編集部だより

◆最近『朝日新聞』が「ジャーナリスト宣言!」とかの、お高くとまったCMを流している。四月二日朝刊では、朝日新聞綱領(52年)を掲げ、「気骨ある紙面」をめざすという。◆しかし『朝日』は、その「NHK番組改変問題報告」(05・7・25紙面)で、自民党政治家およびNHKとの論争に幕引きを行なった。報告は、安倍らがNHK幹部を呼びつけた件で「真相がどうだったのか迫り切れていない」などと総括。安倍晋三らの完全な居直りの中で、政治的意味の大きい屈服である。他方、進行中の「改ざん事件」控訴審では事前政治介入を裏付ける証言が出ているのに、『朝日』はこの裁判報道を放棄している。何という「気骨」のなさか。◆朝日綱領に、「真実を公正敏速に報道し、評論は進歩的精神を持してその中正を期す」とある。我々左翼紙も真実を報道することに変わりはない。しかし、その事実関係の評価には階級性が現れることを公然と認めるものである。そういう党派紙であるから、ひと昔前だったら、党の方針に沿っていればそれでよいという感覚であったが、ジャーナリズムの公共性という観点も必要だ。◆党派紙は、教育基本法とも関係がある。法的には、党派紙もその第八条の「政治教育」として「尊重」されるべきものだ。「過激派」の新聞は、体制側から嫌われても公共的価値は高いのである。(若杉)