵も二千人以上が戦死しイラク占領が泥沼に陥るなか、ブッシュ支持率は就任以来最低の三十%台半ばに落ち込み、撤兵要求は開戦以来最高になっている。米反戦団体「平和と正義のための団結」のアピールが、「最後までやり遂げる」方針の無謀さと傲慢さゆえに、ブッシュ政権が大失敗していることは明らかだ、と指摘しているとおりである。
 もう一つの侵略策源地イギリスでは十八日、ロンドン塔の議会広場を十万人近くが埋め尽くして、英国軍の即時撤退などを要求した。英反戦団体「ストップ戦争連合」は現在の情勢をふまえ、次ぎのようにも警告している。「米英両国は、イランに対して新たな侵略攻撃を仕掛けようとしている。この戦争は拡大し、核戦争に発展するかもしれない」と。
 わが日本も、在日米軍と自衛隊がイラク占領に参戦している以上、また一つの侵略策源地である。日本の各地の反戦行動では、小泉連立政権が陸上自衛隊の撤収予定を語るなか、航空自衛隊を含む全部隊の即時撤退を要求していること、またイラク撤退要求と共に、現在日米両政府が合意を強行せんとしている米軍再編に反対することが併せて掲げられていることが三年目の特徴であった。

東京3・18
  ワールド・ピース・ナウに二千名
    今すぐもどせ自衛隊

 東京では三月十八日の午後、「終わらせようイラク占領」「今すぐもどせ自衛隊」などを掲げた「ワールドピースナウ3・18」が日比谷野外大音楽堂の内外で行なわれ、約二千名(市民・千四百、労組・六百)が参加、集会後銀座をパレードした。
 野音内の市民集会では、WPN実行委員会の須黒さんが主催あいさつを行なったあと、自衛隊イラク派兵違憲訴訟(全国14地裁)の弁護士・中島通子さん、漫画家の石坂啓さんがアピール。また台湾出身のタレントのインリンさんからのメッセージも寄せられたが、それは「イラク侵略戦争に手を貸さず、アメリカとの軍事同盟をやめよう」と訴える政治的レベルの高いものであった。
 ピースコンサートが、ソウル・フラワー・モノノケ・サミット(アジア各地など民衆の現場での演奏で知られるバンドらしい)などによって行なわれたあと、野音裏のカモメ広場で独自集会を行なっていた平和フォーラムの労組部隊と合流して、パレードに出発した。
 なお翌日の三月十九日には同じ野音で、全労連など日共系が開戦三年集会を開催、自衛隊イラク撤退と「米軍基地の強化・恒久化反対」を掲げて約三千名の参加であった。
 東京のWPNや平和フォーラムなどの枠組みでの、このかんのイラク反戦の参加者数は、三年前のイラク開戦強行時にはそれに抗議して芝公園一帯を溢れる五万人の大結集、自衛隊イラク派兵が開始まもない一年目には日比谷公園で三万人、二年目に四千人、今回の三年目で二千人である。
 不特定多数の個々人の参加をはじめ大衆闘争の波に消長があるのは当然であるが、この過程を通じて地域や労働組合・学園において、どれだけの運動組織が作られたのかという観点から考えると、ベトナム反戦の時と比べて大きく立ち遅れているのではないか。情報ネットワーク化など社会状況の変化のなか、恒常的な運動作りはどうあるべきかなど、検討すべき課題は多いと思われる。
 ともかく、丸三年を越えて自衛隊イラク撤退を叫び続けなければならなくなっているのは、ある意味ウンザリであり運動の弱さである。しかし自衛隊イラク撤退の闘いは、ますます重要になっている。
 小泉政権は、陸上自衛隊のサマワ撤収を当面の選択肢に入れつつも、陸自撤収後は航空自衛隊輸送機のイラク活動区域を全土24空港に拡大する腹づもりである(当初の実施要項ではバグダッド空港を含む13空港だったがが、その後の抵抗闘争の拡大によってバグダッド空港などが除外され、活動区域は4空港にとどまってきたといわれる)。そういうブッシュ政権側との調整が行なわれているのである。政治的パフォーマンスの陸自サマワ駐屯を終了させても、侵略戦争参加の実質である「安全確保支援活動」のほうは軍事輸送で一層強化しようとしている。
 現下の米軍再編も、イラクでやっている日米の軍事一体化を世界中でやれるようにしようというものだ。「最終報告」阻止・在日米軍撤去のたたかいとともに、イラクからの自衛隊完全撤退の闘いを強めよう。(東京W通信員)
 
 大阪、京都、神戸など関西各地でも
    3・17大阪集会、共同し4千名

 米英によるイラク攻撃開始から三周年の三月二十日を前にして、関西各地で、イラク侵略・占領への抗議、自衛隊のイラク即時全面撤退、在日米軍基地再編・強化反対などを訴える取り組みが行なわれた。
 まず三月十七日午後六時半、大阪市北区の扇町公園に四千名が参加して、「イラク開戦3周年抗議・自衛隊のイラクからの撤退・在日米軍基地再編強化反対!3・17大阪集会」が開かれた。主催は、「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」と「大阪平和人権センター」の共催。
 集会では、大阪平和人権センターの田淵理事長と、しないさせない戦争協力関西ネットの服部共同代表が主催者あいさつを行なった。沖縄からは、ヘリ基地反対協の安次富浩さんからのメッセージが披露された。
 集会の基調報告が、平和人権センターの富永事務局長からあり、全世界一斉行動として今日の闘いがあること。在日米軍再編に対し、地域ぐるみ、各自治体レベルでの闘いを強めよう。今国会での国民投票法・共謀罪法案などに反対運動を強めよう。三月自衛艦・四月米海軍イージス艦の大阪港への入港という軍事利用に反対し、地元での闘いを強めようなどの諸点が提起された。
 集会は七時十五分より、中之島・中崎町の二コースに分かれデモ行進を行なって、反戦を訴えた。
 三月十九日の日曜日には、関西各地で取り組みが行なわれた。
 京都では、「STOP!イラク派兵・京都」(黒木順子・大谷心基共同代表)主催で、「3・19ピースアクションin京都」が午後二時より京都市中京区の鴨川河川敷にて行なわれた。スローガンは、一、イラク侵略戦争・軍事占領をやめろ、一、戦争加担・自衛隊派兵をやめろ、一、憲法九条改悪を許すな! 一、米軍基地の再編・強化反対、すべての米軍基地撤去、であり「ともにつくろう!戦争のない世界」と呼びかけられた。
 主催者あいさつ、連帯メッセージの披露、「やめて!イラク派兵京都訴訟」の弁護士からの報告、ミニコンサート、三分間アピールと行なわれ、三時すぎには、同じ河川敷で同時に行なわれていた「ピースウォーク京都」主催の「3・19ピースウォーク」の参加者と共に合流し、四百名余りが河原町通り・四条通りの市内を行進した。
 大阪では、同日、大阪市北区の扇町公園にて午前十時三十分より、安保破棄大阪実行委員会を連絡先とする大阪集会実行委員会主催で、四千名の参加者による「イラク開戦三周年世界反戦共同行動3・19大阪集会」が行なわれた。参加者が色画用紙を掲げ、平和への願いをこめた「七色の旗」と「GO HOME」の人文字を描いた。
 神戸では、「九条の心・ピースフェスタ」実行委員会主催で、神戸市中央区の神戸市勤労会館に千三百名が参加して「九条の心・ピースフェスタ」が行なわれた。分科会での討論やライブ・コーラスなどの他、「命に国境はない」と題して、イラクで抵抗勢力に拘束された高遠菜穂子さんが講演を行なった。拘束からの解放後、再びイラクへの支援活動を再開継続している取り組みの報告を行ない、「一般市民が殺されているイラクに更に支援を」と訴えた。ジャーナリストの斉藤貴男さんの講演も行なわれた。
 関西の各地から、地元の基地再編や、港や空港の軍事利用に反対し、大衆的な自衛隊即時撤退を求めていく取組みを更に強めていこう。 (関西Si通信員)


3・23自衛艦、4・3米艦入港に抗議行動
  「大阪港の平和利用を守れ」

 日米軍事一体化が具体的に進められようとしている中、また日本の民間空港・港湾施設を米軍・自衛隊がひんぱんに強行的に軍事利用する状況のもと、大阪港にも三月二三日から二五日にかけて自衛艦三隻が入港し、さらに四月三日には米イージス艦が入港してきた。
 自衛艦が入港してきた二十三日には、「3・23自衛艦の大阪港入港抗議南大阪総決起集会」が午後六時半から港区天保山公園において開催され、約四〇〇名の労働者・市民が集まった。
 集会では、大阪市職の司会で、最初に主催者の「大阪港の平和利用を促進する連絡会議」のあいさつから始まり、南大阪平和人権連帯会議に加入する全港湾大阪支部、全日建関西生コン支部、港合同、そして大阪府自治労青年部などから連帯のあいさつが行なわれた。それぞれが、「大阪港の平和利用を守れ」を始め、辺野古基地建設反対、日米軍事再編反対、イラクから自衛隊は撤退せよ、などを訴えた。
 そして団結ガンバローを行ない、公園から大阪港周辺をデモ行進し、自衛隊の民間港軍事利用を糾弾した。
 続いて四月三日、立て続けにイージス艦カーチス・ウィルバーが強行入港したことは重大である。同日の夕刻、大阪平和人権センター主催で再び入舟公園に決起して、抗議行動を行なった。
 大阪には基地問題がないかのように見られがちであるが、大阪港の自衛隊・米軍の軍事利用は近年頻繁となり、重大問題となっている。埠頭に軍艦が来ることは、港湾労働者などが戦争強力へ動員されることである。関西新空港の軍事利用を許さない闘いとともに、大阪港の軍港化反対の声を大きくしていこう。(関西N通信員)
 

東京・上野
 辺野古・平澤・東京を結ぶ3・11行動
   平澤の強制収用反対!

 3月11日東京・上野水上音楽堂において「辺野古・平澤・東京を結ぶ3・11行動!」が命どう宝ネットワークと日韓民衆連帯全国ネットワークの共催でおこなわれた。米軍再編に伴い、沖縄・日本、韓国での基地再編強化に反対する各地地元、農民、漁民、住民の闘いがそれぞれ結びつき、米軍や防衛施設庁、韓国国防部を追い詰めている。
 集会では、3・5沖縄県民総決起大会の大成功、韓国ピョンテク農民を中心とする米軍基地拡張のための土地強制収用に対する阻止のため連日の闘いの報告が、それぞれアピールされた。
 アピールを受けた後、集会参加者は土曜の午後でにぎわう上野の町に、チャンゴなどを持ち込んだ音楽パレードを行い、戦争も基地もない平和な沖縄・日本、韓国の実現を訴えた。パレード参加者が配るアピールのチラシを、上野の街の人々は多くの方が受け取った。
 水上音楽堂に戻ったパレード参加者は、その後にコンサートを開始した。コンサートは、予定の時間を過ぎてもアンコール要請で盛り上がり、辺野古、ピョンテクでの闘いを胸にし、連帯しながら夜8時過ぎまでおこなわれた。(東京E通信員)